関西地方のある国立大学では、部外者が授業に潜り込んでいることがよくある。学生がスマホを片手に授業を受けている中で、一生懸命ノートをとり、教授の話に熱心に聞き入っている。聞けば、仕事をリタイアしてやることがなかったので、趣味もかねて朝から興味のある授業を受けているという。

この大学にかぎらず、入館できる建物はかぎられているものの、「見学自由」になっていたり、「関係者以外立ち入り禁止」が有名無実化しているため、あきらかな部外者の姿をちらほらとみかけるところも少なくない。なかには、大学の体育館にあるシャワールームを使っている猛者もいるようだ。

一方で、ネット上には「大学の授業に部外者が潜り込むのは犯罪か?」といった質問もあがっている。はたして、大学の授業に潜り込むことは、法的に問題ないのだろうか。また、体育館のシャワールームまで使うことはどうだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。

●大学側が黙認していれば「違法」とならない可能性も

「ほかの建物と同じように、大学についても、正当な理由がなかったり、管理者の意思に反して、立ち入ることは許されていません。大学の管理者は、学長や総長です。その意思に反して立ち入れば、『建造物侵入罪』が成立する可能性があります」

授業に潜り込む行為にも、建造物侵入罪が成立するのだろうか。

「問題はどのような場合に、大学に立ち入り、授業を受けることが管理者の意思に反するといえるかです。

原則としては、大学に在籍するなどして、契約上、受講する権利がある人以外については、管理者は授業に参加することを認めていないと考えられます。

ただし、大学によっては、部外者が授業に潜り込むことを黙認しているところもあると思います。

年齢などから学生でないことが明らかな人が、しょっちゅう授業に出入りしているにもかかわらず、特別な対応も取らず、そのまま授業を受けさせていたというような場合、管理者が部外者についても授業を受けることを黙認していたとみなされ、部外者による受講が違法とはならないこともあると思います」

体育館のシャワールームを使うのはどうだろうか。

「体育館のシャワールームについては、部外者にまで開放するような取り扱いが通常存在しているとは考えられません。適法とされる場合は、ほとんどないのではないかと考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URL:http://blog.goo.ne.jp/niigatanoikoutuujiko