全国にない沖縄県ローカル・ルールで二輪車事故の封じ込めを狙う沖縄県警。交通規制課はこのルールの対象とする区間を2年連続で短縮し、規制緩和に臨みました。もう一段の見直しには「規制緩和の効果分析、検討の時間が必要」と話します。

多発したバイク事故抑制が当初の目的だったが……

 沖縄県には、バイクは第1通行帯を走らなければならない、という独自ルールがあります。排気量の大きさに関係なくバイク全体が対象となり、朝夕の交通渋滞が激しい幹線道路が規制されています。なぜバイクが第1通行帯を走ることを義務付けられたのでしょうか。

国道58号「泊交差点」歩道橋に設置された「バイクは第1通行帯しか走れない」ことを表す規制標識。走行できる車種は、各通行帯の上に設置された標識に表示されている
国道58号「泊交差点」歩道橋に設置された「バイクは第1通行帯しか走れない」ことを表す規制標識。走行できる車種は、各通行帯の上に設置された標識に表示されている

 沖縄県警交通規制課の交通規制官は、次のように解説します。

「沖縄県では死亡事故における二輪車の割合が全国平均と比較して高い。死亡事故の乗車中の二輪車構成率をみると、

・昭和56年(1980年) 沖縄県40% 全国平均20%
・昭和57年(1981年) 沖縄県33% 全国平均22%

 そこで昭和58年から二輪車の車両通行帯規制が始まりました」

 規制された幹線道路は、2車線から3車線の国道です。交通量が多く、ライダーはこの規制のために右折のタイミングに神経をとがらせなければならないだけでなく、走っていた第1通行帯が左折専用レーンになる心配までしなければなりません。さらに昭和時代には強調されなかった自転車も第1通行帯を走るルール変更で、ライダーの運転はますます難しくなっています。

 沖縄県警は規制の効果を、次のように説明しています。

「乗用車のドライバーからすると、走っている通行帯が限定的なので、二輪車への注意が向けやすい。右直事故での衝突も減少できます。また、すり抜けなどの接触事故も減らすことができます」

 ただ、この規制にも変化が訪れました。約82kmあった規制区間は、2021年に71km、2022年に49kmと、段階的に短縮されました。とくに国道58号は、拡幅工事で8車線化した区間への規制を解除してほしいと願うライダーの要望が受け入れられ、2.2kmという短い区間ですが部分的に解除されました。

原付バイクは、左折専用レーンや二段階右折禁止を規制の直前で見分けなければならず、乗用車以上に慎重な運転を強いられる
原付バイクは、左折専用レーンや二段階右折禁止を規制の直前で見分けなければならず、乗用車以上に慎重な運転を強いられる

 交通規制課は、規制解除で何を重視したのでしょうか。

「沖縄県内の人身事故件数が減少。二輪車でもここ数年減っています」

 2020年の人身事故件数は2808件、そのうち二輪車乗車中は730件でした。2021年の総数は2783件中665件。事故の減少が鍵を握っています。しかし、懸念することもあります。

「2022年に入って、二輪車の死亡事故が目立っています。前年同時期(1月1日から5月23日)で比較すると、2021年に4人だった死亡事故が2022年には7人。しかも2022年は全体で13件、15人中の7人。二輪車死亡事故の割合が高い」(前同)

 全面的な規制の撤廃を求める要望には、こう回答しています。

「沖縄県では二輪車事故の比率が高い。そこを見ながら、規制解除の効果を分析して検討したい」

 沖縄県を訪れて、レンタルバイクなどで県内をツーリングするライダーに向けては、こう話します。

「旅行で訪れる人は、知らない道を走っていることに注意して、安全運転に努めてください」

 道路交通法20条2項、違反の罰則は5万円以下の罰金。違反点数1点。反則金は原付5000円、自動二輪6000円です。