人気のアドベンチャーバイクにはどのような魅力が詰まっているのでしょうか? 中型から大型まで、これまでの長いオフロード経験から松井勉さんが解説します。

ハマってみたら大正解、アドベンチャーバイクライフ

 晩秋の道を数日間、アドベンチャーバイクの王道、BMW Motorrad「R1250GS」で走ってきました。申し遅れましたがワタクシ、この手のバイクに乗りはじめてウン十年となる松井勉(筆者)と申します。なぜ、乗り始めたのか。そのキッカケは、たまたま大型バイクに乗れる免許を持っていたので「それなら、コレ乗れるよね」と手を出したのがホンダ「XL600Rファラオ」というバイクだったのです。

アドベンチャーバイクの代名詞的存在、BMW Motorrad「R1250GS」に乗る筆者(松井勉)
アドベンチャーバイクの代名詞的存在、BMW Motorrad「R1250GS」に乗る筆者(松井勉)

 4気筒1100ccのビッグバイクに乗ったあとに始めたオフロード。先輩に勧められて乗った250ccのバイクは、正直ツライの一言でした。遠出や上り坂で非力と感じ、250ccクラスのオフロードバイクで出かけるのに疲れた、というのも理由のひとつ。人は贅沢を覚えると後戻りできないもの、と学びました。

 その後も「XR600R」やスズキ「DR800S」、「アフリカツイン」、BMW Motorrad「R100GS」、KTM「640アドベンチャー」等々、大型アドベンチャーモデルを乗り継ぐワケですが、それらの用途は遠くまで出かける、オフロードも走る、というコンバインドされたツーリングにピッタリでした。

 もちろん、オフロードは軽量バイクが一番、という理想は一介のオフロード好きとして理解していますし、場面によってそうしたバイクを選びます。しかし荷物を積み、時にパッセンジャーを乗せ、制限速度120km/h時代に突入しつつある高速道路を軽々遠距離移動ができ、そして現地でダート路を進み、未知なる風景を見る。こんな体験をサクサクできるのは、やっぱりアドベンチャーバイクかと。

 ついでに言うなら、ダート路以外のアスファルトルートも、ロードバイク顔負けのハンドリングで楽しめるのも嬉しい特徴です。

遠距離移動を軽々こなし、未知なる風景を見ることが、アドベンチャーバイクの醍醐味のひとつ
遠距離移動を軽々こなし、未知なる風景を見ることが、アドベンチャーバイクの醍醐味のひとつ

 さて今回、新潟県と長野県北部を繋ぐ林道へと走ってきた「R1250GS」は、BMWモトラッドが世界に放つアドベンチャーセグメントの人気モデルです。可変バルブタイミング搭載の水平対向2気筒エンジン、テレレバーサスペンションという独自の懸架方式を持つフロントサスペンションなど技術も個性派。駆動方式もドライブシャフトを使うことで走行後のメンテンナンスも不要と、長距離ツーリングでも日が経つほどライダーをバックアップします。

 その乗り味は「ふんわり」と「しっかり」が混在したサスペンションに支えられ、扱いやすく取り出しやすい特性のエンジントルクによって、その日の走りだしから走行終了までタップリとライディングを堪能できる、バイクが連れて行ってくれる旅そのものを楽しめます。

「GS」というモデル名の語源となったドイツ語は、ゲレンデ(山岳)の「G」にシュトラッセ(ストリート)の「S」です。つまりは舗装路とオフロードを意味するその言葉どおり、どこでも才能溢れる走りを楽しめます。初代は1980年に登場した「R80G/S」になります。

 もちろん、大きくて重く、パワーがあって扱いには注意も必要です。250ccクラスのオフ車のような扱いは禁物なのです。

アドベンチャーバイクは長距離ツーリングが得意
アドベンチャーバイクは長距離ツーリングが得意

 バイクの造り方として、設定した速度、重量、荷重の大きさから、車体剛性が高く、ロードバイクのようです。したがってライダーのアクションがバイクへのリアクションとして伝わりやすい。

 かつて自分もそうでしたが、バイクからの「こう乗ってね」というメッセージに耳を澄ます前は、いま思えば乱暴な接し方でお互い(バイクも自分も)恐い目に遭っていました。しかし、バイクの声に耳を澄ませ、ライダーがその動きを邪魔しないようにすると、ビックリするほど疲れずダート路も走れるのです。むしろ、アドベンチャーバイクの声に育てられ、オフロードの乗り方も上手くなったほど。

 昨今、初めてのオフロードバイク体験がアドベンチャーバイク、という人が少なくありません。というか、ヤマハ「セロー」も生産中止だし、ホンダ「CRF250L」かカワサキ「KLR230」か? と、新車を探すと現在のラインナップからは究極の選択です。

 逆説的に言えば、アクセルを開けるのが恐いのがビギナー、オフロードならもっとそうです。その中でソロリソロリと走る分には250ccクラスは適していても、ファンライドを楽しもうと考えると、バイクらしい一体感を味わうにはパワーがない分、全開領域を結構使う必要があったりと、案外250ccクラスは難しいとも言えるのです。

BMW Motorrad「R1250GS」と筆者(松井勉)
BMW Motorrad「R1250GS」と筆者(松井勉)

 その点、低い回転でトルクがあり、しっかりとラクションがかかる大排気量車は以外に楽しく走れるゾーンまでスッといけるのです。

 だからオフロードへはビッグバイクで、とは言いません。アドベンチャーバイクも乗ってみるとオフロードに相当なる親和性をもって造られているので、楽しい、というのがこの概論の結論でしょうか。

 確かに、車両価格が高いのが玉に瑕とも言えます。しかし、プレミアムクラスのバイクなら搭載された電子制御とユーザーを満たそうとする開発リソースの注ぎ込み方が潤沢で、自分が上手くなったような気分で過ごせるのです。これって、まさにプライスレス。自分のアドベンチャーバイクライフはまだまだ続きそうです。