レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、最新のクルマやバイクに触れていると、肩の力を抜いたレトロなモデルにも惹かれると言います。どういうことなのでしょうか?

最新モデルばかりではなく、肩の力を抜いた雰囲気に惹かれる

 1960年生まれの僕(筆者:木下隆之)は、運転可能なバイクは400cc以下という条件の免許で劣等感を抱えながら45年間過ごしてきたが、自動車教習所の門を叩いて大型二輪免許を取得、その直後から、何がなんでも大排気量バイクにまたがっちゃいたい一心で大型クルーザーとの日々が続いた。そして今は、ホンダ「レブル1100 DCT」から「NT1100」に乗り継いでいる。中々のバイクライフだ。

ホンダ「JAZZ(ジャズ)」(1996年型)
ホンダ「JAZZ(ジャズ)」(1996年型)

 だがその一方で、クルマで言うところの「パイクカー」的な、個性派小排気量モデルを物色し始めている。最終型の「モンキー50」を手にしてからずいぶん長いが、その傍らに「エイプ」や「ズーマー」などを並べたらさぞかしワクワクだろうなぁ、と興奮が抑えられないほど。

 そんな僕の目に留まったのが、ホンダ「ジャズ」だった。中古車を物色していたら目に飛び込んできた。じつはそのときまでこのバイクの存在を知らず、生産は1996年までというから(1986年4月新登場)、ちょうど僕のバイク生活の空白と重なる。4輪のレースに没頭し、バイクの情報収集を疎かにしていた時期だ。

 ジャズは、いわばモンキーやゴリラと同様、排気量50ccの空冷単気筒エンジンを使った4ストの原付だ。サイズは小さいのに、ティアドロップのガソリンタンクや長いフロントフォークが与えられ、アメリカンスタイルとなっている。そのままの状態で走らせても目立ち度抜群だが、カスタムも完璧にハマる。タマ数は少ないが、中古相場は10万円から50万円程度と財布の紐が緩む。

 じつは、日産フィガロを物色中なのだ。日産が1991年から1992年までの2年間販売していたオープンカーで、ベースはマーチだが、特徴的なのはそのスタイル。レトロ感が強烈で、デビュー直後一気に人気モデルに昇華。ジャズ同様、アメリカのカリフォルニア州西海岸あたりをイメージさせるスタイルだ。

 その人気は安定していて、今でも上玉の物件は高値で取引されている。新車価格を大幅に上回る300万円というプライスタグもつけられているほどだ。

ホンダ「JAZZ」(1987年型)フラットバーハンドル仕様
ホンダ「JAZZ」(1987年型)フラットバーハンドル仕様

 そう、こうなるともう財布の紐を緩めて逆さにして振っても資金が足りない。というわけで、物色先がジャズに向かっている。

 このところレトロなスタイルのモデルに興味が湧いて抑えられない。完成度を飛躍的に高めているバイクやクルマに接していると、一方で、こういった肩の力を抜いた「はずし」のモデルにも惹き寄せられる。

 こうれはもう道楽としか言いようがないし、そう言われても否定するつもりもない。理想はフィガロの横にモンキーとジャズが並ぶ、そんなシーンを想像してニヤニヤしてしまう。