ホンダのテストライダーを務める傍らで、鈴鹿8時間耐久ロードレース選手権ではHRCの勝利に大きく貢献するなど、レーシングライダーとしても活躍する長島哲太選手が、MotoGP 日本グランプリにワイルドカードで参戦!その想いを聞いてみました。

テストライダーとしてのワイルドカード参戦

 2022年9月24日・25日、モビリティリゾートもてぎで開催されたMotoGP第16戦日本GPの最高峰クラスに、「Team HRC」よりレーシングライダーの長島哲太選手がワイルドカードで参戦。予選後に、その想いを聞いてみました。

 長島選手は、MotoGP moto2クラスでの優勝経験を持ち、ホンダのテストライダーを務めながらも、鈴鹿8時間耐久ロードレース選手権ではHRCの優勝に大きく貢献。全日本ロードレース選手権では、若手ライダー育成チームを運営するなど、ロードレース界に多大な影響を及ぼし続けるライダーのひとりです。

MotoGP 日本グランプリへのワイルドカード参戦を果たした長島哲太選手
MotoGP 日本グランプリへのワイルドカード参戦を果たした長島哲太選手

ー予選の感想をお願いします。

 今日初めて、MotoGPマシンを雨で走らせて、もちろん難しいところがたくさんありましたし、詰め切れていない部分がかなりなるのですが、感触としてはそこまで悪くはなく進めていくことができ、順位としては満足のいくものではありませんが、正直もっとちゃんとまとめれば、もっと前にいけたという感覚はあったので、悔しさも残っています。

 ただ、ある意味貴重な経験ができたのと、ライディングのスキル面でまだまだ足りない部分がたくさんあることが見えたので、ある意味有意義な1日になりました。

ー天候に翻弄されている印象を受けましたが、その点はいかがでしょう?

 それも含めてレースだと思います。ドライコンディションで1歩ずつ詰めていければそれが理想的だったかもしれませんが、雨は雨でちゃんと学ぶことがありますし、データを集めたり、自分のスキルを再確認するという意味では、逆に良かったのかなと思います。

ー同じくホンダのマルク・マルケス選手がポールポジションを取ったことで、マシンのウェットでのポテンシャルが証明されましたが、その認識ですか?

 もちろん自分が乗っていても、まだまだそんなに限界はかんじていないですし、まだまだタイムは上がるなという感触はもちろんありますが、今回のポールに関しては、流石マルク・マルケス選手だなという印象です。

 マルク・マルケス選手の走り方などを映像で見ていても、もっとこうすればいいんだというのを見ながら思いましたし、ここに居られてよかったなと思います。マルク・マルケス選手と自分のライディングがデータ上で比較できるというのは、ライダーにとってこれ以上ないことなので。

 バイク自体だけでなく、スキルの部分を自分のなかで修正していきたいなと思います。

MotoGP 日本グランプリ予選でモビリティリゾートもてぎを走る長島哲太選手
MotoGP 日本グランプリ予選でモビリティリゾートもてぎを走る長島哲太選手

ー決勝はドライ予報ですが、それは嬉しいことですか?

 テストライダーという意味ではドライの方がいいですし、自分がどこまでいけるのか、ドライの方が気持ち的にもしっかりと攻められるかなと。

ー決勝においての自分のなかの目標はありますか?

 ポイントは取りたいなと。参戦が決まった当初は、シングルフィニッシュできるかなと思っていたのですが、いざFP1が終わってみるとGPライダーって流石だなっていうひとこと。自分のテストでのベスト近辺のタイムが出ていても、周りには全然敵わないなと。

 2年間モテギを走っていないなかで、久しぶりにレースの舞台に帰ってきて、こんなに速く走るんだっていう驚きもありました。

 そのなかで明確に、個々が良くなればという点は分かっているので、レースは長いので後ろから、しっかりと他のライダーたちの走りを見ながら走れるというのは、テストだと絶対にできないことなので、しっかりと勉強したいと思います。

―今回のワイルドカード参戦はテストライダーとしての要素が大きいようですが、ファンは長島選手の攻めたレースを期待しています。その点はいかがですか?

 そこに関しては予選もそうでしたが、実戦の勘というか限界の超え方という意味では、実戦から離れて、そこまで時間が経っていないように感じるかもしれませんが、それでもやはり年間何十レースをしている人達に比べると、少し劣っているなというのは感じたので、そこは自分の改善しなければならない部分だなと思いました。

 もちろんレースで、行けるところまで行けたらいいのですが、それが最終目標ではないので、そのなかで最善を尽くしたいと思います。

MotoGP 日本グランプリ決勝でモビリティリゾートもてぎを走る長島哲太選手
MotoGP 日本グランプリ決勝でモビリティリゾートもてぎを走る長島哲太選手

ーウィークを通してドライとウェットの両方を走ったことや、他の選手と混相することで見えてきたものはありますか?

 自分のスキルの面でいうと、ミシュランタイヤの使い方です。雨のなかで、あんなに深くバンクできるタイヤはないので、自分は8耐の時に履いたタイヤのイメージでいたのですが、あんな風には絶対に走れないですし、逆にそれを上手く生かす走り方というのが自分のなかでひとつ見えていて、それはドライでも共通する点でもあるので、それをレインだと大袈裟にやっているというか・・・。

 そういう状況で後ろについても、そこで離されるし、データで比較してもやっぱりそこだよねというのがさらに明確になっているので、バイクというよりは自分自身のほうがまだまだ変えるべき点が大きいと思います。

ー具体的にはどういったポイントが他のライダーと違いましたか?

 マルケス選手の走りを見れば一目瞭然かと思いますが、マルケス選手がやっているリアのブレーキングが、ミシュランだとすごく難しくて、moto2で履いていたダンロップだと勝手に出ちゃうんですけど、もちろんミシュランでも少し出る部分もありますが、それの美味しい位置の使い方ですかね。

 とくに雨だったので、マルケス選手が上手くコントロールしながらスピードを乗せてコーナーに入っていくというのを見た時に、そこまで操れるんだと驚きました。自分はまだ、そのスピード領域でそれができる余裕がないので。スピード領域の感じ方の違いや、仕事量の多さなどが全然違うなと感じました。

ー今回のレースにおけるレーシングライダーとテストライダーの比率を教えてください。

 テストは100%以下の領域で転ばずにバイクを評価しながら走らなきゃいけないのですが、レーシングライダーは100%を超えた120%の領域をいかに使えるかというのと、その120%の領域をいかに100%以下に近づけられるかだと自分は思っていて、その限界領域にまだまだ足が踏み入れられていないので、敢えていかないというのではなく、自分ではまだいけないんです。

 だから、もっともっとそっち側に寄せて身を置いてかないとだめなんだなと改めて感じました。