日常の扱いやすさと長距離走行の快適さを両立したホンダの新型スポーツツアラー、「NT1100」に試乗しました。

見た目と乗り心地のギャップ大

 2022年3月に発売されたホンダ「NT1100」は、同社の人気アドベンチャースポーツ「アフリカツイン」のエンジンをベースに、前後17インチホイールを装着した大型スポーツツアラーの新型モデルです。大型のツーリング用バイクとして、オンロード走行を意識した快適性を重視して開発されました。

 クラッチとシフト操作からライダーを解放してくれつつも、ダイレクトに変速の感覚を楽しませてくれるバイク用オートマチック機構、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が標準装備されているなど、ツーリングを楽しむための最新装備も満載。そんな、NT1100に試乗しました。

ホンダの新型スポーツツアラー「NT1100」と筆者
ホンダの新型スポーツツアラー「NT1100」と筆者

 見た目は、何だかゴッツイ感じ。

 1100㏄という排気量とタンク周りの塊り感、そしてキリっとした挑戦的な目力が印象的なフロントマスクなど、どこを取っても取り回しが大変そうで、初級と中級のちょうど真ん中程度のライディングスキルしか持ち合わせない私に、果たして乗ることができるのか。

 バイクは足つきの良さと安心感が比例する私(先川知香)は、かなり不安な心境でまずは跨ってみました。

 すると、「あれ?思ったより足つきがいい」。見た目のインパクトと存在感の大きさに、私では絶対足はつかないだろうと思い込んでいましたが、身長165㎝の私で両足のつま先がしっかりと地面に付く安心感です。

ホンダ「NT1100」の足つき(身長165㎝)
ホンダ「NT1100」の足つき(身長165㎝)

 さらに驚いたのが車体の軽さ。

 共通のエンジンが搭載されるアフリカツインをはじめ、大型のアドベンチャーやツアラーと呼ばれるモデルは、走りだしてからの快適性や走破性はかなりのレベルですが、車体が重くサイドスタンドから車両を起こすのにも一苦労。街中や駐輪場などでの取り回しに、かなり気を使うというのが一般的な印象です。

 NT1100はそんな私の苦手意識を、いい意味で払拭してくれました。とはいっても車両重量は248㎏。実際に車体が軽い訳ではないという事実に、もかなりの驚き。

 これは、ハンドル位置やスタイリングなど、様々な工夫によって取り回しの良さが実現されているということで、高速道路を利用したロングツーリングだけでなく、都会の街中での扱いやすさも十分に考慮されていると感じることができました。

ホンダ「NT1100」の走りを楽しむ筆者(先川知香)
ホンダ「NT1100」の走りを楽しむ筆者(先川知香)

 そして走りも軽い。アクセルをひねるとそのまま発進するDCTの不思議な感覚に少し不安になりながらも、マイルドな加速が心地よく、ガバッとアクセルを開ければスポーティーにも走ってくれるけど、下道はシートの座り心地の良さに包まれながら、ゆったりと景色を見ながら走るツーリングに行きたい。

 そんな、走る場所によってガラリと表情を変える1台です。

 一方で、高速道路では法定速度ギリギリで走っても、風に煽られることのない驚くべき安定感。どの速度域でも、安心して身を任せることができる、懐の深さを感じさせてくれます。

ホンダ「NT1100」の走りを楽しむ筆者(先川知香)
ホンダ「NT1100」の走りを楽しむ筆者(先川知香)

 肝心のDCTはというと、私が元々クラッチは自分で操作したい派というのもあるかもしれませんが、細かくギアの操作が必要な街中の道では自分の理想より少し早いタイミングでシフトのアップダウンが作動する感覚で、ちょっと違和感。

 反対に高速道路などを利用したロングツーリングでは、多少道が混んでいる状況でも自動でギアを調整してくれるため、腕を含めた手元の疲れを軽減し、高速域での車体の安定感と相まって、純粋に快適な走りを楽しめるというのがダイレクトに感じた感想でした。

 見た目のインパクトと取り回しの良さ、両方を兼ね備えたホンダの新型スポーツツアラー、NT1100の価格(消費税込)は168万3000円です。