原付免許や大型二輪免許、普通自動車免許など、さまざまな運転免許を取得している人のなかに は、免許の自主返納を検討している人もいるかもしれません。ただ、中には「もうクルマに乗ることはないけれど、移動手段として原付には乗り続けたい…」と考えることもあるでしょう。では、実際に一部の免許のみを返納することは可能なのでしょうか。
免許の一部返納ってできるの?
運転操作のミスや高速道路の逆走など、高齢ドライバーによる重大事故が相次いでいることから、近年は運転免許を自主返納する人が増えています。「運転に不安を感じる」や「家族から心配されている」などの理由で、運転免許を返納するかどうか迷われている人もいるでしょう。
そんな運転免許の自主返納とは、免許証の有効期限が切れる前に、本人の意思で運転免許の取り消し申請をおこなうことです。高齢者向けの制度と思われがちですが、自主返納制度に年齢制限はありません。
例えば、病気や事故でからだが不自由になった、クルマを手放して乗る予定がないなどの理由で、高齢者でなくても申請することできます。
では、「クルマにはもう乗らないけれど、バイクは乗り続けたい」といった場合など、運転免許の一部だけを返納することは可能なのでしょうか。

結論から言えば、決められた手続きをおこなう事で、必要な種類の免許だけを残して運転免許を保有しつづける事は可能です。ただし、返納手続きをおこなった後、該当する運転免許が必要になっても元に戻すことはできません。
再び取得するには、自動車教習所に通うなどして、運転免許の試験に再度合格する必要があります。つまり、イチから免許を取り直さなければならないため、返納する前によく検討することが大切です。
免許の一部返納を行う方法とは?
運転免許の一部を返納する手続きには、ふた通りの方法があります。
運転免許には複数の種類があり、記載されない下位免許も含まれるため、どの免許を返納するか事前にしっかりと検討しておくと良いでしょう。

まず「一部取消し申請」は、保有している複数の運転免許の一部だけを返納する手続き。
例えば、「クルマにはもう乗らないので普通自動車免許はいらないが、バイクは乗り続けたいので二輪免許だけを残したい」といった場合の手続きです。
そして「一部取消しと下位免許の取得申請」が、運転免許の一部を返納することは同様ですが、免許証に記載されていない下位免許の交付申請をする手続きを示します。
例えば、「クルマには乗らないので普通自動車免許は不要だが、スクーターには乗り続けたいので原付免許だけを残したい」といった場合です。
同手続きをおこなうと、この場合は免許証の種類欄にある「普通」が消され、「原付」と記載されることになります。

なお、運転免許の一部を返納するには、現住所がある各都道府県の警察署または運転免許センターで、手続きをする必要があります。ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分を受けている人や、停止・取消し処分の対象になっている人、初心者講習の対象になっている人は申請できません。免許の有効期限が切れている場合も手続きができないため、注意してください。
また、運転免許の一部返納手続きには、運転免許証と交付手数料が必要。運転免許の一部を返納し、新たに下位免許を申請する場合は2050円、免許種別が1種目ふえるごとに200円の手数料が必要です。運転免許のすべてを返納、もしくは一部を返納する場合の手数料はかかりません。
免許証の記載事項に変更がある場合は、住民票や健康保険証、マイナンバーカードなどの証明書類の持参を求められます。
手続きをする際は本人による申請が原則ですが、病気等で本人が窓口にいけない場合のみ、代理人による申請が認められています。
そして代理人の申請には、本人確認のための書類がいくつか必要です。持参するものは各都道府県によって異なるため、代理人が申請する場合は地域を管轄する警察署のホームページで確認してください。