3年ぶりとなる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」が開幕しました。初戦の「RSTスーパーバイクTT」ではBMW Motorrad「M 1000 RR」を駆るピーター・ヒックマン選手が優勝しました。

ついに開幕! 最初のレースはBMW2輪初の「M」が優勝

 1年に一度開催される伝統の公道レース「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。昨年(2021年)と一昨年(2020年)は新型コロナウイルスの影響で開催されず、3年ぶりの開催となった2022年は、6月4日(土)から決勝レースが始まりました。今年は世界11の国と地域(地元マン島)から63人がエントリーし、1周60キロのTTマウンテンコースを6周する「RSTスーパーバイクTT」から開幕しました。

RSTスーパーバイクTTで優勝したピーター・ヒックマン選手(Gas Monkey Garage by FHO Racing/BMW M1000RR)。写真はプラクティス時、ブラダンチャーチにて(写真/小林ゆき)
RSTスーパーバイクTTで優勝したピーター・ヒックマン選手(Gas Monkey Garage by FHO Racing/BMW M1000RR)。写真はプラクティス時、ブラダンチャーチにて(写真/小林ゆき)

 スーパーバイクTTはイギリス選手権シリーズのBSB(ブリティッシュスーパーバイク選手権)とほぼ同じレギュレーションで、主に4ストローク1000ccの4気筒、または1200ccの2気筒エンジンのバイクが出場することができます。

 BSBと大きく異なるのは、排気音量の規制が無いことです。これにより、公道レースならではの走行ラインと観客の近さで、通過の際に風圧を感じるだけでなく、音圧すらも感じる迫力あるレースとなっています。

 また、今年からテールランプの装備が必須となりました。これも公道レースならではの事情で、道路左右の木立の多さから、日なたと日陰の太陽光のコントラストの差がきつかったり、イブニングプラクティスなどで明るさが足りないシチュエーションがあったりするため、後続車からの視認性を良くして安全性を高める狙いがあります。

2022年で100回目のTTレース出走の記録がかかっているジョン・マクギネス選手のマシンのテール部。テールランプを装備している。裏側までびっしりスポンサーのステッカーが貼ってあるが、コケシのようなイラストシールはマクギネス選手が長年お守り代わりに大切にしているラッキーアイテムだ(写真/小林ゆき)
2022年で100回目のTTレース出走の記録がかかっているジョン・マクギネス選手のマシンのテール部。テールランプを装備している。裏側までびっしりスポンサーのステッカーが貼ってあるが、コケシのようなイラストシールはマクギネス選手が長年お守り代わりに大切にしているラッキーアイテムだ(写真/小林ゆき)

 TTレースはタイムトライアル方式で行なわれ、1台ずつ10秒ごとにスタートします。ゼッケン1番から10番までは固定ゼッケン、以降は予選を兼ねたプラクティスのタイムでスタート順とゼッケンが変わります。

 予選通過の条件は、トップのラップタイムから112.5%以内で、かつ上位50台まで。決勝レースの走行台数が50台に絞られたのは今年からで、タイムトライアルというレースの性質上、トップから最終ライダーがゴールするまでの時間差が大きく、円滑に日程を進めるためにも新たに50台という制限が設けられました。

公道レースなので観戦場所はかなり自由で、例えばこの場所は教会の敷地内に椅子が用意され、教会が独自に入場料を取って観客に開放している(写真/小林ゆき)
公道レースなので観戦場所はかなり自由で、例えばこの場所は教会の敷地内に椅子が用意され、教会が独自に入場料を取って観客に開放している(写真/小林ゆき)

 1周のウォームアップラップ(と言っても1周60キロを走るのに17分から18分かかる)の後、12時ちょうどにレースがスタート。終始、トップのラップタイムを刻んだのはBMW Motorrad「M 1000 RR」に乗るピーター・ヒックマン選手(Gas Monkey Garage by FHO Racing)でした。約360キロのレース中、ノントラブルで走り切り、2位のディーン・ハリソン選手(DAO Racing Kawasaki)とマイケル・ダンロップ選手(Hawk Racing)を40秒近く引き離して、ヒックマン選手にとって6度目のTTの優勝となりました。

 筆者(小林ゆき)が撮影していて感じたのは、他のメーカーのバイクに比べて「M 1000 RR」はウイリーが少ないことでした。あの特徴的なウイングがかなり効いているのか、はたまたウイリーコントロールの制御機構が効いているのか、あるいはその両方なのか。

 今年はイアン・ハッチンソン選手とマイケル・ルター選手も「M 1000 RR」で出場しているので、この後のレースの行方でTTレースとマシンの相性が見えてくるかもしれません。

RSTスーパーバイクTTのスタート直前、グランドスタンドからの大歓声に振り返りつつ応えるジョン・マクキネス選手(写真/小林ゆき)
RSTスーパーバイクTTのスタート直前、グランドスタンドからの大歓声に振り返りつつ応えるジョン・マクキネス選手(写真/小林ゆき)

 開幕戦のスーパーバイクTTで話題となったのは、現役最多勝利の記録を持つジョン・マクギネス選手が100回目のTTレースとなることでした。今年はゼッケン1番の指定で、出走順も1番となりました。その記念すべきスタートシーンでは、大きな歓声がグランドスタンドやピットから沸き起こりました。

 スーパーバイクTTの決勝レースは出走50台中、完走は27台でした。

 15時過ぎに始まったサイドカーTTレース1は、スタート直後のアゴズリープでクラッシュが発生。すぐさま赤旗中断となり、そのままレースは中止。6月6日(月)に延期となりました。