正社員と非正社員とで手当に差を設けることは、どこまで認められるのかーー。大手物流会社の契約社員が、正社員との手当などに格差があるのは違法だとして格差の是正を求めた訴訟で4月23日、最高裁第二小法廷で弁論が開かれた。

労働契約法20条は、格差の合理性について、(1)業務の内容や責任の程度(2)内容や配置の変更の範囲(3)その他の事情ーーの3要素を考慮して判断するが、具体的にどのような格差が不合理かは解釈の問題となっている。

どのような労働条件の違いが「不合理」に当たるのか。20日に最高裁弁論が行われた「長澤運輸」事件とあわせて、最高裁の判断に注目が集まっている。判決はいずれも6月1日。

●これまでの経緯は

弁論が開かれたのは、物流会社「ハマキョウレックス」(静岡県浜松市)の滋賀県内の支店に勤務する池田正彦さん(55)の上告審。池田さんは2008年から契約社員のドライバーとして働いていた。正社員と同じ仕事内容にも関わらず、契約社員には手当の一部しか支給されていないなどとして、2013年9月に提訴していた。

一審の大津地裁彦根支部は、通勤手当の不支給のみ違法と認めて、会社側に対して1万円の支払いを命じた。

二審の大阪高裁は、正社員に支給される7種類の手当のうち「通勤手当」、「無事故手当」、「作業手当」、「給食手当」は、契約社員にも支払われるべきだと指摘。不支給は同法20条違反に当たると判断し、会社側に77万円の支払いを命じた。

一方、乗務員が全営業日を出勤したときに支給される「皆勤手当」と「住宅手当」については、正社員のみの支給が不合理ではないとした。その後、双方が上告。最高裁で弁論が開かれることが決定した。

●職務内容に違いがないのに格差「不合理」

23日に行われた弁論で、原告側は、二審で住宅手当の支給が「転勤が予定されている正社員は、転勤のない契約社員と違って賃貸住宅に住み続けるなど住宅コストが見込まれている」と判断されたことについて、「正社員の転勤有無や住宅コストが増大するのかについて、実態を吟味しなくてはならない」と反論。

また、二審で「契約更新時に時間給の増額が行われることがありえる」と不合理性を否定されていた皆勤手当については、「職務内容に違いがないのに、格差を設けること自体が不合理」と主張した。

●正社員に対して福利厚生の充実「合理的な裁量の範囲内」

ハマキョウレックス側は、「人材の獲得や定着のために、正社員に対して福利厚生を充実させることは合理的な裁量の範囲内」と主張。

「皆勤手当」や正社員ドライバーが1か月間無事故で勤務した時に月額1万円を支給する「無事故手当」について、「正社員の重い責任を体現した手当」などと反論し、「裁判所があえて不合理と宣言しなければならない労働条件の相違はない」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)