原付免許やATを含む小型普通二輪免許、普通二輪免許は、いずれも16歳から取得可能と
規定されていますが、大型二輪免許だけは18歳からしか取得することができません。いったいなぜなのでしょうか。

ライダーの憧れ? 大型自動二輪車免許

 バイクが好きな人であれば、大型バイクに憧れたり、または普通自動二輪免許などを現在所持していて、大型バイクにステップアップしたいと考える人も少なくないでしょう。

大型二輪免許の正式名称は「大型自動二輪車免許」といい、マニュアル(MT)免許と、オートマ(AT)限定免許の2種類があります
大型二輪免許の正式名称は「大型自動二輪車免許」といい、マニュアル(MT)免許と、オートマ(AT)限定免許の2種類があります

 そもそも大型バイクと呼ばれるのは、排気量が400ccを超えるバイクで、運転するためには、大型二輪免許が必要になります。また、大型二輪免許の正式名称は「大型自動二輪車免許」といい、マニュアル(MT)免許と、オートマ(AT)限定免許の2種類があります。大型二輪免許はマニュアル・オートマどちらのバイクにも乗ることができますが、大型二輪免許(AT限定)の場合は、ATモデルに限られる点には注意が必要です。

 なお、400cc以下のバイクが運転できる普通自動二輪車免許(AT限定含む)までは、16歳から免許の取得が可能ですが、大型自動二輪車免許(AT限定含む)の場合は、18歳から取得可能になっています。

 普通自動二輪免許は16歳から取得可能であるのに対し、大型自動二輪免許は18歳からと、年齢制限に差があるのはいったいなぜなのでしょうか。

 日本の免許制度の中で、自動二輪車免許が創設されたのは1948年のことで、それ以前は、二輪車免許は「四輪免許」に付帯されていました。また、1968年までは現在のような小型・普通・大型といった区別はなく、二輪免許で50cc以上のすべてのバイクを運転することができました。当時は取得するための年齢制限は16歳であり、高校生でも大型バイクに乗れる時代でした。

 また、1970年代に入るころ、日本では「第1次バイクブーム」とも呼べる空前のバイクブームを迎え、それに伴い数々の名車が生まれました。

ホンダ「Dream CB750 Four」
ホンダ「Dream CB750 Four」

 代表的なバイクとして、ホンダ「Dream CB750 Four」や「Dream CB400 Four」、ヤマハ「650 XS1」やカワサキ「750RS」などが挙げられます。

 そして前述したとおり、当時は高校生から大型バイクも運転できる二輪免許が取得できたため、若者がバイクに乗るのは、当たり前と言っても過言ではないほどでした。しかし、バイクブームにともなって大型バイクによる若者の事故や、何十台にも及ぶ大型バイクに乗った暴走族による迷惑行為が増加します。こうした時代背景によって、1975年にバイクの免許に関する制度が大きく変わることになりました。

1975年に排気量制限のない「大型二輪免許(限定解除)」のみ、免許センターでの一発試験のみになった
1975年に排気量制限のない「大型二輪免許(限定解除)」のみ、免許センターでの一発試験のみになった

 まず、1972年に125ccの小型自動二輪免許が新設され、1975年に排気量制限のない「大型二輪免許(限定解除)」、400cc以下に乗れる「中型限定自動二輪免許」、125cc以下に乗れる「小型限定自動二輪免許」の3つに分けられました。

 この免許制度の改正で、「小型二輪免許」と「中型限定自動二輪免許」は教習所で取得できましたが、400cc超えの「大型二輪免許(限定解除)」のみ、教習所での取得制度が無くなります。つまり、「大型二輪免許(限定解除)」の取得方法が、免許センターでの一発試験のみになったというわけです。

 当時の大型バイクによって起きてしまった社会問題もあり、大型二輪免許の限定解除のための一発試験は、寸分のミスでも即不合格という厳しさでした。ちなみに、合格率はわずか2パーセント(100人受験して合格者は数人)と言われており、「司法試験より難しい」と揶揄されるほどだったといいます。

 たびかさなる若者の事故や暴走族対策として、青少年への免許証交付をしないためともいえる厳正化に、メーカー側も最高速度を180km/hに制限したり、750cc以上の排気量のバイクの国内販売をやめるなどの自主規制という形で参加しました。

1996年に免許の改正がおこなわれ、教習所でも大型二輪免許が取得できるようになった
1996年に免許の改正がおこなわれ、教習所でも大型二輪免許が取得できるようになった

 この大型バイクへの規制は、1995年、アメリカからの「ハーレーダビットソンなどの大型バイクが日本で売れないのは、規制が厳しすぎるからではないのか」という指摘をされるまで続いたようです。

 その結果、1996年に免許の改正がおこなわれ、大型二輪免許(18歳から)と普通二輪免許(16歳から)が新設されました。それと同時に、教習所でも大型二輪免許が取得できるようになり、2005年には大型二輪免許にAT限定免許が誕生し、ニーズに合わせて大型バイクの免許を選べるようになりました。

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 大型二輪免許の取得に18歳以上からの年齢制限がかかっているのは、過去に若者による大型バイクの事故や、同じく未成年の暴走族による迷惑行為が多発していたことが理由のようです。非常に合格率の低い狭き門だった大型二輪免許でしたが、現在は教習所にさえ通えば、誰でも大型二輪に乗れる時代になったといえます。

 大型バイクに乗る際は、中型バイクからステップアップした人などは、慣れに慢心せず、安全運転を心がけてツーリングを楽しみたいものです。