現在でも多くの人をとりこにしてやまないスズキ「KATANA」。カタナとはいったいどのようなバイクなのでしょうか?

高いパフォーマンスと前衛的なデザインが融合したカタナ

 2022年9月11日、静岡県はままつフルーツパーク時之栖では、スズキ「カタナ」が集まる「カタナミーティング2022」が開催されます。「KATANAで楽しもう Let’s Have Fun with KATANA!」をテーマに開催される今回は、3年ぶりとなるリアルでの開催ということもあり、これまで以上にファンからの大きな注目を集めています。

「第一回KATANA Meeting」には、多くの刀ファンが集まった
「第一回KATANA Meeting」には、多くの刀ファンが集まった

 それほどまでにファンを熱狂させるカタナとは、いったいどのようなバイクなのでしょうか?

 カタナはその名の通り、日本刀をモチーフとした独創的なデザインと、高性能なエンジンが見事にマッチングしていることが最大の特徴です。1100ccのものを皮切りに、750cc、650cc、250cc、125ccまで幅広く展開されており、派生モデルを含めて「カタナシリーズ」を構成しています。

 カタナシリーズの源流となっているのは、1980年に当時の西ドイツで開催されたケルンモーターショーに展示された1台のプロトタイプモデルです。

 当時、すでに日本の二輪メーカーは世界中を席巻しており、ホンダ「CB750 Four」や「Z1」の名で知られているカワサキ「900 Super Four」など、大排気量のフラッグシップモデルが人気を博していました。

1978年に発売された「GS1000」
1978年に発売された「GS1000」

 大排気量化が進む中で、スズキは1978年にリッターモデルの「GS1000」を発売、鈴鹿8耐での活躍などもあり、世界中で高い評価を得るモデルとなりました。その後、より高性能な「GSX1100E」も登場し、パフォーマンス面では世界トップクラスの称号を得たスズキですが、デザインに対する不満の声は少なくなかったと言います。

 そこでスズキは、BMWなどで活躍した当代随一のデザイナーであるハンス・ムート氏に新型モデルのデザインを依頼。これにより、高いパフォーマンスと前衛的なデザインが融合したプロトタイプモデルが誕生しました。

 ちなみに、実際にデザインをしたのはハンス・ムート氏ではなかったという説もあり、そうした逸話もカタナのひとつの魅力と言えます。

1981年に欧州で発売された「GSX1100S KATANA」
1981年に欧州で発売された「GSX1100S KATANA」

 翌1981年に、プロトタイプとほぼ同様のエクステリアをもった「GSX1100S KATANA」の名で欧州販売が開始されると、現地はもちろん、日本のユーザーからも高い人気を誇りました。当時、日本国内で販売されるバイクについては750ccを上限とする自主規制がおこなわれていたため、正規販売はされていませんでしたが、逆輸入車を手に入れようとする人が後を絶たなかったと言われています。

 その後、排気量の異なるモデルやデザインコンセプトが共通した「カタナスタイル」のモデルも含めて、非常に多くのモデルが日本国内および海外市場に投入されましたが、その中核を成すのは、やはりGSX1100S系のモデルです。

2000年に発売された「GSX1100SM KATANAファイナルエディション」
2000年に発売された「GSX1100SM KATANAファイナルエディション」

 そして1990年には、スズキの創業70周年を記念した「GSX1100SM KATANA」が1100台限定で逆輸入販売されるなどのケースもありましたが、上述の自主規制の影響から、基本的に正規販売はおこなわれていませんでした。

 しかし、1994年に自主規制が撤廃されると、「GSX1100SR KATANA」の正規販売が日本国内でおこなわれるようになりました。ただ、厳しい環境規制への対応が難しいことなどの理由から、2000年の「ファイナルエディション」をもってGSX1100S系のカタナの歴史は幕を下ろすことになります。

 ちなみに、「ファイナルエディション」は即時完売となるなど、最後まで高い人気を誇っていたことがわかります。

およそ20年ぶりに復活したカタナ

 惜しまれながら販売終了となったGSX1100S系カタナですが、2019年5月には第2世代となる新型「KATANA」が登場したことで、およそ20年ぶりの復活を果たしました。

2019年5月に登場した新型「KATANA」
2019年5月に登場した新型「KATANA」

 新型カタナの開発コンセプトは「Forging a New Street Legend(新たなるストリートバイクの伝説を鍛造する)」となっており、刀鍛冶が鋼を叩いて鍛え上げ、丹念に強靭な刀を作り上げることと、バイクとしての「カタナ」を鍛錬して作り上げたことを比喩的に表現したといいます。

 実際に、燃料タンクからカウル先端に至る、研ぎ澄まされた日本刀のようなデザインは健在で、往年のカタナシリーズをほうふつとさせます。

現代のバイクに生まれ変わった「KATANA」
現代のバイクに生まれ変わった「KATANA」

 一方、現代のバイクらしく、ABSやトラクションコントロール、さらにはスムーズな発進をアシストするローRPMアシスト機能など、多数の電子制御技術が搭載されていることも大きな魅力です。また、心臓部には「GSX-R1000」に搭載されているものを改良した1Lの直列4気筒エンジンを採用、軽量で剛性の高いアルミフレームと組み合わされることでスムーズな走りを実現しています。

 新型カタナと過去のカタナシリーズは、名称やデザインコンセプト以外はまったく別のモデルと言っても過言ではありません。しかし、往年の名車の魂を受け継ぐモデルの登場に多くのファンが沸き立っています。

※ ※ ※

 中古車市場を見ると、GSX1100S系のカタナ自体は多くの個体が流通していることがわかります。状態の良いものや限定モデルについては、500万円を超える価格が掲示されていますが、100万円前後の個体もあります。

 根強い人気を誇るモデルだけに、今後相場が下落する可能性はほとんどないと考えたほうが良いかもしれません。