電動キックボードは世界中で普及しつつありますが、その規制内容は国によってさまざまです。いったい、どのような違いがあるのでしょうか。

運転者のマナーが問われる電動キックボードの規制

 徐々に日本国内でも電動キックボードが普及し始めていますが、関連した事故が増えているのも事実です。そもそも現在の日本では、電動キックボードについてどのような交通ルールが定められているのでしょうか。

電動キックボードでの移動を楽しむ様子
電動キックボードでの移動を楽しむ様子

 2022年5月現在、日本国内で電動キックボードは「原動機付自転車(原付)」として扱われているため、50ccの原付バイクと同じ交通ルールが適用されます。つまり、走行するには電動キックボード自体にヘッドライトやブレーキなど、保安部品の装着が必須です。

 保安部品なしで一般公道を走行した場合、整備不良車両扱いとなり処罰の対象になるので要注意。運転をするためには、16歳以上で原付免許、もしくは普通免許を取得していることが必須です。原付免許や普通免許を所有しない人が公道で、電動キックボードを運転し、無免許運転で処罰される事例も起きているので気を付けましょう。

 無免許運転は処罰が重く、25点の違反点数に加えて3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。

電動キックボードにはナンバープレートが必須
電動キックボードにはナンバープレートが必須

 免許以外にも、自動車損害賠償責任保険への加入とナンバープレートの取り付けも必須条件。

 無保険で運転して検挙されると、違反点数6点、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。さらに、公道を走行する際は、ヘルメットの着用と運転免許証の携帯も義務付けられており、制限速度は30km/hまで。車道での走行が必須となっていることに加え、交差点の右折時には二段階右折が原則です。

 もちろん歩道での走行は禁止されていますが、歩道を走行して検挙される事例も相次いでいる模様。歩道を走行すると「通行区分違反」に該当し、違反点数2点と6000円の反則金が科せられます。

海外でも電動キックボードに新たな規制が続々導入

 海外では、電動キックボードはどのような扱いになっているのでしょうか。

海外でも普及する電動キックボード
海外でも普及する電動キックボード

 まず、アメリカでは州によって対応が異なります。

 カリフォルニア州のサンフランシスコ市は、2018年3月頃からいくつかの事業者が電動キックボードのシェアリングサービスを展開しており、ルール違反や危険性が問題視され、新たな規制が導入されました。電動キックボードが運転できる年齢は日本と同じく16歳以上、運転免許証または仮免許が必要です。また、ふたり乗りは禁止とされており、電動キックボードにはブレーキの搭載が必須となっています。

 2019年の法改正により、18歳以上はヘルメットの着用義務がなくなりましたが、サンフランシスコ市交通局は着用を推奨。保険の加入については、不要とされています。

 さらに、制限速度は15mph(約24km/h)まで。走行できる道は自転車道か車道とされていますが、原則は自転車道を走行する決まり。歩道の走行は、施設への出入りの際を除いては禁止となっており、もし違反した場合は罰金197ドル(約2万5000円)が科せられるようです。

海外でも普及する電動キックボード
海外でも普及する電動キックボード

 ドイツでは、電動キックボードの運転に運転免許は不要ですが、運転できるの14歳以上。ヘルメット着用義務はないものの、着用が推奨されています。また、電動キックボード本体にはブレーキとライトの装着が義務付けられており、保険の加入も必須。また、保険の加入を証明するシールを、電動キックボード本体に貼る必要があります。

 制限速度は20km/hまでとされており、走行は自転車専用道に限定。ただし、自転車専用道のない場合は、車道の走行が許されていて、市外においては路側帯の走行も可能です。

 なお、アメリカと同様に歩道での走行は禁止。もし歩道を走行した場合は、15ユーロから30ユーロ(2000円から4100円)の罰金、信号無視は60ユーロから180ユーロ(8200円から2万4000円)の罰金が科せられます。

放置が目立つ電動キックボードのシェアリングサービス
放置が目立つ電動キックボードのシェアリングサービス

 フランスでは、電動キックボードの乗り捨てシェアリングサービスが普及しているようです。しかしその結果、電動キックボードが至るところに駐車・放置されるようになり、マナーの悪さが問題となっています。

 また、日本と同様に歩行者と接触したり、クルマいすの通行を妨げるといった事例も発生しており、社会問題に発展。2019年に規制が入ったことで、電動キックボードの運転は12歳以上と年齢制限が設けられました。

 運転免許は不要で、都市部ではヘルメットの着用義務もありませんが、都市部以外ではヘルメットの着用が必須となっています。また、2020年7月以降はライトやブレーキ、クラクションなどの装着が義務付けとなったほか、運転中のヘッドフォンやイヤフォンの着用は禁止とされ、ふたり乗りも禁止です。

 制限速度は25km/hですが、パリ市内では20km/hに制限。混雑している場所では、8km/hとの条件がついています。

 加えて、歩道での走行は禁止とされており、許可なく走行すると135ユーロ(約1万8500円)の罰金が科せられるほか、最高速度が25km/h以内に制限されていない電動キックボードで走行すると、1500ユーロ(約20万円)の罰金が科せられるようです。

海外でも普及する電動キックボード
海外でも普及する電動キックボード

 シンガポールでの年齢制限は16歳以上。運転免許は不要ですが、車両登録が必要です。ヘルメット着用義務は無く、保険への加入も義務ではありませんが、シンガポール陸上交通庁は保険への加入を推奨しています。

 制限速度は25km/hまで。歩道走行も可能としていますが、歩道を走行する場合は10km/hまでの速度で走行しなければなりません。また、歩行者専用道路と車道の走行は禁止とされており、歩行者専用道を走行すると1000シンガポールドル(約9万3000円)の罰金、もしくは最長3か月の禁固刑が科されます。

国や地域によって違う電動キックボードにまつわる法律
国や地域によって違う電動キックボードにまつわる法律

 韓国では2021年5月から、運転するには16歳以上から取得可能な「第2種原動機付き自転車免許」以上の免許を保有している人のみと、免許制が導入されました。

 ヘルメットの着用義務もあり、ふたり乗りも禁止など、かなり日本に近い条件となっています。制限速度は25km/h以下、走行可能なのは車道と自転車道。

 無免許運転や飲酒運転をした場合は10万ウォン(約1万円)の罰金。ヘルメットを無着用で運転した場合は2万ウォン(約2000円)の罰金が科せられます。

※ ※ ※
 
 電動キックボードは日本のみならず海外でも広く普及していますが、規制の対象となっているのも事実です。

 日本よりも自転車専用道が多い国では、走行する場所の棲み分けが明確になっているため、日本でも今後、道路交通法の改正で国内の交通状況に合った規制が制定され、事故が減ることを祈るばかりです。