腸内環境を善玉菌優位にする「菌活」が話題ですが、そのブームはオーラルケアにも到来! お口の中を善玉菌優位にして虫歯予防につなげようとするものですが、間違った歯磨きの仕方では逆に善玉菌を減らしてしまう可能性もあるとか。菌を味方につけて虫歯予防につなげる「口内菌活」とは? 自分で簡単にできるセルフケアの方法を、アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿の歯科医・小川朗子先生に伺いました!

バランスが大切! 身体の中の「善玉菌」と「悪玉菌」

そもそも私たちの身体の中には多くの菌が存在していますが、健康に良い働きをする「善玉菌」と、あまり良くない働きをする「悪玉菌」があります。これらの菌は口の中にもあり、普段はバランスを保っていますが、口の中で悪玉菌が優位になると虫歯や歯周病になってしまうのです。

「虫歯菌」の代表格はミュータンス菌

口の中には、口腔常在菌と言われる菌が生息していて、中でも虫歯の主な原因となるのはミュータンス菌とラクトバチラス菌。特にミュータンス菌は、歯垢(プラーク)を温床として増殖し、歯の成分であるミネラルを溶かし、この状態が進むと虫歯になってしまうのです。

歯磨き粉で善玉菌が減ってしまう!?

毎日行っているのが歯磨きですが、間違った方法だと逆効果になることも。抗菌作用の高い歯磨き粉やマウスウォッシュは、虫歯や歯周病菌の除菌だけでなく、お口の中の良い菌も全て殺菌してしまう可能性があります。歯周病の進行や虫歯が多発している環境を一時的に良くするには有効ですが、予防として常用するには注意が必要です。過剰なケアで良い菌まで殺菌してしまうことは、菌のバランスを崩す可能性があるため、避けた方が望ましいのです。虫歯予防のためには、正しく「菌」を活用する必要があるのですね。そこで注目したいのが、「バクテリアセラピー」です。

バクテリアセラピーって?

バクテリアセラピーとは「善玉菌を利用して体内に常在する菌の質やバランスを改善する細菌療法」のこと。虫歯を予防するためには悪玉菌をなくせば良いのですが、抗生剤を用いて悪玉菌をなくすのではなく、善玉菌を摂取して体内で数を増やすことで、悪玉菌の力を抑えようとするものです。歯科クリニックでも「口内菌活」、いわゆる悪玉菌除去という目的でクリーニングや歯肉マッサージなどの治療を行っていますが、簡単にできるセルフケアもたくさんあります。

今日からできる! 口内菌活の方法

そもそもプラークのないツルツルした面であれば唾液の自浄作用で流れてしまうため、虫歯になることはありません。つまり、虫歯にならない環境を作るには、菌の温床となるプラークを作らないこと、唾液をたくさん分泌させること、善玉菌を増やすこと、この3つが「口内菌活」のポイントなのです。

歯磨きで「菌」の温床を撃退

食べかすが歯の表面や付け根、歯と歯の間に残っていると、徐々に菌が増殖をはじめ、プラークになり、その増殖は2日間に渡って続きます。できれば毎食後30分以内にブラッシングすることがおすすめ。せめて1日1回は8〜10分くらいの時間をかけて、磨き残しの多い歯の付け根や歯間、歯の裏側など、隅々まで丁寧に磨きましょう。

研磨剤や抗菌効果、刺激の強い歯磨き粉は避けた方が良いでしょう。歯ブラシを当てて磨くだけでも基本的にプラークを落とすことができますし、歯磨きの間にも唾液が分泌されるので、それだけでも悪玉菌を除菌することができます。歯周病の場合などをのぞいて、抗菌効果の強いタイプを日常的に使用する必要はありません。

舌も磨いて「菌」を取り除く

舌にも舌苔やプラークのほか、舌表面に優先的に付着する菌種もあります。歯磨きの後には舌についた汚れも取り除きましょう。

柔らかめの歯ブラシか、舌ブラシ、ヘラタイプの舌磨きを使って、奥から手前に5〜6回優しくこするように取ってください。この時、ブラシは奥から手前に引いて、往復させないで。

「菌」を流す唾液分泌もカギ!

唾液の中にある免疫物質やラクトフェリンが抗菌作用を発揮して除菌と同等の効果が得られます。唾液分泌を促進するには、フェイシャルトレーニングがおすすめです。

フェイシャルトレーニングの方法1. 唇をしっかり閉じて、舌を頬から唇の周りまで内側から押すようにゆっくりと一周させます。ほうれい線を伸ばすようなイメージで、左右交互に2回1セットを行いましょう。
2. 片方の頬を思い切り膨らませて10秒キープ。もう片方の頬も思い切り膨らませて10秒キープ。交互に2セット行います。思い切り膨らませると耳下腺が刺激されて唾液の分泌が促進されます。

食生活も「菌」を味方にして

善玉菌を増やすには、乳酸菌の摂取もおすすめです。一般的にはヨーグルトや乳酸菌飲料がよく知られていますが、発酵食品にも天然の良い菌が含まれているので、意識して食べるようにしてください。ほかにも、味噌や納豆、ぬか漬け、甘酒やチーズなどがあります。毎日食べるなら、できれば動物性のものより植物性の発酵食品の方が良いでしょう。和食に使われる、醤油やみりんなどの調味料も発酵食品。毎日の食事で簡単に取れるものも多いのです。

その他バクテリアセラピーの一環として、口腔内細菌を除菌できる乳酸菌サプリなどを歯科クリニックで処方してもらう方法もあります。

虫歯予防は日々のケアや食生活で「菌」を意識することが大切なのですね。悪玉菌をやっつけて善玉菌を味方につける「口内菌活」に取り組んで、お口の健康を守りましょう!

今回お話しを伺ったのは...
アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿 小川朗子(おがわ あきこ) 院長
鶴見大学歯学部卒業後、都内開業医勤務を経て アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿を開院し、抗加齢医学会認定専門医に。歯科だけでなく、お口と全身のアンチエイジング治療が定評で、 雑誌をはじめとするメディアでも活躍中。ブログ

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