KTMジャパンは2023年型の競技車両として、幅広いラインナップのエンデューロモデルを展開しています。なかでも日本市場で人気が高いという排気量250ccクラスの4ストロークエンジン搭載車に試乗しました。

充実のライナップで、幅広い層をカバー

 さすがは「READY TO RACE」をスローガンに掲げるKTM。ラインナップされるオフロード車たちも、「TRAVEL(トラベル)」にカテゴライズされるアドベンチャー系を除けば、ナンバープレートの取得を前提としない競技専用車だけです。

KTMのエンデューロモデル「250 EXC-F」(2023年型)に試乗する筆者(青木タカオ)
KTMのエンデューロモデル「250 EXC-F」(2023年型)に試乗する筆者(青木タカオ)

「MX(モトクロス)」はもちろん、「ENDURO(エンデューロ)」も公道走行のできないモデルが「500 EXC-F」を頂点に、4ストロークエンジン、2ストロークエンジン搭載車が勢揃いしています。

■4ストロークエンジン搭載車
500 EXC-F
500 EXC-F SIX DAYS
350 EXC-F
350 EXC-F SIX DAYS
250 EXC-F
250 EXC-F SIX DAYS

■2ストロークエンジン搭載車
300 EXC
300 EXC SIX DAYS
300 EXC ERZBERGRODEO
250 EXC
250 EXC SIX DAYS
150 EXC

 エンデューロモデル(クロスカントリーモデル含まず)だけでもこれだけの充実ぶりで、つまり多様な競技や技量に合わせて、よりどりみどりのラインナップ展開。下は2ストローク150ccモデルから設定され、KTM一筋でステップアップしていけるようマシンが細かく用意されているのです。

日本市場での人気は250〜350ccクラス

 こうしたオフロードに対するメーカーの熱き情熱と真摯な姿勢は、KTMジャパンがメディア向け試乗会として毎年行なう「オフロードコンペティションモデル」に参加するたびにひしひしと感じられ、意気込みが強く伝わってきます。

排気量249.91ccの水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載
排気量249.91ccの水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載

 2022年の会場となった「ワイルドクロスパークGAIA」(長野県大町市)には、KTMのみならず、同じファミリーとなるハスクバーナ・モーターサイクルズ、GASGASという計3ブランドの2023年型オフロードモデルが並び、それぞれに乗る機会を得ました。

 Marketing & PR 担当の増岡さんによると「国内のユーザーに支持されているのは、4ストモデルなら250ccクラス」とのこと。というわけで、2023年型エンデューロモデル「250 EXC-F」に乗ってみました。

伝統を感じるカラーグラフィック

 実車を目の当たりにしてまず目をひくのは、ホワイト、パープル、オレンジを基調とした1990年代初期のマシンをオマージュしたカラーグラフィックで、インモールド成形によって摩耗と色あせの耐性を向上しているのが嬉しいかぎり。クロモリ剛のフレームは、ファクトリーマシン同様に鮮やかなオレンジで仕上げられています。

KTM「250 EXC-F」(2023年型)※オフロード競技用モデル
KTM「250 EXC-F」(2023年型)※オフロード競技用モデル

 NEKEN製の高強度アルミ製テーパーハンドルは、EXCシリーズすべてのモデルで4つの位置に調整可能。シート高は960mmとかなり高いのですが、表彰台を狙うオフロードコンペティションモデルではとくに驚くことではないでしょう。身長175cmの筆者(青木タカオ)の場合、オフロードブーツを履いた状態で片足立ちとなります。

扱いやすさこそ武器となる

 エンジンはセルフスターターによって一発で目覚め、難所でエンジンストップしてもすぐに再スタートできるのは心強いですし、体力的にもたいへんありがたいもの。レースはもちろん、ファンライドでもそれは変わりません。

 最低地上高は355mmも確保され、サスペンションストロークはフロント300mm、リア310mmと長いもの。路面状況が目まぐるしく変化する林間セクションでは、103kgという軽量な車体と初期荷重からよく動き路面追従性に優れるサスペンション設定に助けられます。ギャップに当たっても大きく跳ねることなく、操縦安定性を失うことなく進んでいけます。

粘り強いトルクを発揮する4ストロークエンジン

 前後サスペンションがソフトな乗り心地をもたらし、オフロードでの快適性を感じさせます。4ストローク単気筒DOHC4バルブエンジンも全域でトルクが太く、扱いやすさをより強く意識させてくれます。低回転域でも粘り強く、ペースが上がらなくとも着実に車体を前へ押し出し、難所もクリアできる頼もしい心臓部です。

力強くしなやかに動くサスペンションや、低速でも扱いやすいエンジンなど、乗り手に安心感を与えてくれる
力強くしなやかに動くサスペンションや、低速でも扱いやすいエンジンなど、乗り手に安心感を与えてくれる

 濡れてスリッピーな斜面や大きな石がゴロゴロした難セクションも、しなやかに動く足まわりとトラクション性に優れるエンジンが相まって、接地性の良さに安心しつつアクセルを開けていけるのでした。

 中高回転域のパワーも充分過ぎるほどで、中間加速でも欲しいところでレスポンス良く応えてくれます。唐突なほど過剰に応答せず、コントロールのしやすいパワーデリバリーが秀逸なところ。もちろんワイドオープンすれば、レーサーらしいパンチの効いた強烈なダッシュが味わえます。

 筆者の拙い技量でもマシンに助けられるところが多く、エントリーユーザーから上級者まで、幅広いユーザーが長く付き合えるでしょう。