身体能力の衰えなどクルマの運転に不安を感じたり、家族の心配もあって運転免許証の返納に悩む人もいると思います。返納後の移動手段として、自転車の購入を検討してみるのはいかがでしょうか。

自分の年齢と体力に向き合い、適した自転車を選ぶ

 高齢ドライバーの交通事故の割合は年々増加しており、残念ながら死亡事故などの大きな事故に繋がる事例も発生しています。長年安全運転を続けていても、年齢を重ねるごとに身体機能は低下し、注意力や判断能力は確実に低下していきます。少しでも運転に不安を感じるなら、悲惨な事故を避けるためにも、運転免許証の返納を検討したほうが良いかもしれません。

クルマの運転免許証を返納したら、移動手段に自転車を選択するのもアリでは?
クルマの運転免許証を返納したら、移動手段に自転車を選択するのもアリでは?

 とはいえ、日常の移動手段がなくなってしまうのは大問題です。近所にバスなどの公共交通機関が充実していなければなおさらです。

 そんなときは、返納後の移動手段として自転車に乗り換えるという選択もアリではないでしょうか。しばらく乗っていなかったとしても、自転車は水泳と同じように経験があれば体が覚えているもの。すぐに感覚を思い出すことでしょう。

 しかし筋力の低下もあって自転車に乗ることに不安を覚えるかもしれませんが、いまでは高齢者でも扱いやすいシニア向けの自転車が多く発売されているので、上手に選べばその不安も解消できるかもしれません。高齢者でも比較的扱いやすい自転車のポイントをいくつか紹介します。

 まず、自転車全体の形として、フレームがU字に曲がった「低床U型フレーム」と呼ばれる形を採用した自転車をオススメします。その特長として、フレームが下がっているので、乗り降りする際に足を高く上げる必要がなく、足が引っかかって転倒するリスクを減らしてくれます。また、自転車全体の重心が下げられ、安定した走行ができるというメリットもあります。

 次に、これまで(タイヤが)26インチ以上の大きいサイズの自転車にしか乗った事がない人には抵抗があるかもしれませんが、20インチの小径車を選択肢に入れても良いでしょう。タイヤが小さくなることでフレームも小型化、全体的に軽量コンパクトになるのでコントロールがしやすくなります。

 単純に、ペダル一回転で進む距離は短くなりますが、ペダルを踏み込む力は軽く、さらに重心も下がります。ただ、20インチ以下のミニベロや折りたたみ自転車だと、フレームに対してハンドルとサドルが高い位置に設定されている場合があります。購入の際はタイヤサイズだけに注目せず、全体のバランスにも注意してください。

 さらに安定感を求める場合は、3輪自転車という選択肢もあります。その名の通りタイヤが3本あり、後輪が2本の自転車です。

 重量自体はかなり重く、速度も出せません。行動範囲に急な坂道がある場合はオススメしませんが、平坦な道だけで使う場合は安定感バツグンで、多くはリアに大型バスケットを装備し、積載性に優れたモデルとなっています。また、電動アシスト自転車の3輪自転車もあります。

 3輪自転車で注意したいのは、「スイング式」と「固定式」の2種類があるという事です。「スイング式」は車体のサドルから前半分が左右に傾くよう設計されており、カーブを曲がる際は2輪の自転車に近い感覚でスムーズに曲がることができます。もちろん、傾け過ぎは転倒する可能性があります。

 一方の「固定式」は、3輪全てが垂直で固定され、傾く機構にはなっていません。固定されている分、さらに安定感が増すのですが、2輪の自転車とは全く感覚が異なり、慣れるまで時間が必要でしょう。

 市販されている3輪自転車の多くは「スイング式」と「固定式」を専用の金具で変更できる仕様になっていますが、変更できないタイプもあるので、購入の際は注意が必要です。

 足の筋力に不安がある場合は、電動アシスト自転車がオススメです。各メーカーに「低床U型フレーム」でタイヤサイズが20インチの車種がラインナップされ、前述のとおり電動アシスト機能を搭載した3輪自転車も販売されています。

 自転車が転倒する原因のひとつとして、走り始めにしっかりとペダルを踏み込むことができず、前へ進む力が働かずにバランスを崩し、ふらついて倒れてしまうことがあります。それが電動アシスト自転車なら、漕ぎ出しをサポートしてくれるので軽い力で前へ進むので安心です。

 自分の力で進み、身体で風を感じながら走る自転車なら、クルマとは一味違った楽しみを味わうことができます。運転免許証の返納を迷っているのなら、まずは近所の自転車販売店で、シニア向けの自転車をチェックしてみてください。