2022年11月11日にヤマハが発表した新たな安全ビジョン「人機官能×人機安全」。その主な技術を紹介します。

ヤマハが制定した新たな安全技術の中身とは

 ヤマハは2022年11月11日、同社の新たな安全ビジョン「人機官能×人機安全」を発表し、その詳細を公開しました。

転ばないバイクを実現する「AMSAS」が搭載されたヤマハ「YZF-R25」
転ばないバイクを実現する「AMSAS」が搭載されたヤマハ「YZF-R25」

 今回ヤマハが新たに制定した「人機官能×人機安全」は、「技術」、「技量」、「つながる」の3つを軸とした安全をもとに、ユーザーが楽しみながらその能力を高められることで得られる喜びや感動を提供し、ユーザーと共に「事故のない社会」を目指すというものです。

 ヤマハは同社の調査によって明らかになった、「二輪車事故の70%は事故のきっかけが生まれてから1秒から2秒という短い時間で発生しており、適切な回避行動を取ることは困難」という現実を少しでも軽減させるために、事故そのものが起こらないようにするための「危険予知運転アシスト」と「被害防止・防衛運転アシスト」を研究。

 さらに、事故が起きてしまってからの「緊急回避アシスト」や「被害軽減」に貢献するシステムの開発に、取り組んでいると説明しています。

 その具体例として、ヤマハは新たな運転支援システム「AMSAS(アムサス)」を公開しました。

 アムサスは、走りはじめや停車に向けた減速時など、5km/h未満で走行している際に制御をおこない、立ちゴケや握りゴケを防いでくれるという二輪安定化支援システムです。前輪とハンドルに、アクチュエーターを装着。6軸IMU(慣性計測装置)の情報を基に、モーターによる前後移動の駆動力とステアリングの操舵力で、自動的に車体のバランスを取って自立する仕組みとなっています。

 なお、アムサスは非常にコストがかかるため、市販化に関しては現時点では未定。日高社長は、スバルが販売するクルマに搭載されるアイサイトのように、アムサス搭載車両が一番売れるラインナップ層となることを目標とし、プラス5万円程度での販売を目指す方針と明言しています。

市販車に実装される技術も発表

 同時に開催されていたミラノショー(EICMA2022)で公開されたスポーツツアラー、新型「トレーサー9GTプラス」には同社初、前方を走る車両の速度に合わせて自動で速度をコントロールしながら一定の車間距離を保つアダプティブクルーズコントロール(ACC)が搭載されることも発表されました。

EICMA2022で公開されたヤマハ新型「トレーサー9GTプラス」
EICMA2022で公開されたヤマハ新型「トレーサー9GTプラス」

さらにミリ波レーダーとIMUが感知した情報を基に、ライダーのブレーキ入力が不足していると判断した場合は、前後配分を自動調整しながら制動力をアシストする、自動ブレーキ制御も世界で初めて採用されています。

 この自動ブレーキ制御システムは電子制御サスも連動しており、違和感なく安全に減速できると説明。ブレーキ入力が全くない場合はメーター画面での警告をおこない、ライダーがそのままブレーキングをしない場合に自動で停止することはなく、二輪の特性を踏まえた仕様となっています。

 なお、これら最新の運転支援技術が搭載された新型トレーサー9GTプラスの日本発売は、2023年夏以降の予定となっています。