風俗で写真と全くの別人が来て、キャンセルしたい場合でも、キャンセル料を支払う義務があるのでしょうかーー。そんな投稿が弁護士ドットコムの法律相談コーナーにありました。

投稿者によると、風俗の予約をする際、女性の写真を見て指名したそうですが、写真とは全く違う女性がホテルに現れました。キャンセルに関しては、事前のお店との電話で、「キャンセルする際は予約時間の30分前に電話を入れてください。その後はキャンセル料が発生します」と言われていたそうです。

写真を見て指名をしたのに、全く違う人が来てキャンセルする場合でも、キャンセル料は全額支払う必要があるのでしょうか。小沢 一仁弁護士に聞きました。

●店側は写真と同じ人を向かわせる契約上義務がある

相談者によると、予約時間の30分前まではキャンセルができたということです。

「相談内容にあるようなキャンセルに関する合意が成立しており、その立証も可能であることを前提にしますが、今回の合意はあくまでも『予約時間の30分前までのキャンセル』を認めるものであり、事前の予想とは異なる人が来た場合にキャンセルを認めるものではありません。そのため、そもそもこの合意に基づくキャンセルはできないと思います」

では今回のようなケースでもキャンセルは認められないのでしょうか

「そういうわけでもありません。店側の『債務不履行』が問題になると思います。写真に写っていた人物を指名して契約した以上、店側には写真に写っている人物と同一人物を向かわせる契約上の義務があると思います。そのため、これを怠った場合は、債務不履行(正当な理由なく債務を履行しないこと)にあたると思います。

相当期間(本件では『直ちに』ということになると思います)を定めて同一人物を向かわせるように催告しても対応がない場合は、契約を解除することができます(民法541条)。

キャンセル規定に基づく解除ではなく、法定解除権に基づく解除なので、この場合、キャンセル料を支払う必要はありません」

●同一人物だが容姿が異なる場合は、程度の問題になる

同じ人だけれど、かなり写真を加工していたため、見た目が写真と異なる場合はどうなりますか。

「同一人物であるが、写真が加工されるなどして実際の人物との容姿が著しく異なっているような場合は、写真どおりの容姿の人物を向かわせる契約上の義務に違反しているという主張をすることになると思います。しかし、容姿が異なるか否かは評価の問題ですので、どの程度の容姿の違いがあれば債務不履行にあたるかという点は問題になると思います。また、この場合、説明義務違反による債務不履行解除の主張も考えられると思います」

●写真の加工で容姿が違う場合は、重過失があるかどうかが問題

「なお、表意者(今回の相談者)に重過失がある時は、自ら錯誤無効の主張をすることはできません(民法95条但書)。ただ、同一人物ではあるが、写真の加工等により実際の人物と容姿が著しく異なるような場合は、重過失の有無が問題になりうると思います。この点は、風俗店に掲載されている写真が、一般的に修正・加工されていると言えるかどうか、言えるとして、それがどの程度広く認識されているかによって、結論が決まってくると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
小沢 一仁(おざわ・かずひと)弁護士
2009年弁護士登録。2014年まで、主に倒産処理、企業法務、民事介入暴力を扱う法律事務所で研鑽を積む。現インテグラル法律事務所シニアパートナー。上記分野の他、労働、インターネット、男女問題等、多様な業務を扱う。
事務所名:インテグラル法律事務所