性犯罪に関する刑法改正について検討してきた法制審議会の部会が10月24日に開かれ、法改正の試案が示された。

試案は、現在13歳の「性交同意年齢」を年齢差(5歳)要件を設けた上で16歳に引き上げ、強制性交等罪では「拒絶困難にさせる行為」として具体的に8つの類型を列挙するなどの内容。

これを受け、性被害の当事者団体など12団体でつくる「刑法改正市民プロジェクト」が24日、試案に反対する声明を発表した。午後には会見を開き、「被害者の拒絶困難を問い、性交同意年齢に年齢差要件以外の要件を加え、地位関係性利用罪を個別に創設しない試案。現在のままでは非常に不十分であいまいだ」と訴えた。

●「拒絶困難にさせる行為」8つの類型

同プロジェクトは、不同意性交等罪の導入、性交同意年齢の引き上げ、地位関係性利用罪の導入の3点を求めてきた。

試案は強制性交等罪の構成要件として以下の8つの類型を列挙し、これらにより人を「拒絶困難」(拒絶の意思を形成し、表明しまたは実現することが困難な状態をいう)にさせ、性交、肛門性交又は口腔性交をした場合、5年以上の有期拘禁刑に処するとした。

・暴行または脅迫を用いる
・心身に障害を生じさせる
・アルコールまたは薬物を摂取させる
・睡眠その他の意識が明瞭でない状態にする
・拒絶するいとまを与えない
・予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、又は驚愕させる
・虐待に起因する心理的反応を生じさせる
・経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる

今回新たに設けられた「拒絶困難」という要件について、声明は「これまでの抗拒不能要件と同じく、拒絶困難であるかどうかについて、裁判官の裁量によって著しく狭く解釈される危険性がある」と指摘。

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の中山純子弁護士は「個別要件に絞りをかけるための包括要件として、拒絶困難という要件が加わっている。困難であったかどうかの立証を被害者側に課すことになってしまうのではないか。並列関係にして、縛りをかける関係ではないことを明確にしてほしい」と話した。

●性交同意年齢「犯罪成立を妨げるような要件」

試案は、性交同意年齢について、これまでの13歳未満に加えて、5歳以上離れた者が13歳以上16歳未満の対処能力(性的な行為に関して自律的に判断して対処することができる能力)が不十分であることに乗じて性交等をしたときに処罰対象とした。

これに対し、声明は「対処能力が不十分であることに乗じたという極めて曖昧な要件まで要求し、犯罪成立を妨げるような要件を課すことは、子どもの保護の観点から到底容認できない」と年齢差以外の要件を加えないよう求めた。

●地位関係性「現状が変わらない」

試案は、教師やスポーツの指導者といった地位・関係性を利用して行われる性交等についての罪を新設せず、強制性交等罪などの構成要件の中に「経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」という類型を盛り込んだ。

これに対し、声明は「憂慮しているかどうかは、行為者側の事情ではなく相手側の主観だ」と批判。

中山弁護士は「加害者側が、(被害者が)憂慮していることや拒絶が困難になることを認識していないと故意が成立しない。そういった認識を持つことが可能なのか大いなる疑問。このままでは現状が変わらない。客観的な地位関係性を列挙した上で、それを利用したり乱用したりして性暴力してはならないと真正面から提示していただきたい」と訴えた。