高速道路を走行中、うっかりものを落としてしまった…という人は少なくないかもしれません。では、高速道路で物を落としてしまった場合、どういった対処をおこなえば良いのでしょうか。

意外とある…高速道路での落とし物に要注意

 主に週末や長期休暇のときなど、バイクの荷台やリヤシートに荷物をたくさん積んで走行するライダーを見かけることがあります。このようなバイクの後ろを走っていると、積んである荷物が落下しないか、心配になる人もいるかもしれません。

 一般道では問題なくても、高速道路では風の影響を大きく受けるため、実際にバイクの積み荷が落下するケースがあるようです。

高速道路での落とし物には要注意
高速道路での落とし物には要注意

 国土交通省のまとめによると、2020年度に高速道路で回収した落下物の件数は、全国で32万件にのぼるといいます。これは、1日あたり800件以上の落下物が回収されている計算になります。

 クルマが高速で走行する高速道路では、たとえ小さな落下物でも放置されたままだと重大な事故につながる可能性があります。この高速道路の落下物を回収する作業をおこない、道路の安全を維持しているのが高速管理隊と呼ばれる隊員たちです。高速管理隊は、24時間体制で高速道路の異常を監視しており、黄色いパトロールカーで巡回しています。

 では、高速道路では一体どのようなものが落下しているのでしょうか。

 NEXCO中日本のデータでは、2020年度中に回収した最も多い落下物は、「プラスチック・布類・ビニール類」で2万2000件。次いで、「自動車部品類(タイヤを含む)」が7300件。3番目が、「木材」で5700件となっています。

 落下物と聞くと、トラックの荷台から落ちてくるものをイメージしがちですが、クルマに取り付けたパーツが振動や風圧によって外れて落下するケースもあるようです。また、冬場になると、クルマのルーフに取り付けた、スキー板やスノーボードの落下も多くみられています。

 これらの落下物のほとんどが、荷台やルーフなど車外にある荷物が落下するケースで、固定方法の不備が原因であることがわかっています。

 もし、高速道路で荷物を落下させてしまった場合は、道路交通法違反となります。なぜなら、道路交通法の第75条の10には、「自動車の運転者は、(一部省略)積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。」と定められているからです。つまり、バイクであれば落下物を落としたライダーが責任を負うことになります。

2020年度中に回収した最も多い落下物は、「プラスチック・布類・ビニール類」で2万2000件
2020年度中に回収した最も多い落下物は、「プラスチック・布類・ビニール類」で2万2000件

 高速道路上に積載物を落下させた場合は、違反点数2点に加え、二輪車は反則金7000円の罰則が科せられます。さらに、落下物が原因で事故を引き起こしたり、死傷者が出た場合は過失運転致死罪に問われる可能性もあるのです。そのため、うっかり落としてしまったということにならないよう、積み荷の固定はしっかりおこなう必要があります。

 過去には、実際に落下物が原因となった、重大な事故の事例も発生しています。急停止がむずかしい高速道路では、落下物が危険な凶器になることを肝に銘じておく必要がありそうです。

 では、高速道路で物を落としたときは、どのように対処すればよいのでしょうか。

 なかには、自分が落とした物を取りに戻りたいと考える人もいるかもしれません。しかし、高速道路上で物を回収する行為は非常に危険なため、絶対に止めましょう。交通量が少ない時間だから大丈夫だと思っても、時速100kmで走るクルマは1秒間に28mも進むため、たとえ遠くに見えても、あっという間に接近してきます。

 しかし、落下物を放置したままだと後続車に接触したり、乗り上げて事故を誘発する恐れがあるため、すみやかに連絡しなければなりません。

非常停車帯もしくは路肩に停車し、非常電話を利用しましょう
非常停車帯もしくは路肩に停車し、非常電話を利用しましょう

 もし積載物の落下に気づいたら、非常停車帯もしくは路肩に停車し、非常電話を利用するか「道路緊急ダイヤル(♯9910)」に通報します。

 非常電話は本線上1kmおき、またはトンネル内の200mおきに設置されているほか、サービスエリアやバス停にも設置されています。

 そして道路緊急ダイヤルは、高速道路や国土交通省管轄の国道などの幹線道路にあり、落下物や道路の破損などの異常を発見したときに利用可能です。携帯電話やスマートフォンから、24時間いつでも利用でき通話は無料なほか、安全に停車できる場所がないときは、サービスエリアや料金所の係員に伝えることもできます。

高速道路に本線上の100mごとに設置されている「キロポスト」
高速道路に本線上の100mごとに設置されている「キロポスト」

 落下した場所については、本線上の100mごとに設置されている「キロポスト」に表示されている数字を言えば、正確な位置が伝わりやすいです。

 通報を受けると、交通管理隊が落下物の回収をするために現場に急行するとともに、高速道路会社からただちに道路情報板やVICSなどで情報提供がおこなわれます。

 ちなみに高速道路会社では、荷物を積載するときに徹底してほしいことを、いくつか呼び掛けています。

 まず、出発前に積み荷の固定状況を必ず確認することが挙げられます。そして、走行中の振動や風圧で積み荷がゆるむ可能性があるため、長距離を走るときは休憩のたびに固定状況を確認することや、制限速度を守ってスピードの出しすぎに注意し、過積載は絶対にしないようにしてほしい、としているようです。

※ ※ ※ 

 高速道路上で物を落下させることは、重大事故を誘発する可能性のある、非常に危険な行為です。そのため、積み荷を落下させないためにも、しっかりと荷物を固定することが大切です。

 もし、落としてしまった場合や落下物を発見したときは、ただちに通報することが事故を未然に防ぐことにつながります。もしものときに備えて、「道路緊急ダイヤル(♯9910)」を覚えておくと良いでしょう。

【訂正】記事初出時より本文を一部修正致しました。
(2022年7月30日 11:30 バイクのニュース編集部)