BMWモトラッドでは、世界中でレンタルバイクシステム『RENT A RIDE』を展開しています。いったいどのようなシステムなのでしょうか? 実際に使って海外ツーリングを体験しました。
この体験「◎」!! 借りてこその海外ツーリング
BMWモトラッドが各国で展開する「RENT A RIDE」は、ディーラーを軸にスタートできるレンタルバイクシステムです。そもそもレンタルバイクのメリットは、予約をした時間、日数で興味のあるバイクを心ゆくまで走らせることができること。例えばツーリングをしたい場所が遠隔地でも、そこに近いディーラーを活用すれば、そこまでの移動を電車や飛行機を使っての時短が可能。そう、現地でのツーリング時間を最大化することも可能なのです。

このレンタルバイク・プラットフォームの強みは、日本をはじめ世界22カ国で展開中であり、母国語のWEBサイトから予約もスムーズに出来るのでエントリーへのハードルが低いこともポイントです。
また、最新モデルが多くラインナップされているのも特徴で、メンテナンス面、お店の人がバイクの取り扱いにも精通していることや、機種によってはパニアケースやナビゲーションシステムといった純正オプションを選択してレンタルすることも可能です。
そこで、ナニはともあれ、今回は「RENT A RIDE」を活用して遠隔ツーリングを体験してみようとなりました。バイク仲間と共にスペイン、バルセロナに向かったのです。
海外でツーリングをする場合、必須アイテムがいくつかあります。まずはパスポート。すでに取得していたら、有効期間に注目。残り3カ月を切ると入国させてもらえないケースがあるので注意が必要です(空港でのフライトチェックイン時に止められることになると思いますが)。

そして国際運転免許証です。運転免許センターや、その出先機関で取得が可能です。ここでもパスポートの有効期限が3カ月を切るような場合は取得が出来ないので注意が必要です。ちなみに、国際運転免許証の有効期限は取得した日から1年間です。同時に国内での免許証も携帯しましょう。
厳密に言うと、国内での運転免許証と国際運転免許証は2個イチの関係でもあるのです。そして今回のスペインの場合、入国時に必要なコロナワクチンの接種証明書とスマホアプリ、スペイントラベルヘルス(SpTH)での事前登録も必要でした。

バイクを借り(乗り)出したのは「バルセロナプレミアム」という巨大なディーラーです。BMWの4輪、MINIも扱っています。ホテルからはタクシーで移動しました。WEBでは日本語対応でしたが、店頭で日本語は通じません。担当のスタッフは英語でコミュニケーション対応してくれて、ナントカなりました(なります)。
スタッフによれば、2年前から「RENT A RIDE」を始めたそうで、現在は40台近いレンタルバイクで需要に応えているとのこと。でも最初は「借りる人はいるのだろうか?」と思ったそうです。

意外だったのは、バルセロナから北上し、フランスとの国境を跨いだ先にあるピレネー山脈の山岳ルートを有名な自転車ロードレース、ツールド・ド・フランスが使っていて、熱心な自転車ファンの中に、あのルートを走りたい、でも、自転車だと1日で巡る距離が限られる、だからバイクを使って行こう、という流れが多いのだとか。
そしてバイクは、チームのクイックサポートやTVの中継バイクとして活躍する、BMWの「GS」や「RT」を指名するそうです。BMWのバイクは、自転車のビッグイベントにおいては選手同様登場人物の1人(ひとつ)ですね!

今回、筆者(松井勉)と同行メンバー達は、それぞれ「R1250GS」、「R1250GSアドベンチャー」、「F900XR」、「S1000XR」というアドベンチャーツアラーをチョイスしたので、ちょっと嬉しい情報でした。

日本での予約時に、1日の走行距離は300kmまではマイレージコストはかからないことは解っていましたし、追加での走行オプションやナビゲーション、パニアケースのレンタルもオーダーしていました。ヘルメットやグローブもレンタル可能ですが、それらは使い慣れたモノを持ち込みました。
いよいよ3泊4日のツーリングを開始!
我々4台が目指すのは、バルセロナから北上してピレネー山脈を含むフランス、アンドラです。そしてスペインへと戻り、バルセロナへと至るルートです。

ホテルは予約してありますが、ガッチリとしたルートは決めず、お昼になったらGoogleマップでレストランを探し、ゆったりとした気分で走ります。なにせ、日本とスペインには7時間の時差があり、現地の午前中はまだしも、午後になると体内時計は夜から深夜へと進みます。安全第一です。それに右側通行や交差点が十字路ではなくランナバウトが多いなど、走る作法が異なる部分もあります。
今回のツーリングでは南仏の港町セッテ(セート)をはじめ、フランスの訪ねてみたい村、ミネルバ(ミネルヴ)、そしてピレネーの峠越えをする道々、小国アンドラを抜けました。高速道路はあまり使わず、一般道をメインにツーリングを楽しみました。
スペインとフランスは一般道でも制限速度が高く、移動時間にストレスを感じません。BMWのバイクが持っている良さを、改めて体験できるものでした。

とは言え、計画にはゆとりを持ちましょう。カフェやランチでは相応に時間が掛かります。1時間から1時間半は見た方が良いでしょう。ガソリンスタンドではセルフが主ですが、クレジットカードでの支払い方法がちょっと異なっていたり、発見とドキドキの連続も体験しました。

レンタルバイクで海外をツーリングする。それは濃密な出来事となりました。自分のバイクで目的地へと向かうロングツーリングは魅力です。しかし海を越えて走る時、こうしたシステムは本当に便利で有効だと感じました。

それに新しいモデルを楽しめるのも魅力です。年式によっては電子制御の内容やドライバビリティが進化するのが輸入車ブランドの常。カタチは同じでも乗り味が磨かれていたり、OEMのタイヤがしっかりと装着されていることも大切なポイントでしょう。ディーラーならではのサービスという点にも魅力を感じた次第です。

一度体験すると、また行きたくなる。そんな旅でした。