毎月8の付く日は『高梨はづきのきおくきろく。』は、鈴鹿8耐の観戦ポイントや取材から感じた事柄を備忘録としてお伝えするよ。

鈴鹿8耐レポート総集編

 皆さんこんにちは、高梨はづきです!

 2022FIM世界耐久鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会(以下:鈴鹿8耐)の4本目の記事となる今回。わたしの記事で鈴鹿8耐の魅力を少しでも伝えられたかなぁ? もう少し深いところで、分かりやすく鈴鹿8耐を紐解いていこうと思うよ!ちなみに8耐記事は今回がラスト!よかったら最後まで読んでいってね。

2022FIM世界耐久鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会決勝
2022FIM世界耐久鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会決勝

 ネットで調べれば何でもすぐにわかる現代の世の中。鈴鹿8耐を知らないわたしでも【8耐 バイク サーキット】と検索欄に入力すれば詳しく解説してくれる記事に巡り会うことができてありがたい。中には初心者でも分かりやすいように書いてあったりする記事も多くあるけど、読み進めていくと固有名詞や専門用語が意外にもたくさんあって、まずその意味を知らないと理解できないことも多い。知りたいことを調べたいはずなのに、知らない言葉をクリアしていかないといけないので頭の中がこんがらがって結局よくわからず終いという問題でわたしは、つまづいた。

 まず、YouTubeに上がっている動画などをチェックすると、チームがたくさんあることは分かった。どのチームに注目したらいいのか、何に注目したらいいのか、チェッカーってなに?スプーンカーブってなに?専門用語?あわわわ…意味が全く分からない…といった調子。

鈴鹿8耐の素晴らしさを多くの人に体感してもらいたい
鈴鹿8耐の素晴らしさを多くの人に体感してもらいたい

 その他にも、どんなことが分からなかったのかザッと挙げてみると、シリーズ戦、タイトル、ポイント制、EWC、SST、プライベートチーム、ル・マン式、ワークスチーム、スポット参戦・スティント。これを聞いてみんなはどうだった?きっとスポーツ番組をよく観る方は、例えば【シリーズ戦】や【ポイント制】と聞いて大体の想像つくと思うけど、バイクレースというものを初めて知るわたしやスポーツ観戦すら観ない人にとっては、「なんのこっちゃ??」と理解するまでに時間がかかる。

 だから今回は、わたしのようなサーキット初心者が頑張って調べたことを、備忘録として記事にすることで、来年以降8耐という素晴らしいレースをもっと多くの人が楽しく見てもらえるように伝えていければと思う!

それぞれのレースカテゴリやマシンの違いとは?

 まず真夏の祭典とも称されるバイクレース、鈴鹿8耐は、大きく分けてEWC(エンデュランス・ワールド・チャンピオンシップ)とSST(スーパー・ストッククラス)の2種類がある。年間を通して色んなサーキットを周るシリーズ戦が行われているのだけど、この鈴鹿サーキット場で行われるレースはそのうちの一戦なんだよ。

不安定な天気の中で4耐決勝が行われた
不安定な天気の中で4耐決勝が行われた

 3年ぶりの開催となった今年のスケジュールは、

8/5(金)→4耐予選とEWC予選
8/6(土)→4耐決勝とEWCのトライアルトップ10(スタート時の場所取りの順番決め)
8/7(日)→EWC決勝

 と、それぞれ細かくタイムスケジュールが組まれていて、4耐の本番は土曜日、8耐の本番は日曜日みたいな感じだね。このタイムスケジュールは事前に公式サイトに上がるから全ての人がチェックできるようになっているよ!

ゼッケンプレートの色(数字の背景色)が、黒EWC、赤SST
ゼッケンプレートの色(数字の背景色)が、黒EWC、赤SST

 EWCクラスとSSTクラスのバイクの見分け方としてわかりやすいのは、各選手にゼッケンナンバーが割り振られていてバイクにその数字を掲示しなければならないんだけど、そのゼッケンプレートの色(数字の背景色)が黒いのがEWC、赤いのがSST。フロントのライトもそれぞれ違って、EWCクラスが白のライト、SSTクラスが黄色のライトを使っているよ。この違いだけでも見分けはすぐに付くよね!

 それから、EWCクラスとSSTクラスで改良を認められる範囲が異なるんだ。基本となるベース車両はどちらも一緒なんだけど、EWCクラスは1からバイクを組み立てて良し。それによってエンジン性能をメカニックの力でアップさせることが出来たり、チーム独自のパーツを導入することも可能で改良していい範囲が広いのが特徴。

 一方、SSTクラスは改良範囲が狭く、市販で売られているスポーツバイクとほぼ同じ性能のものに、取り付けられるパーツも市販品を使ったりするから比較的低コストで参戦できるのが特徴だよ!見ている人にとっては自分のバイクでも市販品でこのくらいまでは速くなるのか、なんて想像ができちゃうのも楽しいね。

EWCクラスに参戦するヤマハのワークスチームYART - Yamaha Official Team EWC
EWCクラスに参戦するヤマハのワークスチームYART - Yamaha Official Team EWC

 EWCクラスとSSTクラス、それぞれたくさんのチームが参戦しているのだけど、その内訳はワークスチーム(ファクトリーチームともいう)とプライベートチームに大きく分けられるよ。ワークスチームは、車輌メーカーの支援を受けて戦うチーム。

プライベートチームとして参戦したAstemo Honda Dream SI Racing
プライベートチームとして参戦したAstemo Honda Dream SI Racing

 プライベートチームはパーツメーカーやバイク販売店、今回取材させてもらった日本郵政など、一般会社の支援を受けて戦うチームなんだって。ワークスチームは会社の威信をかけて結果を残すことを絶対とされたチームで、プライベートチームは予算などの都合がある上で打倒ワークスチームを掲げてとにかく上を目指すチームというイメージだね。チーム毎に特色がでるのはこういった面が反映されていて、勢力図を頭の中で浮かべるだけでも楽しいよね!

 SSTクラスはプライベートチームが多く参戦している印象なんだけど、どうやらEWCクラスへの参入を目標に、ステップアップするため参戦しているチームが多いみたい。これはチームを一見しただけでは違いを判断するのは難しいんだけど、知っているだけで記事が理解できるようになるから覚えておくといいよ!4耐チームが目指すのは8耐!って感じ。

2022年9月17―18日にフランスで開催されているEWC第4戦ボルドール24時間耐久レース(写真:予選Q2)
2022年9月17―18日にフランスで開催されているEWC第4戦ボルドール24時間耐久レース(写真:予選Q2)

 これまでわたしが書いてきた記事の中で「鈴鹿8耐は8時間の間にどれだけ多く周回をしたかが勝敗を決める」と書いたのだけど、それはこのレースの話。この鈴鹿8耐以外にもEWCシリーズ戦(世界各地での耐久戦で24時間耐久なんてのもある)でのランキング次第で加算されるポイントを以って年間を通したシーズンチャンピオンを決めるのだけど、その1戦に設定されているのがここ鈴鹿なの。だから各チーム、最も栄誉あるシーズンチャンピオンのタイトルを取るために鈴鹿に臨んでると言っても過言ではない。それくらい熱い戦いが日本の鈴鹿で行われているってことなんだよね。タイトルに選ばれるのはSSTクラス(国内耐久戦)ではなく、EWCクラス(世界耐久選手権)に参戦したチームから選ばれるよ。

Yoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手に聞いた

Yoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手に取材を申し込んだ
Yoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手に取材を申し込んだ

 渡辺選手はワークスチームに入って戦うプロのレースライダーだったのだけど、今年は【Yoshimura SERT Motul】のライダーとしてEWCに参戦している選手。鈴鹿8耐は3年ぶりの開催で渡辺選手も気持ちが昂っている様子だったよ。ただ、チームはここまで4人体制で準備をしてきたんだけど、一人はコロナ感染で出場できず、もう一人はテスト走行で負傷離脱してしまい、残るグレッグ・ブラック選手と渡辺一樹選手の2人体制での参戦という緊急事態。

決勝スタート直前のグレッグ・ブラック選手と渡辺一樹選手
決勝スタート直前のグレッグ・ブラック選手と渡辺一樹選手

 そんな状況下でも、チーム【Yoshimura SERT Motul】の決勝戦は、SNSでも話題になるくらいの動画が上がっていたね。4万いいね!がつくほどだったので、見かけた人も多いんじゃないかと思う。それは、バイクから数メートル離れた場所からライダー本人が自分の足で走ってバイクに乗り込んでスタートするル・マン式スタートの映像。スタート直後、まさにロケットのように15台を一気に抜き去り、即座に上位グループに組み込んだグレッグ・ブラック選手の動画。思わず笑ってしまうくらいどのチームよりも速くスタートしていて、会場でもかなりの大盛り上がり。観戦していたわたしも元気が出たんだ!

 こういうのもレースの面白いと思う一つだよね。そしてスタートからの勢いそのままに、2人体制という厳しい状況下に苦難しながらも、チーム【Yoshimura SERT Motul】は表彰台3位という輝かしい結果!まさに大金星で大興奮!

鈴鹿8耐決勝を戦うYoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手
鈴鹿8耐決勝を戦うYoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手

 レース前の渡辺選手は「トータルのポイントに勝負を振っている」と話していたんだけど、チーム【Yoshimura SERT Motul】は世界耐久選手権全てのレースに参戦しているため、ポイント次第でシーズン結果が大きく変わってくる。もちろん優勝を目標に、その中でチームの総合獲得ポイントも意識しながら戦っているのだと知って、今になって”ポイント勝負”の意味が理解できた。ネットで調べるだけではない活きた経験というのはこういうことか!ちなみに最終的なポイントランキングは調べてみてね!

 そしてチーム【Yoshimura SERT Motul】渡辺選手へのもっと詳しい取材内容は、バイクのニュースでお馴染み、小野木ちゃんの記事の方でアップされているからチェックしてみてね!とても勉強になるよ!渡辺一樹選手、ありがとうございました!

世界耐久選手権 (EWC)の歴史はロードレース世界選手権と比べ、まだ短い

 さて、話は戻って…このシリーズ戦、各国の耐久試合に出たり出なかったりするチームが存在するって聞いた。そのことをスポット参戦というんだけど、FIM世界耐久選手権 (EWC)は、まだその歴史が50年もなく、ロードレース世界選手権(MotoGP)やスーパーバイク世界選手権(WSBK)、そのほかの耐久選手権などに比べて歴史が短い。

MotoGP第14戦サンマリノGPに代役参戦した渡辺一樹選手
MotoGP第14戦サンマリノGPに代役参戦した渡辺一樹選手

 そのため、ロードレース世界選手権(MotoGP)やスーパーバイク世界選手権(WSBK)はグローバルに人気が高く、そちらに重きを置くチームが多い中、FIM世界耐久選手権(EWC)の鈴鹿8耐はスポット参戦する日本のトップチームばかりだから、ちょっと変わった世界大会なのだとか。なぜスポット参戦というものができるのかまではちょっと理解できていないから、知ってる人誰か教えて〜‼︎

 これまで日本を代表する4大メーカーの、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキのワークスチームがレース参戦していたけど、実は今年の世界耐久選手権シリーズを最後にスズキワークスチームは撤退してしまうんだって。もしかしたらスズキワークスのバイクを鈴鹿8耐で見られるのが最初で最後になってしまったわたし。

スズキワークス復活を願うばかり
スズキワークス復活を願うばかり

 たくさんの想いの詰まった3年ぶりの開催で、スズキの最後の参戦である歴史的瞬間の年に、わたしも参加することができてよかった…!機を見てまた戻ってきて欲しい!歴史を遡ると、鈴鹿8耐に1番最初に参戦したメーカーはスズキなんだとか。そんなメーカーが撤退してしまうのはなんだか寂しさがあるなぁ。今年スズキの車両で参戦していた【Yoshimura SERT Motul】を取材班として近くで感じれたのも、バイクのニュースの皆さんに感謝だ。ありがとうございます。

 そして最後といえば、この鈴鹿8耐限りで引退となる青木宣篤選手。「青木三兄弟は最強」なのだと編集部の先川さんに教えてもらったっけ。だからレースを終えた青木選手に突撃取材したかったんだけど、ひっきりなしに取材対応する青木選手との間にはわたしが入り込めるスキが無く泣く泣く断念…。あぁ無念。

元二輪WGP(ワールドグランプリ)ライダーの青木拓磨さん
元二輪WGP(ワールドグランプリ)ライダーの青木拓磨さん

 しかも私がちょうど席を外している間に、青木宣篤選手のご兄弟である、元二輪WGP(ワールドグランプリ)ライダーの青木拓磨さんがプレスルームに来てくれてたみたい!なんてタイミングなんだっ…!私は少ししかお会いできなかったのだけど、その時の様子も小野木ちゃんが記事にしているからよかったらそちらも覗いてみてね!

Team HRC が優勝

 ということで2022年、鈴鹿8耐の結末はいかに…ゼッケン33番のホンダワークスチーム【Team HRC 】が独走状態で8時間耐久の終了の合図となるチェッカーフラッグを受け優勝!

初めて鈴鹿8耐に参戦したイケル・レクオーナ選手
初めて鈴鹿8耐に参戦したイケル・レクオーナ選手

 ホンダと長島哲太選手が2019年の開発から関わったCBR1000RR-Rに長島哲太選手、高橋巧選手、イケル・レクオーナ選手の3名、全てのスティント(ライダー交代の数え方)で終始安定した走りを見せての優勝。

 中でも、長島哲太選手と、イケル・レクオーナ選手は鈴鹿8耐は初めての参戦だったというから驚き!予選からトップ10予選、そして決勝を通じて【Team HRC】が韋駄天の速さを発揮し、長島選手は今年唯一の2分4秒台のラップタイムを記録してポールポジション(決勝レースのスタート位置の先頭)をもたらしたことが大きいみたい。こうして、決勝が始まる前から優勝候補と囁かれていたチームでも初めて参戦した選手たちでも優勝できるなんて、本当に夢がありすぎるよね!

スズキワークスとして最後の鈴鹿8耐参戦になるかもしれないレースで3位表彰台を獲得したYoshimura SERT Motul
スズキワークスとして最後の鈴鹿8耐参戦になるかもしれないレースで3位表彰台を獲得したYoshimura SERT Motul

 表彰台には3位にゼッケン1番【Yoshimura SERT Motul】、2位にゼッケン10番【Kawasaki Racing Team Suzuka 8H】、そして堂々たる第1位の1番高い位置にゼッケン33番【Team HRC】が立ったよ!

【Team HRC】のチームの皆さん、本当におめでとうございます!そしてお疲れ様でした!

 正直、選手の名前とか各選手がどのくらい凄いとかまではわたしの勉強不足で、編集部の先川さんに教えてもらいながらだったんだけど、今回取材を通して8耐を観戦させてもらってからというものの、出場する全ての選手をリスペクトしかない。

 過酷なレースに出場する精神力や覚悟が取材をしていてビギナーのわたしにもバシバシ伝わってきて、生半可な気持ちでは参戦できないのがプロのロードレースなんだと実感したよ。みんな命と人生を賭けた勝負をしているんだね…。とにかく気迫ある大会だった。

レッドカラーの銀テープを記念に5本も持ち帰ってきちゃった!
レッドカラーの銀テープを記念に5本も持ち帰ってきちゃった!

 鈴鹿8耐最後は、優勝した【Team HRC】の車体カラーにもなっているレッドカラーの銀テープが夜空に降り注いで噂に聞いてたフィナーレを楽しむことができたよ!そのあとは真っ赤な花火が上がって、鈴鹿8耐の締めくくり。銀テープは記念に5本も持ち帰ってきちゃった!これも宝物///

 この3日間は本当に濃い時間を過ごさせてもらったなぁ。取材初日は大雨に降られたけど、決勝戦は天候に恵まれて本当によかった。8耐に参加した全てのチームに敬意払いたいと思う。この3日間でロードレースの全てを知ることは難しいと悟ったわたしだけど、最初の一歩はかなり大きく踏み出せたんじゃないかなと思う!またいつかレースの取材ができた時は、この経験を活かして、みんなに伝えられることを発信できればいいな!

 …ということで、これで鈴鹿8耐の記事を終わりにします!計4回に渡って長い文章を読んでくれてありがとうございました!

プレスルームで食べたお弁当
プレスルームで食べたお弁当

 最後はプレスルームで食べたお弁当を添えて…!
 ではまた8のつく日にお会いしましょう〜!高梨はづきでした!