2022年11月6日、MotoGP第20戦バレンシアGPの決勝レースがスペインのサーキット・リカルド・トルモで行なわれました。MotoGPクラスにフル参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(ホンダ)は、日本GP以来4戦ぶりに復帰、14位でゴールしました。

最終戦へ復帰、来シーズンを見据えテスト走行に参加

 2022年シーズンのMotoGPクラスにフル参戦する唯一の日本人ライダー、中上選手にとって、最終戦は怪我からの復帰戦となりました。アラゴンGPでの決勝レース中の他者との接触、転倒によって右手の薬指と小指を負傷し、手術を受けて日本GPに参戦。その後、小指の腱の断裂によって再び手術を受け、タイGP、オーストラリアGP、マレーシアGPを欠場して回復に努めていたのです。

ホンダのMotoGPマシン「RC213V」を駆り、2022年シーズンのMotoGPクラスにフル参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(#30/LCR Honda IDEMITSU)
ホンダのMotoGPマシン「RC213V」を駆り、2022年シーズンのMotoGPクラスにフル参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(#30/LCR Honda IDEMITSU)

 シーズン最終戦が怪我からの復帰戦となった中上選手に話を聞きました。初日を終えると、指の状態は万全ではなく、感覚に違和感があるということでした。

「(指に)しびれはなく、リハビリしていた通りの動きができています。ブレーキングも問題はないのですが、難しいのはコーナーの立ち上がりですね。アクセルを開けてちょっと加速していったときに、薬指と小指の(グリップの)ひっかかり具合がしっかりつかめていない感じなんです。

 皮膚移植などの手術をしたので、ぐっと握って離す、といった信号がまだちょっと遅れる感じがあります。これが何カ月か経てばもっとよくなると思いますが、(今の状態は)けっこうぎりぎりのラインだなとは、復帰して思います。乗ることはできるけど、求めているパフォーマンス、走りが制限されていると、今日感じました。

 約ひと月ぶりの走行で、周りとは差がありますが、僕もフリー走行1よりはフリー走行2のほうがずっと良くなっています。アジャストしていっている感覚があるので、それは明日も引き続き、やらないといけないなとは感じています」

決勝レースは最後尾の24番手からのスタートとなった
決勝レースは最後尾の24番手からのスタートとなった

 土曜日の予選Q1では11番手。ただ、フリー走行3での走行ライン上のスロー走行によって他者の走行を妨げたとして、3グリッド降格ペナルティを受け、決勝レースは最後尾24番手からのスタートとなります。日曜日の決勝レースでは、前のライダーの転倒もあり、14位でゴールしました。

「朝(ウオームアップ・セッション)は良いグリップがあったんですが、午後(決勝レース)は走り出してみると全く違っていて、グリップが低下していてバイクをコントロールするのが大変でした。でも最終ラップまで全力を尽くしました。

 タイムは遅かったけど、自分のペースで言うと、最初から最後までペースを落とさずに走り切ることができました。厳しい中でも諦めずに走って、奇跡的にポイントがとれたので、そこはラッキーでした」

 中上選手は「ここに参戦して良かったです」と言います。それは、2023年を見据えたことでした。

「(バレンシアGPに参戦せずに2023年2月の)セパンテストに走ったとしたら、(またMotoGPマシンに乗るまでに)すごく間が空いてしまい、2023年のスタートとしてかなりハンデを負うことになっていたと思いますから」

 今季、中上選手はチャンピオンシップをランキング18位で終えました。ホンダ勢で苦戦していたのは中上選手だけではなく、ファクトリーライダーのポル・エスパルガロ選手がランキング16位、チームメイトのアレックス・マルケス選手がランキング17位。エースライダー、マルク・マルケス選手を含めても、ホンダは未勝利に終わりました。

決勝レース後半はレミー・ガードナー選手(KTM)とポジションを争った
決勝レース後半はレミー・ガードナー選手(KTM)とポジションを争った

 さらに今季は中上選手にとって、怪我に苦しめられたシーズンでもありました。最終戦を終えたばかりの中上選手に、そんな2022年シーズンについて聞くと、こう振り返っています。

「ここまで怪我が続くとは思っていませんでした。(5月の)ヘレス公式テストでのひざの怪我から始まって、そこからカタルーニャ(の決勝レース)でアクシデントを起こしてしまい、自分も右肩と首を痛めてしまいました。

 その怪我が治ったと思ったら不運が続いて、アラゴンでの転倒もありました。本当に怪我に泣かされた厳しいシーズンで、万全の状態で走れたレースは数えられるくらいでした。自分でももっと、期待していたシーズンだったから……。

 2023年は継続参戦。自分もベストの状態で良いシーズンを送れるように、オフシーズンを含めベストを尽くして、できる限りのパッケージを準備してレースに臨みたいと思っています」

バレンシアGPの2日後には、2023年シーズンに向けた公式テストが行なわれ、中上選手は64周を走った
バレンシアGPの2日後には、2023年シーズンに向けた公式テストが行なわれ、中上選手は64周を走った

 2023年シーズンも、中上選手はホンダのサテライトチーム、LCRホンダ・イデミツから参戦し、MotoGPクラス6年目のシーズンを戦います。