静岡県伊豆市の菊地豊市長は、2022年8月13日に富士スピードウェイで開催される『CUB-CUP(カブカップ)』に、地元の高校生らと参戦することを公表しました。国会議員がレースに出場したことは過去にもありますが、地方のトップが高校生に混じってチームを編成することは、極めて珍しいことです。伊豆地域で目立つ事故防止を合わせて訴える、と話します。

チーム「原動機研究部」の選手として

 静岡県伊豆市の菊地豊市長は、2022年7月19日の定例会見で「富士スピードウェイ」で同年8月13日に開催される、ビジネスバイクによるチーム対抗3時間耐久レースへの出場を表明しました。

「50ccのバイクで、若い人といっしょに参加します」

2021年、富士スピードウェイで「原動機研究部」がメカニックサポートとして出場したレースでは、車体に原動機研究部と伊豆市のステッカーが大きく貼られた
2021年、富士スピードウェイで「原動機研究部」がメカニックサポートとして出場したレースでは、車体に原動機研究部と伊豆市のステッカーが大きく貼られた

 参戦を表明したのは『2022 CUB-CUP(カブカップ)』の第3戦となる「第2回 CUB-
CUP日本GP」。すでに公表されているエントリーによると、チーム「原動機研究部」として、「ピザ屋」クラスにホンダ「ベンリィ50」で、高校生ライダーらと交代で完走、上位入賞を目指します。

 伊豆市と原動機研究部は、同部が出場するワンメイクレースで、伊豆市がスポンサーとなったことがあるほか、菊地市長が参加する部員のバイク免許取得後のツーリングが開催されるなど結びつきを強めてきました。

 原動機研究部は、伊豆市内の高校でのクラブ活動が、部員の卒業後に伊豆地域の高校生を巻き込み、課外クラブとして成長。現役高校生が所属します。菊地市長が参加するほかにも、チーム「原動機研究部OB」が「そば屋プロ」クラスに、ホンダ「リトルカブ」で参戦を予定しています。

「50ccのビジネスバイクだが、公務というわけにはいかないので、プライベートで参加する」(菊地市長)

伊豆市、ライダーを歓迎。マイナスイメージ払拭のためにも

 会見で菊地市長は「バイクのツーリングも、より積極的に受け入れていきたい」と、話しています。

菊地豊伊豆市長
菊地豊伊豆市長

 これまで伊豆市の観光客誘致は、修善寺など温泉地を廻る一般観光に加えて、サイクリストの誘致に重点を置いていました。東京2020オリンピック・パラリンピックの自転車会場となった屋内型自転車トラック競技施設「伊豆ベロドローム」を活用したサイクリストの“聖地”としての位置付けです。

 ここに新たに、ライダー誘致を付け加えようというわけです。ライダー誘致は、オートキャンプ場などを活用した「ライダーの拠点づくりを模索している」段階。サイクリスト誘致のような具体的な施策は公表されませんでしたが、「これを避けるのではなく、より環境を整えたい」と、強い意欲を語っています。

 地方自治体がライダー誘致を打ち出すことには、事故増加というリスクがありました。伊豆地域では、ライダーの重大事故が毎年のように起きています。

「市民はたいへん不安を持っている。伊豆スカイラインなどスピードが出やすいところで事故が多かったので、バイクは危険なものだという認識が強いと思う。だからこそ我々は、“ぜひおいで下さい。でも安全運転でね”と言うべき」

 菊地氏のレース参戦も、じつはこの懸念の払拭が目的だと言います。

「自分自身の運転を再認識するとともに、大きなイベントなので、バイクは楽しいレジャーだが、安全に気を付けて走ってほしい、というメッセージにしたい」

 バイクのイメージを変える新しい動きが、意外な場所から始まっています。