イタリア発祥の名門バイクブランド「Benelli(ベネリ)」がラインナップする「IMPERIALE400(インペリアーレ400)」は、排気量374ccの空冷単気筒エンジンを搭載するクラシックテイストのネイキッドモデルです。その走りにはどのような魅力があるのでしょうか。試乗しました。

クラシックテイストを、本気で追求

 イタリアの名門「Benelli(ベネリ)」の歴史は、1911〜1989年の第一期と、2000年代以降の第二期に大別できます。そして第二期の同社は、数多くのモデルに先進的でアグレッシブなデザインを採用して来たのですが、時代の変化に対応するため、2016年にはどことなくクラシカルな佇まいの「LEONCINO(レオンチーノ)」シリーズ、2018年からは本気でクラシックテイストを追求した「IMPERIALE400(インペリアーレ400)」の販売を開始しました。

ベネリ「インペリアーレ400」に試乗する筆者(中村友彦)
ベネリ「インペリアーレ400」に試乗する筆者(中村友彦)

 ちなみに、ヨーロッパにおける「インペリアーレ400」は、ロイヤルエンフィールドが長きに渡って熟成を続けて来た排気量350ccと500ccの単気筒車の好敵手と認知されているようですが、2022年からこのモデルの導入が始まる日本市場で多くのライダーが気になっているのは、2021年からホンダが発売を開始した「GB350」との差異でしょう。

 そんな「GB350」はデビューから1年以上が経過した現在でも、需要に供給が追い付いていませんから(新車以上のプライスタグを掲げる中古車が珍しくありません)、同様の資質を感じるインペリアーレ400に、興味津々というライダーは少なくないように思います。

初代の面影は、一切見当たらないが……

 インペリアーレという車名の原点は、今から60年ほど前にベネリが販売した排気量125ccの単気筒車です。もっとも初代インペリアーレは「MotoBi(モトビ)」(ベネリの創始者の1人であるジュゼッペ・ベネリが、1949年に立ち上げた独自のブランド)が開発したモデルで、1960年前後にベネリとモトビが統合されたため、以後は2つのブランドでインペリアーレが販売されることになりました。

Benelli-MotoBi「Imperiale」(1961年)
Benelli-MotoBi「Imperiale」(1961年)

 そして初代インペリアーレの特徴は、卵型にして水平配置のシリンダーと角型バックボーンフレームだったのですが、現代の「インペリアーレ400」にかつての面影はありません。ロングストロークでシリンダーが直立した空冷単気筒とダブルクレードルフレームは、イタリア車と言うより往年の英国車的で、タイヤサイズもかつての英国車の定番だったフロント19/リア18インチです。

 まあでも、それはまったく悪いことではなく、トラディショナルな雰囲気を求める人の場合は、同様の構成でありながら、随所にモダンな要素を感じる「GB350」よりも、「インペリアーレ400」の方に好感を抱くのではないでしょうか。

重さと振動は、必ずしもマイナス要素ではない

「お、意外に重厚でワイルド」それが私(筆者:中村友彦)の「インペリアーレ400」に対する第一印象でした。現代の400cc前後の単気筒車の基準で考えると、装備重量はかなり重めの205kgですから、押し引きではそれ相応の手応えを感じますし、エンジン内に備わるバランサーはオーソドックスな1軸式なので、振動は皆無というわけではありません。

試乗の第一印象は、意外に重厚でワイルドなもの。排気量374ccの空冷単気筒SOHC2バルブエンジンは最高出力15.5kw/5500rpm、最大トルク29Nm/4500rpmを発揮
試乗の第一印象は、意外に重厚でワイルドなもの。排気量374ccの空冷単気筒SOHC2バルブエンジンは最高出力15.5kw/5500rpm、最大トルク29Nm/4500rpmを発揮

 ただし適度な重さと振動が、必ずしもマイナス要素になるとは私には思えませんでした。まずは車重の話をすると、巡航時の心地良い安定&安心感は重さのおかげ……と言えなくはないですし、細身の前後タイヤ(フロント100/90-19、リア130/80-18)と昔ながらのディメンションの効果なのでしょう。

 実際に「インペリアーレ400」を走らせている最中に、タルい、トロい、などと感じる場面はなかったのです。それどころか、コーナリングは見た目を裏切る、と言いたくなるほど軽快で、峠道ではスポーツライディングが十分に楽しめました。

 一方の振動に関しては、そもそも「GB350」を筆頭とする近年の単気筒車は洗練が進んだ結果として、チョイ乗りレベルではシングルならではの鼓動が感じづらく、いまひとつ面白味に欠けることがあります。でも振動が適度に残されている「インペリアーレ400」のエンジンは、どんな状況でも乗り手に一発一発の燃焼をわかりやすく伝えてくれるのです。もちろんこのあたりの感じ方は人それぞれで、「GB350」の特性に好感を抱く人がいれば、「インペレリアーレ400」に古さを感じる人もいるでしょう。

 とはいえ、バランサーを装備しない往年の単気筒車、1970年代以前に基本設計が行われたヤマハ「SR500/400」や、ドゥカティのベベルシングルなどと比べれば、「インペリアーレ400」の振動は明らかに少なく、回転上昇はスムーズで、高速道路での100km/h巡航は楽勝です。そういった洗練の“サジ加減”に、私はなかなかの好感触を抱きました。

人気の「GB350」に、物足りなさを感じるなら

 前述したように、日本市場における「インペリアーレ400」のライバルはホンダ「GB350」で、どちらが万人にオススメできるモデルかと言ったら、それはやっぱり「GB350」です。何と言っても、抜群の親しみやすさと予想以上の奥深さを備えた「GB350」は、ここ最近の私にとって大のお気に入りで、誤解を恐れずに表現するなら、ネオクラシックモデルの新しい扉を開いた!! と感じているくらいですから。

ベネリ「インペリアーレ400」は往年の英国車的でトラディショナルな雰囲気が特徴のひとつ
ベネリ「インペリアーレ400」は往年の英国車的でトラディショナルな雰囲気が特徴のひとつ

 とはいえ世の中には、そんな「GB350」に何となく味気なさを感じる人、よりクラシックテイストを欲する人、旅先で頻繁に見かける人気モデルは避けたい人などもいるはずで、現在の私はそういうライダーに対して、「インペリアーレ400」の試乗をオススメしたいと思っています。

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 ベネリ「IMPERIALE400(インペリアーレ400)」の価格(消費税10%込み)は66万8800円、製造国は中国です。日本における輸入販売は株式会社PLOT(プロト)が行なっています。

 参考まで、ホンダ「GB350」の価格(消費税10%込み)は55万円です。