ひきこもり状態の人の自立支援をうたう、いわゆる「引き出し業者」から無理やり連れ出され、施設に監禁されたとして、千葉県の女性(37歳)が慰謝料など550万円をもとめた訴訟で、東京地裁(下澤良太裁判長)は1月27日、意に反した連れ出しがあったことを認定した。

「あけぼのばし自立研修センター」(東京都新宿区)を運営するクリアアンサー社など2社(破産)と、女性の母親に対して、慰謝料など55万円の損害賠償を認めた。

女性側が1月28日、明らかにした。代理人の望月宣武弁護士によれば、引き出し業者をめぐる事件で、連れ出しが不法行為として認定されたこと、母親の「共謀」が認められたのは初めてのケースだという。

●入所に真摯な承諾がなかった

判決文などによると、ひきこもり状態にあった女性は2017年10月3日、母親が契約した業者から、意に反して自宅の部屋から連れ出され、3日間にわたって施設に監禁されたと主張していた。提訴は2019年8月2日。

判決は、女性が自らの意思で施設から外出することが著しく難しい状態にあったと評価するのが相当とした。また、業者が施設に入所させ、外出を困難にさせたことは、女性の意に反するもので不法行為にあたると判断した。

「羽交い締めにされた」という女性の主張通りの強制的な連行を認定しなかったが、それでも、少なくとも7時間の説得にあったことなどから、女性は施設に向かう以外の選択肢がなく、やむなく業者に同行したとして、「入所に真摯な承諾」がなかったとした。

また、業者側も、真摯な承諾を得られなかったことを認識したまま連れ出したとした。

●連れ出しが違法と認められた

引き出し業者をめぐっては、関東地方の30代女性が母親とともに、自宅から強制的に連れ出され、暴行などをうけたとして、都内の業者に契約不履行や慰謝料など1727万円をもとめた裁判で、業者に約505万円の支払いが命じられている(東京地裁判決、2019年12月26日)。

望月弁護士は「前回判決では、侵入は認めたが、連れ出し行為そのものは不法行為として認められなかった。今回は強制的でなくても連れ出し行為が認められた」と判決を評価している。