契約形式上はフリーランスだが、実態は企業に雇用される労働者と変わらない「偽装フリーランス問題」を防ぐため、「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」(平田麻莉代表)は、フリーランスの労働者性の有無の判断基準や注意事例をまとめた冊子を作成した。

フリーランスの労働者性の有無は、個別の事情などを踏まえ、総合的に判断するため法律家でも判断が難しい。発注側が不安に感じるあまり、フリーランスを飲み会に誘うことや、一緒にトイレに行くことまで禁止するなど、過剰に保守的なルールを設けるケースも出ている。

冊子では、どのような事例が「労働者性がある」とみなされる可能性が高いのかを、平易な言葉で具体事例を交えて紹介している。2月20日、冊子を使った勉強会を開いた平田代表は「フリーランスと取引する事業者や、フリーランスの皆さんに活用してほしい」と呼び掛けた。(ライター・国分瑠衣子)

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●Amazon配達員やフリーカメラマンの労働者性認めたケースも

フリーランスは発注者と業務委託契約を結び、発注された仕事をする。仕事の進め方には自由な裁量があり、原則として労働基準法上の労働者には当たらず、労働関連法で保護されない。ただ、フリーランスが働く時間や場所に拘束されたり、一社に専属して他の会社の仕事を受けられないほどの労務を提供したりなど、実態は労働者と変わらないのが「偽装フリーランス」だ。

偽装フリーランス問題を巡っては、2023年4月に成立したフリーランス新法の国会審議で「いわゆる偽装フリーランスや準従属労働者の保護のため、労働基準監督署等が迅速かつ適切に個別事案の状況を聴取、確認した上で、適切に対応できるよう十分な体制整備を図ること」と、附帯決議がつけられた。

フリーランスであっても「労働者性がある」と認められるケースも出ている。2023年には配達中に事故にあったAmazonの配達員や、撮影に向かう途中事故にあったフリーカメラマンの男性が労災認定された。

●発注側が過剰なルール設ける、オーバーコンプライアンス問題とは

労働者性の有無の判断は複雑なため、発注側が過剰に保守的なルールを設け、フリーランスと労働者の双方が働きづらくなるケースも出始めた。平田代表は「私が聞いたケースでは、フリーランスを飲み会に誘ったり、一緒にトイレに行ったりするのは禁止という発注者もいました」と話す。

今回、フリーランス協会が作成した冊子は、「労働者性がある」と判断される可能性があるケースや、「やりすぎ」と思われる過剰対応について具体例を挙げ「要注意の例」「許容範囲の例」「やりすぎかも!?」と事業者が一目で分かるようにしたのがポイントだ。

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例えば、「業務遂行上の指揮監督の有無」の場合、マニュアルや台本があり、その手順を順守するよう指導するケースは「要注意」とした。飲み会など1対1のコミュニケーションを避けるケースは「やりすぎかも!?」としている。このほか、受注者が仕事を受けるか受けないかを自由に決めることができているか、勤務場所や時間が指定・管理されていないかといった項目がある。

手引きの監修に携わった益原大亮弁護士は、厚生労働省労働基準局労働条件政策課の課長補佐・労働関係法専門官の経験がある。益原弁護士は「フリーランスの労働者性は個別の事情を見ながら総合的に判断するが、法律家でも難しいです。どんなケースが労働者性があるとされるのか冊子で感覚をつかんでほしい」と話している。