JASRAC(日本音楽著作権協会)との5年にわたる裁判に区切りがつけられたことで、音楽教室側は「すべての論点で勝ったわけではない。100点満点でないが、争った意義がある」と前向きな姿勢を示した。

音楽教室のレッスンで使う楽曲に著作権使用料を支払う必要があるか争われた裁判で、最高裁が10月24日、生徒の演奏について支払う必要はないとする判決を言い渡した。

支払いを求めるJASRACの上告を棄却したことで、レッスン中の先生の演奏については支払う必要があるとした知財高裁判決が確定した。

これをうけて、音楽教室側は同日、「司法での戦いは終わったので、結果を誠実にうけとめる」とし、そのうえでJASRAC側と著作物使用料率について協議をすすめる考えを明らかにした。

●1審はJASRACの全面勝訴→2審は一部勝訴だった

JASRACがレッスン中の著作権使用料徴収の方針を立てたことから、約250の音楽教室事業者らは2017年に裁判を起こして「レッスン中の演奏に演奏権は及ばない」と主張した。

1審・東京地裁判決は、音楽教室側の主張を棄却。2審・知財高裁判決は、先生と生徒の演奏について分けて考え、先生の演奏に限って徴収できるとしたが、「生徒の演奏に演奏権は及ばない」とする考えを示した。

これを不服としたJASRAC側が上告し、最高裁では生徒の演奏について検討されていた。

原告が加盟する「音楽教育を守る会」の大池真人会長(ヤマハ音楽振興会常務理事)は、生徒の演奏に演奏権が及ぶとの考えが示された場合は「大きなインパクトがあった」とし、「最悪の事態は避けられた」と胸をなでおろした。

JASRACから徴収の方針が示された当初は、音楽文化を支える役目を担う音楽教室のため、裁判を起こし、業界一体になって戦わざるを得なかったと振り返る。

大池会長は、音楽教室を取り巻く環境は「厳しい」とする。演奏人口の減少や、裁判のさなかにあった新型コロナ禍では、密になりやすい教室の営業に影響があった。「裁判の5年のうちに、原告のなかには廃業せざるをえなかった教室もある。影響は特に地方で顕著だった」(大池会長)という。

判決が確定したことで、今後は使用料率の協議が進められる。JASRAC側は受講料収入の2.5%を示したが、音楽教室側は「2.5%ありきで議論を始めない」とする考えだ。

また、会見とあわせて、声明も出され、〈今回の最高裁判決を踏まえて、私たちは、著作物の利用と保護の適切なバランスを考え、音楽文化の発展に寄与して参ります〉とコメントしている。

●最高裁における弁論の活性化

教室側代理人の三村量一弁護士は、最高裁で9月に弁論が行われたうえで、棄却という結果となったことに、「棄却であっても、重要な事柄については、多くの人に知らせ、納得できるように、手続きを行おうという裁判所の考えではないか」と語った。