定年退職後に再雇用された非正社員の待遇格差をめぐる訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は6月1日、正社員と非正規社員の賃金格差が不合理かどうかは、「各賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」とする初判断を示した。

その上で、精勤手当については「労働条件の相違は不合理である」と支払いを命じたが、能率給や職務給など給与や賞与、住宅手当や家族手当などの諸手当は認められなかった。また、精勤手当を入れた時間外労働手当(超勤手当)の具体的な計算については、東京高裁に差し戻しを命じた。

原告側代理人の宮里邦雄弁護士は「精勤手当が認められた点は東京高裁判決よりもましだが、非常に残念な判決だ」、原告の男性3人は「非常に残念」「どうしても受け入れられない」「悔しいの一言」と話した。

●これまでの経緯

この裁判は、横浜市にある運送会社「長澤運輸」の男性社員3人の上告審。3人は2014年にそれぞれ定年退職した後、同社に有期雇用の嘱託社員として再雇用された。セメントをトラックで運ぶという正社員時代と同じ仕事内容にもかかわらず、賃金を3割近く引き下げられたとして、同年提訴した。

労働契約法20条は正社員(無期契約労働者)と非正社員(有期契約労働者)との間で、不合理な労働条件の違いを禁止している。格差の合理性については、(1)業務の内容や責任の程度(2)内容や配置の変更の範囲(3)その他の事情ーーの3要素を考慮して判断する。ただ、具体的にどのような格差が不合理かは解釈の問題となっていた。

この規定をめぐり、男性側は「熟練の乗務員を新入りより安く働かせることが不合理であることは明らか」と主張。会社側は「不合理な格差を解消しようとするものであって、雇用形態の異なる無期労働契約と有期労働契約の同一待遇を保障しようとするものではない」などと反論していた。

一審の東京地裁は、「仕事の内容は正社員と同一と認められる。特別な理由もなく、賃金格差があるのは違法だ」と判断し、会社側に対して正社員と同じ賃金を支払うよう命じた。

二審の東京高裁も、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁じた「労働契約法20条」が、定年後の再雇用にも適用されると判断。一方で、「定年後の再雇用において、一定程度賃金を引き下げることは広く行われており、社会的にも容認されていると考えられる」などとして、同法に違反しないと判断。原告が逆転敗訴していた。

(弁護士ドットコムニュース)