現行モデルで足つき性が良い250ccバイクといえば、ホンダ「レブル250」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし過去には、もっと多くの国内メーカー産アメリカンモデルが販売されていたこともありました。いったいなぜ、少なくなったのでしょうか。

アメリカンモデルは今が一番下火?

 小排気量のアメリカンモデルは、足つき性の良さとソファに座るような独特のライディングスタイルが特徴です。そのため、女性や小柄なライダーなど、幅広い年齢層から支持されています。しかし2022年現在、国内メーカー産250ccモデルでアメリカンモデルは、シート高690mmのホンダ「レブル250」のみとなっています。

シート高690mmのホンダ「レブル250」
シート高690mmのホンダ「レブル250」

 以前は、250ccクラスのアメリカンモデルは国内でも数多く発売されていました。例えば、1994年に発売された、シート高690mmのホンダ「Vツインマグナ」や、1998年に発売されたシート高690mmのモデル、カワサキ「エリミネーター250V」が挙げられます。

 その他にも、1999年にはシート高685mmのスズキ「イントルーダーLC250」が、翌年の2000年にはシート高670mmモデルのヤマハ「ドラッグスター250」が発売されるなど、いずれもシート高700mm以下で足つき性が良好なバイクでした。

 このように、以前は各メーカーから多数ラインナップされていた250ccクラスのアメリカンモデルですが、なぜ今ではこれほどまでに少なくなったのでしょうか。

海外・国内のバイクメーカーから次々とラインナップされているアドベンチャーモデル
海外・国内のバイクメーカーから次々とラインナップされているアドベンチャーモデル

 まず、ここ数年で海外・国内のバイクメーカーから次々とラインナップされているのが、アドベンチャーツアラーです。一部では、車のSUVブームがバイクにも広がっていると言われるほどに種類が増えています。

 アドベンチャーツアラーは、以前は「ビッグオフ」と呼ばれ、小排気量が主流だったオフロードバイクを大排気量にしたモデルでした。

 昨今のバイクの多くは、走破性が求められたスタイルになっており、高い車高とロングサスペンションを備え、積載性も考慮された仕様になっています。つまり、アメリカンモデル特有の足つき性が良いツアラーとは、真逆のタイプといえるかもしれません。

 また、イギリスのバイクメーカー、トライアンフでは、以前は「America(アメリカ)」や「Thunderbird(サンダーバード)」といったアメリカンタイプのツアラーがラインナップされていました。

現行モデルとしてラインナップされているBMW Motorrad「R18」
現行モデルとしてラインナップされているBMW Motorrad「R18」

 しかし、現行モデルに2車種の名前はなく、迫力あるスタイリングの「ROCKET (ロケット)3」があるのみです。ちなみにBMW Motorradでは、「R18」シリーズの4モデルが、現行モデルとしてラインナップされています。

 このように、250ccアメリカンモデルの数が減ったのは、アメリカンタイプのツアラー人気が下火になっているからと推察できます。加えて、下火なのは日本だけでなく、ヨーロッパも含まれそうです。

 つまり、昨今のバイクは舗装道路・未舗装道路どちらでも走行できる、荷物が積める、スポーツ走行にも対応できるといった、汎用性のあるモデルが求められている傾向にあるということかもしれません。

スーパースポーツのエンジンを搭載したストリートファイターモデルも人気
スーパースポーツのエンジンを搭載したストリートファイターモデルも人気

 加えて、2000年頃からはネイキッドモデルから派生した、ストリートファイターが人気を集めました。ストリートファイターは、スーパースポーツのエンジンを搭載し、従来のネイキッドよりもスポーツ走行ができるモデルです。そのため、ライディングスタイルもバンク角が深くできるように、細見の車体になっています。

 一方のアメリカンモデルは、車体を倒すことには不向きなモデルです。そのため、最近のスポーツ走行志向や、アドベンチャーツアラーの流行りに乗れなかったことも、数が少なくなった理由のひとつといえるかもしれません。

 とはいえ現行のアメリカンモデルも、従来のアメリカンモデルのようにゆったり走るのではなく、スポーツ走行もできる仕様になりつつあるなど、時代に合わせて変革しています。

ホンダ「レブル1100」には、直列2気筒エンジンが搭載されています
ホンダ「レブル1100」には、直列2気筒エンジンが搭載されています

 排気量はレブル250と異なりますが、例えば現行モデルのホンダ「レブル1100」や、カワサキ「バルカンS」が搭載しているエンジンは、従来のアメリカンモデルに多かったV型エンジンではなく、直列や並列エンジンが搭載されています。

 また、レブル1100やレブル250は、ステップの位置が従来のアメリカンモデルとは異なり、足を前に伸ばすのではなく、ネイキッドモデルと同じような位置になっています。つまり、車体をバンクさせることも可能な仕様になっているのです。

 今後、スポーツ走行もこなせるアメリカンモデルというコンセプトが多くのライダーに受け入れられれば、以前のようにラインナップが増える可能性もあるかもしれません。

※ ※ ※

 過去には、国内メーカーからも数多くの250ccアメリカンモデルがラインナップされていましたが、現在ではホンダ「レブル250」のみになっています。しかし、もしまた人気に火がつけば、今後新しいモデルが発売されることもある可能性もあるので、今後に期待したいところです。