両親が切り盛りする飲食店で、30人の団体貸切予約が入っていたものの、時間になっても誰も現れず、最終的に無断でキャンセルとなった…。そんな投稿が12月、Twitterで話題となり、同情を集めた。

こうした無断キャンセルを飲食店業界では「No Show」と呼び、警戒する。予約客のために用意した料理や人件費が全て無駄になるからだ。飲食店向け予約・顧客台帳サービス「トレタ」を運営するトレタ(東京都品川区)が導入店の予約状況を調査したところ、「No Show」はキャンセル全体の約1割近くだった。

客側は気軽にネットで予約を取り、キャンセルせずに放置していた飲食店にとっては、用意した料理や人件費のほぼ無駄になってしまう無断キャンセル。飲食店はそんな失礼な客を防ぐことはできるのだろうか?

●「団体予約だった場合にはお店の経営を揺るがす大打撃に」

飲食店に対し、予約管理や顧客管理などのサービスを提供するトレタは導入店舗が9000店を超える。今年2月には、加盟する飲食店を対象にした「お見舞金サービス」をスタートさせた。「No Show」や災害による急な休業などで損害を被った場合に、1回の申請につき1万円が支払われる(年3回まで)。トレタがこのサービスを始めた背景には、飲食店の大きな悩みである「No Show」の発生があったという。

「予約人数に合わせて食材の仕入れをしたり、テーブルを確保しておいたりしたにも関わらず、当日になってお客様が現れず、連絡も取れなくなってしまうことによる損失は、決して少なくありません。これが団体予約だった場合などには、お店の経営を揺るがすほどの大打撃になってしまうことも考えられます」(トレタ広報担当者)

トレタによると、2013年12月1日から2017年8月31日までの間に、導入店3484店舗の予約2205万3110件のうち「No Show」は19万3880件で全体の0.8%。通常のキャンセルは184万2899件で8.4%だった。トレタ代表取締役、中村仁さんは以前から、予約データを分析。「No Show」が飲食店側に与える影響の大きさを訴えてきた。特に12月はクリスマスや忘年会シーズンが重なることから、飲食店にとっては重要なのだという。

「飲食店にとって、12月売上が月平均売上の1〜2割増、中には5割増近くになるというお店があるくらいクリスマスや忘年会のシーズンは大切です。まさに多くの飲食店にとって、 この時期はその年の命運がかかっていると言っても過言ではありません」(中村さん)

では、なぜ「No Show」が起きるのだろうか。一つには、予約の取りにくいシーズンだからこその落とし穴がある。幹事は参加者の人数や日程がギリギリまで決まらない場合、保険をかけて複数の店を予約、後から都合の悪くなったところをキャンセルするという手法がある。しかし、キャンセルが決まったら「一刻も早く連絡してください」と中村さんは言う。

「飲食店さんは来店しなかった『ドタキャン客』との約束のためにその間、たくさんの『別のお客さんからの予約』を断っています。 こういった一部のマナーの悪いお客さんの"安易な予約キャンセル"が "良質な飲食店の致命傷"になる可能性もある」

●予約時にコース代金を預かる「デポジット予約」で「No  Show」を撲滅

では、飲食店側に何か防止策はあるのだろうか。(1)無断キャンセルの発生状況 (2)無断キャンセルの防止策   (3)飲食店への救済措置について、飲食店情報サイトに取材。無断キャンセルの発生数は明らかにならなかったが、他の点について回答を得た。

掲載店舗数約50万店という「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなび(東京都千代田区)に対策について取材したところ、次のような回答があった。「ぐるなびでは、ノーショーを確認する仕組みを構築しており、ネット予約についてはノーショーを繰り返すユーザーを把握することも可能です。今後については、加盟店様の声やユーザー利便性を考慮し、対応を検討しております」

また、掲載店舗数約86万店でネット予約可能な店舗数は約2万3000店という「食べログ」を運営する株式会社カカクコム(東京都渋谷区)は、無断キャンセルの対策として、「キャンセル導線やキャンセルポリシー表示の強化」「予約確認の通知を予約日前日など複数回送信」「共通ルールとして、(1)同日同時刻での(複数店舗・同一店舗を問わず)重複予約不可 (2)予約時にユーザーが登録した連絡先が無効であった場合、飲食店の判断によりキャンセル可能」などを導入しているという。

また、トレタでは2016年7月から「デポジット予約」をスタートさせた。ヨーロッパでは多く見られるサービスで、クレジットカード決済機能を利用し、予約と同時に「前受金」を預かるというもの。実際に導入した東京・中目黒のレストランでは、1人分の料理コース料金9000円をデポジットとして予約時に預かったところ、無断キャンセルはなくなった事例があった。

「この時期の忘年会をはじめとした幹事さんへお願いです。『予約のキャンセル』を軽く考えないでください。 冗談ではなく、 飲食店さんの死活問題に関わるので、ドタキャン&ぎりぎりのキャンセルは、本当にやめましょう」と中村さんは呼びかけている。

(弁護士ドットコムニュース)