あっ、危ない! 街中を走る電動キックボードの増加に伴い、危険な場面に遭遇する機会が増えてきた。歩道を爆走したり、ヘルメットやナンバープレートをつけずに車道を爆走したり——。そこであらためて、基本的な交通ルールを整理しておきたい。

●2022年4月には改正道交法が成立

シェアやレンタルも含め、使用方法が増えている電動キックボード。最近では、トヨタやホンダといった自動車メーカーも市場に参入するなど、その勢いを増している。

それに伴い、さまざまな種類が増える中、2022年4月には電動キックボードの規制緩和を盛り込んだ改正道路交通法が成立。一定の基準を満たす電動キックボードは、新たに設けられた車両区分「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」に分類されることとなった。

改正法は2024年4月までに施行される見込みだ。しかし、法改正されることを知ってか知らずか不明だが、ナンバープレートを付けずに公道で電動キックボードを走らせる人や、歩道を堂々と走行する人を目にすることも珍しくない。

●改正まではあくまで「原付」扱い

現行法上、キックボードはどのように定められているのだろうか。道交法に詳しい渡辺伸樹弁護士は、「定格出力0.60キロワット以下の原動機により走行する電動キックボードは、現行法上、原動機付自転車(原付)に区分される」と話す。

「原付については、公道を走行する際、ナンバープレートの表示、保安基準に適合する装置等の取付け、運転者のヘルメット着用などが法令上義務づけられています」

冒頭であげたようなヘルメットなどをつけずに車道を走行することは(写真参照)、問題はないのだろうか。

「電動キックボードが原付にあてはまる場合、ナンバープレートが表示されていない、バックミラー等の保安装置が取り付けられていない、運転者がヘルメットを着用していない走行は問題があるといえます」

「原付」については、走行できる場所も道交法で明確に定められている。

「原付は、歩道と車道の区別のある道路においては原則として車道を通行することとされ、歩道を走行することは禁止されています」

車道の場合はどうだろうか(写真参照)。

「周囲の道路の様子がはっきりとはわかりませんが、電動キックボードが走行している地点は、点字ブロックが設置されていることなどから、歩道にあたる可能性が高そうです。もし歩道だとすれば、道交法上の通行区分違反の問題となります」

改正法での変更点について、渡辺弁護士は、「最高速度(時速20キロメートル以下)や車体の大きさが一定要件を満たす電動キックボードについては『特定小型原付』に区分される」としたうえで、「16歳以上なら運転免許が不要となり、ヘルメットの着用義務が緩和され、時速6キロ以下に制御できる場合には例外的に一部の歩道での走行もできるようになる」と説明する。

ただし、これらの変更は改正法施行後の話だ。渡辺弁護士も「改正法が施行されるまでは、あくまでも現行のルールを守らなければならない」と注意を促す。

「現在電動キックボードを利用している方、改正法施行前に電動キックボードを利用しようと考えている方は、現行のルールをきちんと把握しておく必要があるといえるでしょう」

【取材協力弁護士】
渡辺 伸樹(わたなべ・のぶき)弁護士
弁護士法人一新総合法律事務所 長野事務所 所長
中央大学法科大学院を修了後、2011年に弁護士登録。新潟県内に5か所と長野・高崎・東京に拠点を有する一新総合法律事務所に所属し、交通事故をはじめとした事故賠償案件に注力している。
事務所名:弁護士法人一新総合法律事務所 長野事務所
事務所URL:http://nagano.isshin-law.jp/