最近、新たな移動手段として電動キックボードに注目が集まっています。首都圏や大阪・京都、福岡などでは電動キックボードのシェアサービスもスタートしています。

ただ、シェアサービスを除いては、ナンバーや原付免許なしに公道を走行できないにもかかわらず、無免許運転や飲酒運転が横行するなど、様々なトラブルが起こっています。

今後、会社員の通勤手段としても普及しそうですが、現状では、十分にルールが理解されているとは言い難い状況です。

もし、従業員から「電動キックボードで通勤したい」と言われた場合、会社はどう対応すればいいのでしょうか。山本幸司弁護士に聞きました。

●原付自転車に関する社内規程があるかどうか

電動キックボードの通勤使用にあたって、何を確認すればいいのでしょうか。

「電動キックボードは近年注目され始めた乗り物であるため、就業規則や通勤規程で明示的にルールを定めている会社は少数ではないかと思われます。

現行の道路交通法では、電動キックボードは『原動機付自転車』(いわゆる『原付』)に該当します(ただし、定格出力が基準値以下の場合)。

そのため、原動機付自転車通勤に関する社内規程があれば、電動キックボード通勤に適用される場合もあります。電動キックボード通勤については、こうした規程類を確認されると良いでしょう。

もっとも、2022年4月に道路交通法の改正があり、2年以内の施行が予定されています。この改正により、電動キックボードの車両区分が、『原動機付自転車』から『特定小型原動機付自転車』に変更されます。そうすると、改正法の施行後は、原動機付自転車通勤の規程が電動キックボード通勤には適用されない可能性があります」

●通勤で事故が発生した場合、会社が賠償責任を負う可能性も

現在、就業規則や通勤規程上、電動キックボードの利用が禁止されていない場合、会社はどう対応すればいいのか。

「電動キックボード通勤により交通事故が発生し、第三者が負傷した場合、雇用主である会社は損害賠償義務(民法715条の使用者責任)を負う場合があります。

そのため、会社としては、賠償保険への加入を条件に通勤時の利用を許可するという方法が考えられます。

許可制に変更するには、『当該事業場の労働者のすべてに適用する定め』(労働基準法89条10号)として、就業規則や通勤規程で定める必要があります」

【取材協力弁護士】
山本 幸司(やまもと・こうじ)弁護士
広島弁護士会所属。企業法務(上場企業、医療機関など)、不動産、労働、相続・離婚問題、刑事事件などの分野で経験を積み、広島市で独立開業。税理士と共同して、法務・税務の両面からトータルサポート。
事務所名:山本総合法律事務所
事務所URL:http://www.law-yamamoto.jp