日本を代表する4大バイクメーカーのホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ。これらのメーカーには、イメージカラーが存在します。一体なぜ、現在のカラーが定着したのでしょうか?

起源はモータースポーツにあった?各メーカーのイメージカラーの起源とは

 日本を代表するバイクメーカーであるホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキには、それぞれイメージカラーが存在します。もちろん、モデルによってはイメージカラーに沿ったボディカラーが設定されていない場合もありますが、各メーカーのイメージカラーは、それぞれのファンにとっては共通認識と呼べるほど浸透しています。

 では、なぜそれぞれのイメージカラーが採用されるようになったのでしょうか?

トリコロールカラー(パールグレアホワイト)が採用されたホンダ「アフリカツイン」
トリコロールカラー(パールグレアホワイト)が採用されたホンダ「アフリカツイン」

●ホンダの「トリコロール」は星条旗だった!?

 ホンダのイメージカラーは「トリコロール」。フランス語で「3色」を表すこの色は、フランス国旗同様、白・赤・青の3色で構成されています。現行モデルでは、「CRF1100L アフリカツイン」に「パールグレアホワイト(トリコロール)」として設定されているほか、「CB1300 スーパーフォア SP」や「CB1300 スーパーボルドール SP」にも、「パールホークスアイスブルー」という名称で設定されています。

 ホンダがこのトリコロールカラーを用いるようになったのは、1973年のアメリカでおこなわれたモトクロスレースから。当時のアメリカン・ホンダのモトクロスチームのライダーたちは、アメリカの国旗である「星条旗」をモチーフにした3色のライダーウェアでレースに参戦。マシン自体は赤の単色でしたが、この時からホンダはモータースポーツでトリコロールカラーの採用を開始。

 同年行われたデイトナ200マイルレースでは、トリコロールカラーの「CB750レーサー」を駆る日本人ライダー、隅谷守男選手が6位入賞を果たしました。

1976年 ボルドール24時間に参戦したRCB1000とスタン・ウッズ選手
1976年 ボルドール24時間に参戦したRCB1000とスタン・ウッズ選手

 その後も、1976年のボルドール24時間耐久レースで優勝した「RCB1000」や、1980年代にパリ・ダカールラリーのモト部門において、圧倒的な成績を収めた「XR500」などでトリコロールカラーを採用。「ホンダ=トリコロール」というイメージが、一気に定着していきます。

 一般的にトリコロールといえば、フランス国旗をイメージするかもしれませんが、実はホンダのトリコロールカラーの起源は、フランス国旗と同じく白・赤・青の3色で構成されている星条旗にありました。

ヤマハブルーが採用されたYZFシリーズ
ヤマハブルーが採用されたYZFシリーズ

●ヴァレンティーノ・ロッシによって定着した「ヤマハ ブルー」 

 かつては「白・赤」や「黄・黒」などのイメージが強かったヤマハですが、現在では「ヤマハ ブルー」と呼ばれる青が、イメージカラーとして定着しています。

 そんなヤマハと青の関係は、1980年代のパリ ダカールラリーにさかのぼります。当時、ヤマハのスポンサーを務めていたのが、フランスのタバコメーカーである「ゴロワーズ」でした。このゴロワーズのブランドカラーが青だったため、ヤマハのマシンも青く彩られることになります。

「Monster Energy Yamaha MotoGP(2019)」のヴァレンティーノ・ロッシ選手
「Monster Energy Yamaha MotoGP(2019)」のヴァレンティーノ・ロッシ選手

 とはいっても1990年代ころまでヤマハは、モータースポーツでそのほかのカラーリングも使用していました。しかし、2004年のMotoGPでヤマハに移籍したヴァレンティーノ・ロッシがチャンピオンを獲得したことで、「ヤマハ=青」のイメージが定着したようです。

 現在では、「YZF-R1」を筆頭とした多くのスポーツモデルに「ディープパープリッシュブルーメタリックC」などのボディカラーが設定されています。

スズキイエローを採用する「RM-Z450」
スズキイエローを採用する「RM-Z450」

●モトクロスの世界で「スズキ イエロー」を知らない人はいない?

 モトクロスの世界では、スズキといえば「イエロー」というイメージが浸透しています。

 1965年に国産メーカーとしては他社に先駆けてモトクロス世界選手権に参戦したスズキは、当初は苦戦したものの、1968年の第3戦で初優勝を飾った後、1970年には250ccクラスで初タイトルを獲得。さらに翌1971年には500ccクラスでも、ライダーとメーカータイトルの2冠に輝きました。

 そんなスズキがモトクロス世界選手権に参戦した1965年当時、日本にはオフロードバイクというものがほとんど存在しませんでした。そのような状況下で、わずか数年でワールドクラスの成績をおさめたことは「スズキマジック」と呼ばれ、多くの人々の賞賛を集めることに。

 この時のスズキのマシンのボディカラーがイエロー。その後スズキは、モトクロス世界選手権で10連覇を果たすなど、圧倒的な成績で世界にその名を轟かせました。これが、「スズキ イエロー」の原点です。

 スズキのモトクロス世界選手権への参戦は、残念ながら2017年シーズンをもって休止となっています。しかし、現在でもスズキのオフロード競技用専用車両である「RM-Z450」や「RM-Z250」には、「チャンピオンイエローNo.2」というイエローのボディカラーが採用されています。

ライムグリーンを採用するカワサキ「ZX-10R」
ライムグリーンを採用するカワサキ「ZX-10R」

●「グリーン モンスター」と恐れられたカワサキ

「カワサキ=ライムグリーン」というカラーイメージは、ほかのどのメーカーよりも定着している印象が強いと思います。そんなカワサキがライムグリーンを採用するようになったのは、1969年のアメリカ、デイトナ200マイルレースでのことでした。

 ライムグリーンは、欧米ではモンスターや悪魔のようなイメージが強く、どちらかといえばネガティブなイメージの強いカラーです。しかし、当時世界最大のバイク市場であるアメリカのユーザーに対してアピールするために、カワサキはマシンやライダースーツなどをあえてライムグリーンで統一しました。

AMAスーパーバイクで活躍したKZ1000S(1982)
AMAスーパーバイクで活躍したKZ1000S(1982)

 ライムグリーンに彩られたカワサキのマシンは、その後数々のレースで輝かしい戦績をおさめたことで、ほかのチームから「グリーンモンスター」の名で恐れられるようになっていきます。

 それ以降、カワサキのバイクにはライムグリーンが多く採用されるようになり、現在は「ニンジャ」の名を関する各モデルを中心に、「ライムグリーン」もしくは「エメラルドブレイズドグリーン」などの名称で、グリーンのボディカラーが設定されています。

※ ※ ※

 各メーカーのイメージカラーは、かつてのモータースポーツが起源となっていることが多いようです。

 各イメージカラーに沿った「正統派」のボディカラーを選ぶのはもちろん、あえて「ハズシ」のボディカラーを選ぶのも良し!カラーリングにこだわって、バイクを選ぶのもひとつの楽しみといえるでしょう。