2022年9月23日から25日にかけて、栃木県の『モビリティリゾートもてぎ』でMotoGP第16戦日本GPが開催されました。3年ぶりの開催となった、日本GPのパドックの様子をお届けします。
開催は3年ぶり、MotoGP日本GPのパドック散策
新型コロナウイルス感染症の影響で2年間中止を余儀なくされてきたMotoGP日本GPは、2022年に3年ぶりの開催となりました。現地へと足を運んで、またはテレビの前で観戦したという方も多いのではないでしょうか。

そんな日本GPのパドックの雰囲気はどんな様子なのか? これまでと何か変わったことがあるのではないか? それを確かめるため、MotoGP取材の合間にパドックへ向かった筆者(伊藤英里)です。ちょっと散策して撮影した写真で紹介しましょう。
まずは「第1パドック」と呼ばれるところ。右側がピット、左側にはプレハブのチームオフィスがずらりと並んでいます。

撮影したのは決勝日である日曜日の午前中だったのですが、以前と比べると人が少ない様子……。通常の日本GPでは、ピットから移動するライダーの動線に沿って柵が設けられるのですが、今回はそれもありません。

なぜパドックに人が少なかったのかというと、2022年は原則として観客のパドックへの入場がなかったからなんですね。来年は以前のように、パドックでもライダーと交流できるような状況に回復することを願うばかりです。

この奥にテレビで映し出されるピットがあります。手前のエリアにはバイクのパーツやタイヤなどが保管されている様子が見えました。

ブラブラ歩いていると、談笑する長島哲太選手を発見。まだレースまでに時間があるとはいえ、MotoGPライダーたちはオン・オフのモード切り替えがすごいなあと、いつも思います。

チームオフィス側はプレハブの建物が3列に並んでいて、ちょっとした迷路! ちゃんとそれぞれの部屋にチーム名などが明記されてはいますが、一見しただけだと全てが同じ部屋なので、気をつけていないと……ちょっと迷います。
もてぎでのピットの並びは、基本的に1コーナー側からMotoGPクラスの全チームが続き、最終コーナー側にいくにつれてMoto2クラス、Moto3クラスの一部のチームのピットになります。常設ピットの数には限りがあるので、Moto2、Moto3クラスの全チームがピットを使用できるわけではないのです。

たとえばMoto2のタイトル争いを演じているアウグスト・フェルナンデス選手擁するレッドブルKTMアジョや、小椋藍選手が所属するイデミツ・ホンダ・チームアジアは常設ピットを使用。Moto3クラスの佐々木歩夢選手のチームも同様です。
いわゆる強豪チームが優先的に常設ピットを割り当てられるようですね。
「じゃあ、常設ピットを割り当てられなかったチームはどうなるの?」ですよね。そうしたチームには最終コーナー側の一角にテント形式のピットが用意されています。

筆者はこれまでにドイツGP、サンマリノGP、バレンシアGPを取材する機会に恵まれたのですが、こうしたテントピットは日本GPに限らず、どのサーキットにもありました。Moto3クラスまで含めると、チーム数は相当な数になりますからね。
じつは日本GPのパドックは、ヨーロッパで開催されるグランプリのパドックとは少し違っています。

ヨーロッパのグランプリではピットの前にずらりとトレーラーが整列し、パドックにはゲストを迎えたり、チームが打ち合わせをしたり、ライダーが食事をとるホスピタリティブースなどが並びます。
これは、ヨーロッパが陸続きだからなのでしょう。ヨーロッパで開催されるグランプリでは、レースが終わればトレーラーは機材を積み込んで次のサーキットに移動していきます。フライアウェイと呼ばれる日本GPのようなグランプリでは同じようにはいかないわけですね。

そう考えると、日本GPと同じくフライアウェイレースであるタイGPやオーストラリアGP、マレーシアGPなどはどんなパドック風景なのでしょう? 気になりますね。各グランプリのパドック風景の違い、という点でも面白さを感じる散策でした。