旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題を受けて設置された関係省庁連絡会議に参加する文科省・厚労省・外務省が10月28日、「宗教2世」の当事者や、韓国から帰国した元信者と面会した。

面会後、当事者や元信者は、3省面談の結果をメディアに報告した。虐待行為を受けた宗教2世らを救うため、3省が前向きな姿勢を示したものの、学校現場などで対応にあたる職員の理解不足などの課題が見えたという。

●「役所が本気を出してきた」

今回セッティングされた面会は、心理学者や弁護士などでつくるネットワーク「日本脱カルト協会」が、宗教2世らへの支援をもとめる要望書を提出したことを受けたもの。

要望書は、旧統一教会を含む宗教、宗教を名乗らないカルト集団の2世や、それ以降の世代の信者の脱会・救済をもとめた。児童虐待の対応や社会福祉の制度に2世問題への対応を組み込むことや、韓国など海外で支援を必要とする宗教2世の支援などをうったえている。

日本脱カルト協会の代表理事で立正大学の西田公昭教授(対人・社会心理学)は「役所もだいぶ本気で取り組んでくれている。互いにどのように問題に向かっていくか、貴重な建設的な面談ができた」と話した。

西田教授によると、3省は問題に前向きな姿勢を示しているが、現場レベルで宗教の知見に乏しく、問題の背景の理解が浸透していない現状がわかったという。

そこで、虐待行為を受けた宗教2世らを児童相談所に対応させる場合や、学校でスクールカウンセラーがケアにあたる場合を想定して、職員やカウンセラーに対する専門家やマニュアルによる研修・教育の提供といった協力を日本脱カルト協会側から申し出た。

これまで虐待に含まれると考えられてこなかった「宗教的な活動への参加」や「友人との交流の遮断」といった行為も、虐待に含むべきだと伝えたという。

●日本人妻らの帰国を実現するために

また、合同結婚式で韓国人男性と結婚し、韓国に渡ったまま帰って来れない日本人女性へのバックアップについても話し合われた。

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日本脱カルト協会の川上靖惠理事は、自身も統一教会の元信者で、韓国人男性と結婚したのち、脱会して子どもを日本に連れ帰った。

「農村部で貧しい生活を送る女性らは、帰国したくても、渡航費用やパスポートを取り上げられているケースが少なくなく、子どもを連れて帰国する場合もハーグ条約がハードルとなっている」(川上理事)

帰国費用の貸付は可能との考えが外務省から示されたが、その後の日本での就労や就学など生活基盤の準備は、省庁間での連携や、受け入れる地方自治体の問題となり、ここでも課題が見えた。

●学校の先生は僕の「違和感」に気づいて助けてほしかった

今回の要請は、旧統一教会に限らず、既存の宗教やカルト的な団体の2世らも含めた支援をもとめている。

旧統一教会ではないカルト的な宗教の2世男性も、3省の担当者と面会を果たした。

「子どものころから布教活動以外のことを考える時間が家庭になかった。大人になって脱会して初めて、勉強したかった、時間のロスがあったと悔しかった。あのとき、学校の先生が気づいて『アナタはそれでいいの?』と他の道を教えてくれていたらと後悔がある。

文科省からは『チーム学校』で生徒に取り組むと言ってもらえて心強かった。先生はとても忙しい状況にあるので、少しでも生徒の違和感に気づいたときにチームとしてバックアップしてほしい」

これまで、宗教2世の声を国に届けることはむずかしかったと登壇者は口をそろえる。

理事の1人は「カルト問題は根が深い。複雑なところがあるので、各省のみなさんの動きも大変なので、私たちも連携して、原因を粉砕できるようにお手伝いしたい」として引き続き協力を続ける考えを示した。