もし、近所に住んでいる犬が脱走して、我が家の愛犬に噛みついて死なせてしまった場合、どのような手段がとれるのでしょうか。例えば、裁判で訴えることや、警察や保健所に対応してもらうことは可能なのでしょうか。

動物問題に詳しい細川敦史弁護士に聞きました。

●刑事事件にはなる?

警察に連絡をして、犯罪として対応してもらうことは可能なのか。

「警察に相談しても、刑事事件として捜査されるのは難しいと考えます。近所の人が故意に犬をけしかけたことを証明できなければ、器物損壊罪(動物傷害罪)は成立しません。

また、犬の管理不十分により人がケガをすれば過失傷害罪(犬種や過去の咬傷事故歴によっては、重過失傷害罪)が成立しうるのですが、過失によって他人のペットを死傷させても処罰の対象となりません」

●損害賠償請求はできる?

保健所などにも通報した方が良いのだろうか。

「最寄りの保健所や動物愛護センターに相談すれば、飼い主に適切な飼い方指導をしてくれるかもしれません。しかしながら、飼い主が自主的に犬を手放さない限り、強制的に連れていくことまではできません。

そうなると、相談者から隣人に対して損害賠償請求をすることが考えられます。犬の飼い主は、相当の注意をもって管理していたことを証明しない限り、損害賠償責任を負います。損害額については、愛犬が亡くなるまでに動物病院でかかった治療費、火葬費用、愛犬を失ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料などが考えられます。

これまで再三注意をしてきたのに改善されなかったのであれば、慰謝料の増額事由として考慮される可能性はあります。但し、ペット死亡による飼い主の慰謝料について、裁判例では、増額傾向はあるものの、それでも飼い主が思うような金額は認められないのが現状です」

 

【参考ページ】

「事故でペットを死なせた 慰謝料は増加傾向」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
細川 敦史(ほそかわ・あつし)弁護士
2001年弁護士登録。交通事故、相続、労働、不動産関連など民事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。ペット法学会会員。
事務所名:春名・田中・細川法律事務所
事務所URL:http://www.harunatanaka.lawyers-office.jp/