2022年10月現在、交通法や運送車両法など、バイクやクルマなどにはさまざまな法律が定められており、違反すれば罰則が科せられます。では、10年前と比べると罰則内容が変わった違反などはあるのでしょうか。

10年間でこんなに変わってた!?バイクの罰則

 バイクやクルマの違反者に対する罰則内容が、知らないうちに変更されていることがあります。違反をしてから点数や反則金が引き上げられていて、驚いた経験がある人もいるかもしれません。そのような事態を避けるためにも、法改正された内容を把握しておくことが大切といえますが、近年では、どのような違反の罰則が改正されたのでしょうか。

 まず、2007年の9月に道路交通法の改正により、飲酒運転の罰則が引き上げられました。これは、2006年8月に福岡県東区の海の中道大橋で起きた、飲酒運転による重大事故が厳罰化のきっかけです。

 この改正では、「酒気帯び運転」の罰則を強化。「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に引き上げられています。また、「酒酔い運転」の罰則も引き上げられ、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」から「5年以下の懲役、100万円以下の罰金」に厳罰化されました。

 さらに同じ時期に、飲酒運転をしたクルマに乗っていた人も、処罰の対象になっています。例えば、飲酒しているのを知りながらクルマを運転させたり、クルマを運転すると知っているのに酒を提供するといった、飲酒運転を助長する行為だけでなく、運転者が酒を飲んでいるのを知りながら同乗する行為も罰則として新設されました。

 これらの行為は「飲酒運転同乗罪」にあたります。運転者が「酒気帯び運転」の場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金、運転者が「酒酔い運転」の場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。さらに、飲酒運転のクルマに同乗していた人が運転免許を取得している場合は、運転者と同じ違反点数が加算されることになります。

 そして2009年には、飲酒運転に対する違反点数も大きく引き上げられました。「酒気帯び運転」(呼気1リットル中のアルコール量0.15mgから0.25mgまで)は、6点から13点に。また、「酒気帯び運転」(呼気1リットル中のアルコール量0.25mg以上)は、13点から25点に。「酒酔い運転」は25点から35点にそれぞれ引き上げられています。

 なお、この改正で強化された飲酒運転の罰則は、現在まで変更されることなく適用されています。

2019年12月から運転中にスマートフォンや携帯電話、カーナビなどを使用する「ながら運転」に対する罰則が強化された
2019年12月から運転中にスマートフォンや携帯電話、カーナビなどを使用する「ながら運転」に対する罰則が強化された

 ちなみに、近年で罰則が強化されたものでは、運転中にスマートフォンや携帯電話などの操作や画面を注視する行為である、いわゆる「ながら運転」が挙げられます。警視庁のホームページの令和2年度のデータによると、ながら運転をしていない場合に比べて、ながら運転をしていた場合の死亡事故率は約1.9倍だったとされています。

 このような現状をふまえ、2019年12月から運転中にスマートフォンや携帯電話、カーナビなどを使用する「ながら運転」に対する罰則が強化されました。

 例えば、スマートフォンや携帯電話を耳に当てての通話や、手に取って画面を見るなどの行為は「携帯電話使用等(保持)」にあたります。そして改正後は、二輪車の場合、違反点数が1点から3点になり、反則金は6000円から1万5000円(原付は5000円から1万2000円)に引き上げられました。

 また罰則は、「5万円以下の罰金」から「6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金」に引き上げられています。改正後は、違反点数と反則金が約3倍になり、罰則に懲役が加えられて非常に厳しいものになりました。

 さらに、ながら運転により交通事故を起こした場合は「携帯電話等使用(交通の危険)」にあたり、改正後は違反点数が2点から6点に引き上げられました。つまり、以前に事故や違反がなくても免許停止処分になる、いわゆる「一発免停」となるので、注意が必要です。また、罰則も「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」に引き上げられています。

交通反則通告制度とは、軽微な交通違反をしたときに手続きを簡略化する制度のこと
交通反則通告制度とは、軽微な交通違反をしたときに手続きを簡略化する制度のこと

 そして、とくに注意しなければならないのが「交通反則通告制度」の対象外になった点です。交通反則通告制度とは、軽微な交通違反をしたときに手続きを簡略化する制度のことです。いわゆる「青切符」のことで、反則金を納めることで刑事事件にはなりません。

 改正前は、青切符をもらい反則金を納付すれば、刑事罰は科せられませんでした。しかし改正後は、切符処理ではなく刑事事件として懲役や罰金といった刑罰が下されることになります。

2020年6月の法改正で、あおり運転を取り締まる「妨害運転罪」が新設された
2020年6月の法改正で、あおり運転を取り締まる「妨害運転罪」が新設された

 そのほか、2017年ごろから重大事故が相次ぎ社会問題化している「あおり運転」に対して、道路交通法が改正されています。これまで、あおり運転を取り締まる法律はなかったため、道路交通法の車間距離不保持や、刑法の暴行罪などが適用されてきました。

 そんな中、2020年6月の法改正で、あおり運転を取り締まる「妨害運転罪」が新設されることになったというわけです。ほかの車両の通行を妨げる行為である、車間距離を極端に詰める「車間距離不保持」や、急な進路変更おこなう「進路変更禁止違反」など、10類型が「あおり運転」の取り締まり対象になっています。

 ちなみに、あおり運転による罰則は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。違反点数は25点で酒気帯びと同等で非常に厳しいものです。また、高速道路上であおった相手の車両を停車させるなど、著しい危険を生じさせた場合は、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。なお、違反点数は35点で酒酔い運転と同等です。

 いずれにしても、あおり運転で検挙されると事故を起こさなくても、違反1回で免許取り消し処分になります。

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 ここ10年ほどで罰則が強化された違反は、どれも重大事故を引き起こすものばかりです。「絶対にしない」という強い意思と、心にゆとりを持って運転することが大切といえるでしょう。