世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やエホバの証人などの信者を親に持つ「宗教2世」が10月27日、国と全政党に対して早期の救済を求める要望書を提出した。12月10日までの今国会会期末をデッドラインとして、法整備を求めている。

父親が旧統一教会の教会長だった小川さゆりさん(仮名)は、岸田文雄首相に向けて、こうメッセージを送った。

「旧統一教会のアンケートだけでも60件以上の被害事例が集まりました。証言してくれる方はたくさんいます。ぜひ紹介させてほしい。これは親子や家族の問題ではありません。どうか前向きに、早急に救済をしていただきたいです」

●統一教会だけでなくエホバも

会見に出席したのは、小川さんのほか、小川さんの夫、旧統一教会現役2世信者の高橋みゆきさん(仮名)、元エホバの証人2世の団作さん(オンライン)。

高橋さんは安倍晋三元首相銃撃事件の翌日から、2世救済を求める署名活動を展開している。親に発覚することを恐れているため、会見等に出る際は声なども変えて報道するよう求めている。

事件前から2世問題を発信していたものの、広がらなかった経験がある。「ようやく社会に耳を傾けてもらえることになり感謝している」とした上で、まだ国は一部の被害しか把握できていないのではと疑問を投げかける。

「ありとあらゆる宗教が家庭内という閉ざされた環境で子どもに好き勝手やってきた。信者の子どもを奴隷化してきたんです。『人権侵害まっしぐら』です」

日本という先進国で、人の尊厳を踏みにじることがまかり通っていることを許さないでほしいと訴えた。

●「見捨ててきた国は、けじめつけて」

厚生労働省は10月6日付で、保護者の信仰に起因する行為も虐待となる場合があるという通知を全国の自治体に出した。

高橋さんはこれについても感謝の念を示しながら「数十年間、見捨てられてきた歴史の当事者からすると、通知だけで本当に我々は救済されるのかと不安なんです」と説明。現場の職員が類型化して対応するには法的根拠が必要だとして、児童虐待防止法の改正を求めた。

今国会のタイミングを逃したら、また議論が下火になることを危惧しているという。現在も苦しんでいる子どもの声として、学費を使い込まれて進学できないため2世向けの奨学金制度が欲しいなどという切実な思いを紹介した。団作さんも、集会で寝てしまうとむちでたたかれたり、休日も戸別訪問して布教させられたりした過去を話した。

「親を狂わせているのは、背後にいる宗教組織。教義に基づいて虐待が常態化している」(高橋さん)。小川さんも「たまたまカルト宗教のもとに生まれてしまって、ただ運が悪いという問題じゃない」「人をだますような宗教法人に国がお墨付きを与えてきた異常な状態。きちんと、けじめをつけてほしい」と話し、救済に超党派で取り組むよう求めた。