NHKの看板報道番組「クローズアップ現代」で「やらせ行為」があったのではないかという疑惑が週刊誌などによって報じられている。この問題について、NHKは4月9日、調査委員会の中間報告を公表した。NHKの記者が取材対象者に演技を指示したのでないかという指摘について、記者は「演技の依頼はしていない」と否定しているという。

やらせ行為があったと指摘されているのは、2014年5月14日にクローズアップ現代で放送された「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」という番組。多重債務者をブローカーを介して出家させ、名前を変えて金融機関から住宅ローンをだまし取るという「出家詐欺」の手口を紹介した番組だった。

ところが今年3月、番組で出家詐欺をあっせんする「ブローカー」とされた男性(A氏)が、「NHKの記者に依頼されて、架空のブローカー役を演じた」と週刊誌上で告白。国会で取り上げられるなど波紋が広がったのを受け、NHKは、堂元光副会長を委員長とする調査委員会を設置して「やらせ行為」があったかどうか調べていた。

●撮影の当事者のあいだで主張が食い違う

この日、発表された中間報告では、やらせ疑惑、すなわち「記者が演技を依頼したのか?」と点について、撮影の当事者にヒアリングした結果をまとめている。A氏は撮影前の打ち合わせで、記者から「ブローカー役を演じるように依頼された」と主張しているが、取材した記者は「演技の依頼はしていない」と一貫して否定している。

番組で多重債務者として登場するB氏も「記者が演技を依頼したことはない」と話しているという。つまり「やらせ」があったのかどうかについては、撮影の当事者の間で、話している内容に食い違いがある状況だ。

また、A氏は「自分はブローカーではない」と主張しているが、この点について記者は、A氏が「出家詐欺」の手口を詳細に語ったり、自らを「われわれブローカー」と称したことから間違いないと思ったという。一方、A氏は「数年前に知人の寺で見聞きした知識や、十数年前に知人から聞いた出家詐欺に関する話を語った」としており、記者の主張との食い違いが見られる。

●「活動拠点」とコメントしたことは誤り

番組では、記者が取材で訪れるビルの一室を「ブローカーの活動拠点」として紹介する場面があった。しかし、この部屋は、実際にはB氏の知人が借りているもので、活動拠点ではなかったのだという。中間報告では、「『活動拠点』とコメントしたことは誤りであり、裏付けが不十分であった」と認めている。

NHKの調査委員会は、今後の対応として、取材・制作のプロセスや放送内容が適正だったのか、関係者の話が食い違う点を中心にさらに調査を進めるとしている。

(弁護士ドットコムニュース)