電動アシスト自転車(e-BIKE)の電気を使う部品の中で、一番故障が多いのは手元の「スイッチ」かもしれません。その原因と、もしかしたら直るかもしれない応急処置を紹介します。
故障の原因と、プロはやらない応急処置
電動アシスト自転車(e-BIKE)は、電気の力で乗る人を補助してくれるとても便利な自転車ですが、屋外で使う乗り物である以上、電気部品である「バッテリー」や「モーター」、「スイッチ」が故障しないとは言い切れません。パンクやブレーキの不具合などは自転車屋に持ち込めば修理してくれますが、正常に作動しなくなった電気部品は、基本的には交換になります。

電気を使う部品の中で、比較的修理依頼が多く見られるのは、ハンドルなどの手元に装着された「スイッチ」です。「バッテリー」や「モーター」に故障が無いという訳ではありませんが、圧倒的に「スイッチ」の不具合が多いのです。
その症状としては、電源が入らない、電源が消せなくなる、急にライトが点かなくなるなど、様々なパターンが存在しますが、外観からは破損が見られなくても、スイッチが正常に作動しなくなってしまった例では、原因の大半は内部に入り込んだ「水」(もしくは水分)です。
メーカーによってスイッチの形も様々ですが、一般的にはシーリング材などで密閉され、防水加工が施されています。それが転倒してしまった時や、何かと接触してしまった際にキズやひび割れが発生する可能性があります。また、いつも爪の先でスイッチを押していると表面を破ってしまうこともありますし、単純に経年劣化ですき間ができてしまうこともあります。
意外と多いのが、狭い駐輪場で隣の自転車のブレーキレバーが上に乗ってしまうなど、表面のプレートを割ってしまう事例です。そうやってできてしまった隙間から水が入ってしまうと、内部でショートを引き起こし、故障してしまいます。
分かりやすいキズや隙間でなくても、屋外保管で長く雨にさらされていたり、たまたま取り付け角度が悪かったりすると、内部に水分が入り込んでしまいます。
不具合のあるスイッチをよく見ると、液晶部分など内部に水滴が見えることがあるので、もし電源が入らなくなったら、まずはバッテリーの充電状況を確認し、次にスイッチをチェックします。内部に水が入り込んでいたら、基本的には交換対応となり、メーカーや種類によって変わりますが、それなりに高額な修理費用が必要になります。

しかし泣く泣く交換する前に、一度は試しても損はないであろう対応があります。それが、タンスやクローゼット用の湿気とり(除湿剤)を使った「スイッチ水分除去作戦」です。
方法は簡単、除湿剤をスイッチに巻き付けてビニール袋に入れて密封し、しばらく放置して内部の水分を吸い出すというものです。
スイッチ内部の回路がショートしていた場合は無理ですが、運が良ければスイッチが復活するかもしれません。確実性が無い対応なので、自転車屋ではやらない方法です。あくまでも自分で試して「直ればラッキー」くらいの気持ちです。
これでもし復活したとしても、再び水が入れば同じことなので、カバーの装着や接着剤などでキズやすき間を塞ぐことも忘れずに。また、この方法は「修理」ではなく、あくまでも「応急処置」です。必ず直るというわけではありませんが、知っておいて損はないでしょう。