自転車のタイヤは、走行性能や制動力を左右する重要なパーツでありながら、走るほどにダメージを受ける消耗部品です。そんな自転車のパフォーマンスに大きく影響するタイヤの寿命について紹介します。

クルマもバイクも自転車も! タイヤの寿命を見極めて

 人力で進む自転車は、仕組みがシンプルだからこそ、構成しているパーツのコンディションによってその性能が左右される乗り物です。中でも常に地面に接してその身を削り続けるタイヤは常にダメージを受けるパーツのひとつだと言えます。

自転車の新品タイヤとすり減ったタイヤの比較
自転車の新品タイヤとすり減ったタイヤの比較

 自転車の走行性能や制動性能に大きく影響するタイヤが劣化すると、パフォーマンスは大幅に低下します。重要な消耗部品であるタイヤの寿命について紹介します。

 自転車の使い方、タイヤの種類やメーカーによって異なることを大前提として、自転車用タイヤは一般的に3000kmを走行したら交換が必要になると言われています。

 クルマのように距離計がついていないので走行距離をパッと見で把握することはできませんが、例えば通勤・通学で毎日約5kmを走行する人が月20日間使用したとすると、月間で約100km(=5km×20日)走行したことになります。これを年間で均すと約1200km(=100km×12カ月)となり、3年間で走行距離は約3600kmになります。

 かなりざっくりした計算ですが、およそ2年半から3年で寿命が来ることになります。

 とは言え、日々定期的に距離を走るわけではない場合、走行距離から交換タイミングを測るのはなかなか困難です。そこで見るべきポイントが、タイヤの表面(接地面)に刻まれた「溝」(トレッドパターン)です。

 自転車のタイヤは基本的に「ケーシング」と呼ばれるナイロン、ポリエステル、木綿などの繊維素材で作られた骨格となる部分と、形状維持や車輪に固定する部分となる鉄製のワイヤー「ビード」を「サイドウォール」などと呼ばれるゴム層が覆い、地面に接する部分に厚みのある「トレッド」ゴムで覆う構造になっています。そしてトレッドには地面を掴む「グリップ力」を調整するために「溝」が刻まれています。

 溝は地面の上を転がることで消しゴムのように削られ、どんどん浅くなっていき、その溝の深さがタイヤ交換の目安になります。ただ、悩ましいのは自転車用タイヤには交換時期を知らせる明確なサインがないという事です。

 クルマやバイクのタイヤには、すり減ると浮き上がってくる「スリップサイン」が用意されていますが、大半の自転車用タイヤにはそれがありません。見極めるには多少の経験も必要になりますが、スリップサインと同じように、溝の深さが1.6mm以下になったら交換する、と覚えておけば良いでしょう。

 なお、スポーツタイプの自転車などで使用されている「スリックタイヤ」では、転がり抵抗となる溝がまったく刻まれていませんが、交換タイミングを知るために1カ所だけ、小さな円形のくぼみが掘られていることがあります。くぼみがタイヤのどこにも見当たらなくなったら交換の合図です。

 ちなみに、たまにゴムが削られ過ぎてケーシング(繊維)が見えてしまっているタイヤを見かけることがありますが、この場合は問答無用で交換です。そこまでゴムの層が薄くなっていると、ちょっとした突起でもパンクしますし、中のチューブが膨らもうとする力を抑えきれず、びっくりするほど大きな音とともに破裂します。

「溝」(トレッドパターン)が残っていても、ひび割れやサイドウォール(タイヤの側面)が破れていたら問答無用で交換する
「溝」(トレッドパターン)が残っていても、ひび割れやサイドウォール(タイヤの側面)が破れていたら問答無用で交換する

 トレッドパターンと合わせてチェックしておきたいのが、タイヤのひび割れです。側面のひび割れは要注意で、割れが深い場合はトレッドゴムが削れ過ぎた時と同様に中のチューブを抑えきれず、飛び出してしまうことがあります。

「そんなに長距離を走っていないし……」と思っていても、空気圧が不足している状態で走り続けていると、タイヤ(の側面)が常に押しつぶされ、ひび割れが発生しやすくなります。

 とくにビードの周辺は、段差から降りた時に地面と車輪に挟まれるのでダメージを受けやすく、あまりに衝撃が大きい場合は一撃で破れてしまうこともあります。

 いくらトレッドパターンが残っていても、チューブをしっかり内側に収めていられないタイヤは交換が必要です。

 タイヤを交換する際は、基本的にはチューブも一緒に交換したほうが良いでしょう。内側に収まっているのでダメージが少なそうに思うかもしれませんが、タイヤの内部で動いてすり減ることもあり、また気温の変化などで経年劣化は進んでいます。

 それに、自転車屋に修理を依頼する際に「タイヤだけ」、「チューブだけ」と交換時期をずらすと、工賃が2回分かかってしまうことになります。せっかく交換するなら、一度にまとめて交換することをオススメします。