人気のペット犬など、約400匹の犬猫を過密状態で飼育し、繁殖させていたとして、福井県坂井市の繁殖業者(ブリーダー)が3月1日、動物愛護法違反などの疑いで、福井県警に刑事告発された。

工場で大量生産するように、ペット犬などを繁殖させる繁殖業者は「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれている。このパピーミルをめぐっては、母犬の健康面への悪影響などがあるため、専門家から厳しく規制すべきという声があがっている。はたして、どんな規制が必要なのか。(弁護士ドットコムニュース・山下真史)

●「すし詰め状態」よりもひどい「工場」も

このほど刑事告発された福井県坂井市の繁殖業者の「工場」では、約400匹の犬猫が、いくつかの部屋に分けて「すし詰め状態」で飼育されていたという。刑事告発をおこなった公益社団法人「日本動物福祉協会」の調査員は「まるで地獄」とコメントしている(福井新聞)。

動物問題にくわしい細川敦史弁護士は「『パピーミル』の全貌はわかりませんが、福井の現場よりもっとひどい繁殖場はあります」と説明する。あくまで氷山の一角であり、「すし詰め状態」の「地獄」よりもひどい環境で飼育されているところもあるということだ。

●「繁殖業を許可制・免許制で規制すべきだ」

そもそも繁殖業は、ペットショップと同じ「販売業」として、動物愛護法で規制されている。この「販売業」を含む第一種動物取扱業は、いずれも登録制で、条件を満たせば、誰でも営業できてしまう。細川弁護士は「営利のみを追求する悪質な繁殖業者に『動物の福祉』を省みることを期待することはできません」と批判する。

こうした状況の中、環境省は3月5日、動物の適正な飼育管理のために、その基準の明確化・細分化やガイドラインの策定などについて考える検討会をスタートさせた。たとえば、犬猫の繁殖制限措置(5〜6回までに制限)などについて話し合う予定だ。はたして、繁殖業者の規制はどうあるべきか。

「『繁殖業』を『販売業』から切り出して、『登録制』よりも厳しい『許可制』『免許制』とすべきです。繁殖業を営むには、相当の専門知識や倫理感を持った有資格者(獣医師など)の関与も必要です。飼養施設や繁殖回数、繁殖年齢などについては、明確かつ具体的な『数値規制』も導入すべきでしょう」(細川弁護士)

●「営業の自由」も無制限には認められない

個人による繁殖行為(素人繁殖)も問題になっている。遺伝性疾患や多頭飼育崩壊につながるおそれもあるため、細川弁護士は「『繁殖行為』そのものにも規制を入れるべきだ」と付け加える。消費者側のモラルについては、「その部分を強調して、法規制をおざなりにしては、この問題はいつまでも解決しません」(細川弁護士)。

また、規制をすると憲法上の問題がある、という意見については「『営業の自由』も無制限に認められず、目的・手段の点で合理的な規制であれば違憲とはなりません。軽々しく憲法を持ち出して規制強化の流れに水を差すことは、不相当と考えます」と指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)