アメリカ・ロサンゼルスの美術館で、女性が自撮りをしようとした際に展示台にぶつかり、展示品が次々とドミノ倒しのように倒れるハプニングが起きた。総額20万ドル(約2200万円)相当の損害が出た。

読売新聞などの報道によると、美術館では、英国出身の芸術家が、様々な素材で作った王冠などの作品を展示していた。たくさんの柱状の台が並ぶ構造になっていた。今回、女性がぶつかったことで、11本の展示台が倒れてしまったという。

女性は謝罪して、芸術家も美術館も「見に来てくれる人を信じたい」として、賠償を求めない考えだというが、もし日本で同じことが起きた場合、損害賠償はどうなるのだろうか。「こんなに倒れやすい台が近接して並べられていることがおかしい」という指摘もあるが、女性が全ての責任を負うことになるのか。浜田諭弁護士に聞いた。

●全責任を負わされる事態は回避できる可能性

もし日本で起きた場合は、損害賠償責任を負うことになるのか。

「そもそも美術館における自撮りの際には、背後等にある美術品にぶつからないように気を付けなくてはいけません。

特に今回のケースのように、柱状の台が複数立っている構造の美術品にぶつかると美術品が倒れてしまう、倒れてしまえば壊れてしまうという結果(1個倒れてしまうとドミノ倒しになって他の物も倒れてしまう結果も含めて)は自撮りの際に予見できたところであり、背後等にある美術品にぶつからないような措置をとること(例えば美術品よりもある程度、離れて撮影する等)によって回避できた可能性があります。

回避措置を怠った結果、美術品が壊れてしまい美術品を出品した芸術家や美術品を展示していた美術館に損害が生じているわけですから不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになるでしょう」

展示の配置に問題があったとは主張できないのか。

「今回のケースでは、芸術品は狭いスペースの中に、柱状の台と台が密集して複数並んでいる構造であり台座が固定されていなかったこと、来館者が芸術品をすぐ近くで観ることができる展示方法がとられていたこと等の事情があります。

ですから、芸術品について、このような展示方法を選んだ芸術家、芸術家の意向を踏まえてこのような展示方法にした美術館にも相応の過失があると思われます。

芸術家や美術館が女性に対して損害賠償請求した場合には、女性側が過失相殺を主張することにより全責任を負わされる事態は回避できるのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
濱田 諭(はまだ・さとし)弁護士
中小企業等の顧問業務や家事事件(離婚・相続)を中心に取り扱っている。日弁連弁護士業務改革委員会(企業コンプライアンス推進PT)委員。平成27年4月1日より弁護士法人みなみ総合法律事務所の社員弁護士。
事務所名:弁護士法人みなみ総合法律事務所宮崎事務所
事務所URL:http://www.minami-lawoffice.jp/