レーシングライダーの石塚健選手が、BMW「M1000RR」をインプレッションしてくれました。

BMW「M1000RR」で2000㎞ツーリング

 皆さんこんにちは、レーシングライダーの石塚健です!

 今回は、先日慣らしを終えたBMW Motorrad「M1000RR」の公道インプレッションを書きたいと思います。

BMW Motorrad「M1000RR」に跨る石塚健選手。身長165cmだとかかとが浮いてしまうが、つま先は接地するので不安はありません。
BMW Motorrad「M1000RR」に跨る石塚健選手。身長165cmだとかかとが浮いてしまうが、つま先は接地するので不安はありません。

 BMW Motorrad M1000RRは、2021年の新型モデルとして、2020年9月に発表されたロードゴーイングレーサー(公道走行可能なレーシングモデル)。

 名称の「M」は、4輪でのBMWモータースポーツを象徴するサブブランドで、BMW Motorradとしては初のMモデルです。

 BMW Motorrad「S1000RR」のエンジンをベースとしたM1000RRの4気筒エンジンは、レーシングスポーツ向けにさらに最高出力を向上させ、中回転域で増大させたトルクや500rpmアップした最高回転数など、究極のハイパフォーマンスと最先端の素材、そして細部にまでこだわった最高品質を誇るパーツ群など、まさにBMW Motorradが放つレーシング直系の最高モデルです。

 外観上での最大の特徴は、フロントカウルにウイングレットが追加されたところ。これは、ダウンフォースというバイクを路面に押さえつける力を発生させるための空力パーツで、主な効果には不要なフロントリフトの低減や、安定した走行性能の確保などがあります。

 外装やホイールには、ふんだんにカーボン素材が使用され、見た目の迫力は満点です。

サイドスタンドを立て、駐車している状態のBMW Motorrad「M1000RR」
サイドスタンドを立て、駐車している状態のBMW Motorrad「M1000RR」

 まずは足つきから。

 シート高は835mm。身長165cmの僕が跨ると、かかとは浮いてしまうものの、両足のつま先はしっかりと地面に接地します。足回りがしっかりとしている上に、シート幅が太めだからか、地面までが少し遠く感じますが、その分安定感があるので倒れる気はしませんでした。

 車両重量は191.8kg。ベースであるS1000RRと比較すると、シート高が約1cm高くなり、車重は約8kg軽くなりました。

快適装備も満載のBMW「M1000RR」

 それでは早速、公道でロングツーリングをしてみて感じたことですが、スムースなアクセラレーションと共にパワフルで力強い加速感、そして優れた安定感を得ることができ、乗り味はとても楽しい印象。

 ハンドリングも思っていたより軽やかで、しっとりとした接地感も健在です。そしてシートも程よい硬さで、長時間座っていてもお尻が痛くなることはありませんでした。

BMW Motorrad「M1000RR」に跨る石塚健選手。身長165cmだとかかとが浮いてしまうが、つま先は接地するので不安はありません。
BMW Motorrad「M1000RR」に跨る石塚健選手。身長165cmだとかかとが浮いてしまうが、つま先は接地するので不安はありません。

 とはいっても、スーパースポーツバイクでロングツーリングをすると、どのマシンでも疲れるし、辛くなってきますよね?

 前傾姿勢のライディングポジションや振動による手足の痺れ、イレギュラーに発生する渋滞などなど。そんななか、今回のロングツーリングでもっとも役立ったのが、M1000RRでは標準装備となっているクルーズコントロール機能でした。

 クルーズコントロールって何? という人もいると思うので、簡単に説明させていただくと、アクセルを操作しなくても、クルマやバイクが自動でスピードを一定に保ってくれる機能のこと。

 個人的にロングツーリングをして一番辛かった部分は、手のひらの痛みと疲労感。やはり速度調整のために常にアクセルの開度を調整していると、次第に手が疲れてくるのですが、クルーズコントロールの存在を思い出し使用してみると、アクセルの微妙な調整がいらないので手への負担が少なく、とても楽に走行することができました。しかも、左手側にあるボタンにより、1㎞/h単位で速度を変えることができるので、前車との速度調整も楽々です。

クルーズコントロールは左手側のボタンで操作する
クルーズコントロールは左手側のボタンで操作する

 しかし、このクルーズコントロールは前者の動きに追従してくれる訳ではないため、操作に多少の慣れが必要。安全な車間距離をしっかり保ちつつ、徐々に使用していくようにしてください。

 他にも今回とても助かった機能が、これまた標準で装備されているグリップヒーターです。2000㎞を走破する途中、雨に打たれて手が冷えて、夏であるにもかかわらず動かしづらくなってしまった場面があったのですが、グリップヒーターのお陰で、かなり快適に走行することができました。

 ハンドルバーにあるスイッチでオンオフ、そして二段階の温度調節も可能なので、快適性と安全性の向上に繋がり、特に冬場の手がかじかむ時期には本当に重宝すると思います。

 とここまでロングツーリングでのBMW Motorrad M1000RRの使い勝手について書いてきましたが、一番驚いたのは、普段サーキットでM1000RRをレーシングスピードで走らせている際と、公道でのギャップ。

鈴鹿サーキットをBMW Motorrad「M1000RR」で駆け抜ける石塚健選手
鈴鹿サーキットをBMW Motorrad「M1000RR」で駆け抜ける石塚健選手

 サーキットでしか感じないメリットは、例えばウィングレッドによるダウンフォースはサーキットでの高速域では効果を実感できますが、公道での速度域ではあまり感じることはできません。一方で、サーキット走行では使用することのないクルーズコントロールやグリップヒーター、ETC2.0など便利な機能が標準装備されていて、レーシングスピードでなくても快適に走りを楽しむことができるというのが、意外な発見。

 サーキットでの走行を想定して開発されたスーパースポーツでありながら、公道向けの装備もしっかりと充実しているのがBMW Motorradがラインナップするバイクの特徴であり、素晴らしい部分だと思います。

 価格(消費税込)はM1000RRが378万3000円、M1000RR Mコンペティションパッケージが428万円です。