電動アシスト自転車(e-BIKE)は、電気の力を使ってペダルを漕ぐ力をサポートしてくれる日常生活の心強い味方ですが、その電源である「バッテリー」の盗難が年々増加しています。

盗難被害に遭わないために、大事なのは普段の心がけ

 電動アシスト自転車(e-BIKE)は、電気の力を使って走行をサポートしてくれる日常生活の心強い味方として広く普及しています。一方で、残念ながらその電源である「バッテリー」の盗難被害が年々増加しています。

盗難被害に遭わないよう、自宅の敷地内や集合住宅の駐輪場ではバッテリーを取り外して保管する
盗難被害に遭わないよう、自宅の敷地内や集合住宅の駐輪場ではバッテリーを取り外して保管する

 e-BIKE本体そのものは「車体重量が一般自転車と比べるとかなり重い」、「装備している鍵がピッキングに強いディンプルキーなどの頑丈なものである」、「盗難目的に多い“短い距離が走れればいい、そのまま乗り捨てる”という狙いに合わない」、「高額な自転車なのでそれ自体が抑止力になっている」などの理由から、普通の自転車に比べると盗まれにくいと言われています。

 しかし、その車体の要とも言えるバッテリーの盗難事案が増えています。警視庁発表によると、都内におけるバッテリー盗難事案は、2016年に69件、2021年では314件と、大幅に増加しているのです。

 e-BIKEのバッテリーは、容量によって異なりますが、新品購入では約3〜5万円という、かなり高額な部品です。もし盗難被害に遭ってしまうと、心理的なショックだけでなく、お財布にも甚大な被害です。

 バッテリーは携帯電話などと同じ「リチウムイオン電池」を使用しており、永久に使い続けることができるものではありません。繰り返し使うことで、状況によっては3〜5年というスパンで定期的な交換が必要になる消耗品なのです。それが、盗難増加の一因になっていると考えられています。

 経済産業省の生産動態統計によると、e-BIKEは2011年に約40万台だった出荷台数が、2021年には約80万台まで伸びています。現在は正確な数字を把握することは困難ですが、国内のe-BIKEの保有台数は約8000万台に届くとも言われ、いまや日常生活に溶け込んだ存在となるまで普及しました。また、コロナ禍の影響で通勤・通学や、運転免許を返納した高齢者の移動手段といった理由などで新規利用者が増え、販売台数はさらに増加しています。

 この急速な普及に合わせて、バッテリーの需要も高まっています。そこに目を付け、インターネットなどでの転売を目的とした盗難が、被害増加の一因だと考えられています。実際に、盗んだバッテリーを個人売買アプリなどで1個3000〜1万7000円程度で売買し、摘発された逮捕者もいます。

 そんなバッテリー盗難の多くが、鍵を差しっぱなしで駐輪していたところ、バッテリーだけ持って行かれてしまった、という事例が多いようです。なかでも、自宅の敷地内だからと油断して被害にあうケースが目立っています。

電動アシスト自転車(e-BIKE)のバッテリーは、頑丈なバッテリー錠で固定されている
電動アシスト自転車(e-BIKE)のバッテリーは、頑丈なバッテリー錠で固定されている

 また、工具などで無理やりバッテリーを外して持ち去る手口もあります。自転車のフレームに取り付けられた「バッテリー錠」はかなり頑丈に作られており、一般的な工具ではそう簡単には外せない構造になっています。正直なところ、自転車の修理など扱いに慣れた自転車屋であっても、バッテリーを傷つけずに外すのはほぼ不可能です。そんなバッテリー錠を無理やり破壊して持ち去るということは、かなり強引な方法が使われ、自転車のフレームが破損してもおかしくはありません。

 このような盗難を防ぐには「駐輪中はバッテリーを外して安全な場所に保管する」ことが最も有効です。もちろん、自宅などではともかく、外出先でバッテリーを外して持ち歩くことは現実的ではありません。そんな時は、バッテリーにワイヤー錠をかけることで、盗難抑止につながります。いろいろなメーカーからe-BIKE向けのバッテリーロックが販売されているので、それらを活用すると良いでしょう。

 また、だいぶアナログな手法ですが、バッテリーに自分の所有物であることが分かるよう、サインや目印を記しておくことも有効かもしれません。バッテリーによっては販売店が店舗名と購入日を記入する場所があるので、そこに記してもいいですし、目立つ場所に剥がれにくいシールやステッカーなどを貼っておけば、転売には不向きだと狙われにくくなるかもしれません。

 さらに、バッテリーには固有のシリアルナンバーが記されているので、それを控えておくこともオススメします。シリアルナンバーはそれぞれ固有の番号なので、万が一盗まれてしまった場合でも、被害品が手元に戻って来る可能性があります。

 盗難などで日常の便利な移動手段が奪われることは、精神的にも膝から崩れ落ちるほどショックな事件です。「ちょっとの間だけなら大丈夫」などと油断せず、盗難被害に遭わないよう普段から盗難対策を心掛けましょう。