2022年に3年ぶりの開催となった「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。決勝レース2日目は、6月6日(月)にスーパースポーツTTレース1、4日(土)に赤旗中断になったサイドカーTTレース1の振替レース、そしてスーパーストックTTが行なわれました。

これぞマン島TTレースの醍醐味、伝統のタイムトライアル方式

 2022年に3年ぶりの開催となった、1年に一度開催される伝統の公道レース「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。6月4日(土)の「RSTスーパーバイクTT」を皮切りに、決勝レース2日目は、6月6日(月)に「スーパースポーツTTレース1」、4日(土)に赤旗中断になった「サイドカーTTレース1」の振替レース、そして「スーパーストックTT」が行なわれました。

チームがサインボードを出す場所としても知られる「グースネックコーナー」(写真/小林ゆき)
チームがサインボードを出す場所としても知られる「グースネックコーナー」(写真/小林ゆき)

 土曜日のサイドカーTTがクラッシュの影響で1周目の途中で赤旗中止となり、各レース1周ずつの減算、スーパースポーツTTは4周から3周に、サイドカーTTは3周から2周に、スーパーストックTTも4周から3周の予定で開催されました。また、予定されていた2輪のウォームアップラップは中止となりました。

 この日最初のレース、スーパースポーツTTは、主に排気量600ccエンジンのマシンによるレースです。そしてスーパーバイクTTに参戦するほとんど全てのライダーが、このクラスにもエントリーしています。

スーパースポーツTTレース

 スーパースポーツTTは、TTレースにおいてはかつての「ライトウエイトTT」(排気量250ccの2ストロークエンジンを搭載する市販レーサーのクラス)に相当し、マシンのコーナリング性能や軽量なマシンをいかに扱えるかがポイントとなります。スーパーバイクTTとはまた違った顔ぶれが実力を発揮しているのが特徴のクラスです。

「スーパースポーツTTレース1」を征したのは、故ロバート・ダンロップの息子で故ウイリアム・ダンロップの弟、そして故ジョーイ・ダンロップの甥であるマイケル・ダンロップ選手。「スーパーバイクTT」はスズキ、「スーパーストックTT」はホンダ、「スーパースポーツTT」ではヤマハで出場し、優勝を勝ち取った(写真/小林ゆき)
「スーパースポーツTTレース1」を征したのは、故ロバート・ダンロップの息子で故ウイリアム・ダンロップの弟、そして故ジョーイ・ダンロップの甥であるマイケル・ダンロップ選手。「スーパーバイクTT」はスズキ、「スーパーストックTT」はホンダ、「スーパースポーツTT」ではヤマハで出場し、優勝を勝ち取った(写真/小林ゆき)

 出場しているマシンは、4気筒600ccはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの日本4メーカー、3気筒765ccのトライアンフ、それに2気筒955ccのドゥカティです。

 エントリーしたライダーは12の国と地域から69人、そのうち56人が決勝に出走しました。

 レースはスケジュール通り10時45分にスタート。伝統のタイムトライアル方式で、10秒ごとに1台ずつスタートします。

 全3周のレースでチェッカーフラッグを最初に受けたのはゼッケン2番、つまり2番目にスタートしたカワサキ「Ninja ZX-6R」を駆るディーン・ハリソン選手(DAO Racing Kawasaki)でした。レース中の平均時速も126.643マイル(約202.6km/h)と十分で、ハリソン選手が勝ったと誰もが思ったその約30秒後、ヤマハ「YZF-R6」を駆るゼッケン6番のマイケル・ダンロップ選手(MD Racing)がゴール。ハリソン選手を上回る126.865マイル(約202.9km/h)で優勝を遂げました。

 ダンロップ選手は、マン島TTレース最多勝利である26勝の記録を持つ故ジョーイ・ダンロップ選手の甥です。現役選手としてはジョン・マクギネス選手の23勝に次ぐ20勝目を、スーパースポーツTTのコースレコード、1周17分29秒070、平均時速129.475マイル(約207km/h)を記録し、勝利数を積み上げました。

2位に入ったのは、カワサキを駆るディーン・ハリソン選手。父コンラッド・ハリソン選手はサイドカーのベテラン選手だ(写真/小林ゆき)
2位に入ったのは、カワサキを駆るディーン・ハリソン選手。父コンラッド・ハリソン選手はサイドカーのベテラン選手だ(写真/小林ゆき)

 先にゴールしたライダーが優勝とは限らない、というのがタイムトライアルレースの醍醐味で、今回はトータルのレース時間が54分程度の中、1位と2位の差がわずか5.618秒という僅差でした。そして3位と4位の差も、なんと3.547秒差。ピットワークも含め、ほんの少しの差が順位に響き、ゴールするまでわからないレース展開となりました。

 日本からはこのクラスに山中正之選手が出場しており、予選通過63台中62位で通過しましたが、本人のSNSによれば、日本で怪我をした影響で腕上がりを起こし、2周目でピットに戻ってそのままリタイヤしたということです。

 なお、レースは3周目の途中でクラッシュがあり、赤旗中止となりました。その結果、31位から49位までの選手が2周で完走扱いに。出走56台中、完走は49台でした。

サイドカーTTレース

 サイドカーTTは「サイドカーF2」のレギュレーションで、主に4ストローク4気筒600ccのエンジンを積んでいます。日本4メーカーのエンジンのほか、KTMの2気筒890ccのエンジンを積んだマシンもエントリーしています。

「サイドカーTTレース1」で優勝したバーチャル兄弟組。世界選手権のチャンピオンでもある(写真/小林ゆき)
「サイドカーTTレース1」で優勝したバーチャル兄弟組。世界選手権のチャンピオンでもある(写真/小林ゆき)

 サイドカーTTレース1は予定より少し遅れ、14時15分からスタートしました。出場したのはイギリス、マン島、フランス、イタリアの4つの国と地域から36台がエントリーし、31台が出走しました。

 注目は、3度の世界選手権シリーズチャンピオンでもあるベン&トム・バーチャル兄弟と、若手期待のライアン&カラム・クロウ兄弟の兄弟×兄弟対決です。

 レースは2位に約14秒差を付けたバーチャル兄弟が勝利。2位はゼッケン7番のクロウ兄弟となりましたが、3位のゼッケン5番フォンズ/ワルムズリー組との差は、なんと0.005秒! こちらもタイムトライアルの醍醐味を存分に味わえたレースとなりました。出走31台中、完走は15台でした。

スーパーストックTTレース

 この日最後のレースとなるスーパーストックTTは、予定では15時スタートでしたが、18時30分スタートに変更になりました。

「スーパーストックTTレース」で優勝したのは、「スーパーバイクTTレース」でも優勝したピーター・ヒックマン選手+BMW M1000RR(写真/小林ゆき)
「スーパーストックTTレース」で優勝したのは、「スーパーバイクTTレース」でも優勝したピーター・ヒックマン選手+BMW M1000RR(写真/小林ゆき)

 スーパーストックTTは、ほとんど無改造のマシンのクラスで、それだけにライダーの力量が問われるレースです。そこで終始レースをリードして強さを見せたのは、スーパーバイクTTでも優勝したBMW Motorrad「M 1000 RR」を駆るピーター・ヒックマン選手(Gas Monkey Garage by FHO Racing)です。

 これにホンダ「CBR1000RR-R」を駆るデイビー・トッド選手とコナー・カミンズ選手(ともにMilenco by Padgett’s Motorcycles)の同チーム対決といったレース運びとなりました。

 結局、ヒックマン選手が優勝、2位には地元マン島でコーヒーショップ経営のビジネスマンとしても成功しているカミンズ選手が入りました。出走57台中、完走は38台でした。

最終ラップ、最後に通過するライダーまで全てのライダーに拍手と声援を送る観客たち(写真/小林ゆき)
最終ラップ、最後に通過するライダーまで全てのライダーに拍手と声援を送る観客たち(写真/小林ゆき)

 さて、次のレースは6月8日(水)の11時45分(日本時間19時45分)から、山中選手も出場するスーパーツインTTからの予定でしたが、現地時間6時(日本時間14時)現在、主催者より雨で路面が濡れているため2時間遅れでスタートするとの発表がありました。