今から100年近く前のサイレント時代末期に活躍しながらも、長きに渡って映画史に埋もれていた“誰も知らない天才”チャーリー・バワーズの作品をまとめて鑑賞できる企画上映『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』が、2022年9月17日(土)より全国順次公開中です。

モダンでパンク、シュールでクレイジー

 米アイオワ出身、1900年代に多くの無声短編映画を製作したチャーリー・バワーズ。その存在は長らく忘れられていましたが、1960年代にフランスで発見されたことを皮切りに眠っていたフィルムが世界各地で発掘され、21世紀に入り現存する作品のデジタル修復が行われました。そんなバワーズの作品たちが、100年の時を経て日本で初めて劇場公開されます。

 今から100年近く前のサイレント時代末期に生み落とされた、モダンでパンク、シュルレアリスティックでクレイジーなチャーリー・バワーズの作品たち。緻密なストップモーション・アニメーションと実写の融合(“バワーズ・システム”と名付けられている)による奇想天外な映像世界に加え、バワーズがのぞかせる喜劇王バスター・キートンのような憂愁と、キートンをもしのぐ狂気は、観る者を驚かせ、笑わせ、時にはホラー映画のような恐怖さえも感じさせます。

 ところがチャーリー・バワーズは、アンドレ・ブルトンやクエイ兄弟など数々の芸術家たちを魅了し賞賛されているものの、その実態はいまだに謎のまま。これほどの異能が、一体どうして歴史に埋もれてしまったのでしょうか? そんな、自分の存在すら煙に巻いてしまった斜め上の天才バワーズの世界が、この秋、劇場で紐解かれます。

実写映画第一作『たまご割れすぎ問題』(1926年)
実写映画第一作『たまご割れすぎ問題』(1926年)

 上映作品は、発明家バワーズが“割れないたまご製造機”を発明する実写映画第一作『たまご割れすぎ問題』(1926年)、巨大機械を駆使してレストランの全作業を賄おうとする『全自動レストラン』(1926年)、バワーズ再発見のきっかけとなった重要作『ほらふき倶楽部』(1926年)、アニメと実写がスピーディーに融合する幽霊屋敷もののパロディ『怪人現る』(1928年)。さらにキャリア初期に手掛けたアニメ『とても短い昼食』(1917年)と『オトボケ脱走兵』(1918年)も併映されます。

 派手なスタントを盛り込んでいたサイレント映画とバイクは相性が良く、ご存知チャップリンの『メーベルの身替り運転』(1914年)には1913年製のThor IVが登場。バスター・キートンは特にバイク・スタントが多く、『キートンの探偵学入門』(1924年)では1923年製のハーレーダビッドソン・モデルJがフィーチャーされています。また『Taken For a Ride(原題)』(1922年)では、サイドカー付きの1922年製ヘンダーソン・デラックスをスタント女優イースター・ウォルターズが見事に乗り回しています。

“誰も知らない天才”バワーズの世界に触れられる『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』
“誰も知らない天才”バワーズの世界に触れられる『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』

 長きに渡って映画史に埋もれていた“誰も知らない天才”バワーズの世界に触れられる『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ -発明中毒篇-』は、2022年9月17日(土)より東京・渋谷ユーロスペースほか全国順次公開中です。