バイクはクルマと比較しても、積載量に限りがある乗り物です。そのため、街中での買い物などでバイクの利便性をさらに高めるため、パニアケースの装着を検討している人もいるかもしれません。では、パニアケースを装着する際に注意すべきこととして、どういった点が挙げられるのでしょうか。

そもそもパニアケースとは?

 バイクはクルマと比較しても、積載量に限りがある乗り物のため、利便性をさらに高めるためにも、パニアケースの装着を検討している人もいるでしょう。

荷台上に取り付ける「トップケース」
荷台上に取り付ける「トップケース」

 そもそもパニアケースとは、バイクの後輪の両サイドに取り付けられる箱形のケースをさし、大型のものだと片側で40L程の積載量になります。また、車輪の両サイドにとりつける物だけでなく、タンデムシート上、もしくは荷台上に取り付ける「トップケース」を含めた積載状態を、一般的に「フルパニア」と呼びます。
 
 パニアケースを装着すれば、バイクの積載量を大幅に増やすことができるため、ツーリングや街中での買い物など、さまざまな場面での利便性を高めることが可能です。

 では、パニアケースを装着する際に注意すべき点として、どういった点が挙げられるのでしょうか。

 ひとつ目は、パニアケースの大きさにおける注意点です。道路交通法施行令第二十二条の『自動車の乗車又は積載の制限』において、積載物を装着した際の幅、長さ、最大積載量、高さに関して以下の記載があります。

幅:乗車装置又は積載装置の幅+左右0.15m以下
長さ:乗車装置又は積載装置の長さに加えて30cmまで
最大積載量:60kg
高さ:地上から2m以下

 この中で特に注意が必要なのが幅です。乗車装置または積載装置とは、車体の一番長い全幅をさしており、ハンドル部の幅が一番長い車体が多いです。たとえばホンダ「PCX」の場合、全幅が740mmあるため、左右にそれぞれ15mm、合計770mmが法律違反とならない最大の全幅になります。

ホンダ「PCX」の場合、全幅が740mmあるため、左右にそれぞれ15mm、合計770mmが法律違反とならない
ホンダ「PCX」の場合、全幅が740mmあるため、左右にそれぞれ15mm、合計770mmが法律違反とならない

 もしこの幅を超えてしまうと、道路交通法で定められた「積載物大きさ制限超過違反」に該当し、違反点数1点、反則金6000円が科せられます。

 ふたつ目の注意点は、純正でないパニアケースの場合、車体に問題なく取付けが可能なものかどうか十分に見極めることです。無理な取付けをしてしまうと、車体と擦れて塗装が剥げてしまう場合があります。

 また、ロープ等を使って取り付ける場合、あまったロープがチェーンやタイヤに巻き込まれないようにすることも重要です。走行中に転落するような不十分な取付方法をしている場合、転落等防止措置義務違反となりこちらも違反点数1点、反則金6000円が科せられます。

 加えて、ウインカーやブレーキランプが隠れないように取り付けることもポイントといえるでしょう。

  3つ目の注意点としては、防水仕様ではなくレインカバーを取り付けるタイプの場合、レインカバーが走行中に吹き飛ばされないよう、しっかりと固定することが挙げられます。

 走行中に受ける風の影響は想像以上に強いため、しっかり付けたと思っていても徐々にずれていくなどして、吹き飛ばされてしまう場合があります。自身だけでなく後続車の安全を確保するためにも、十分に確認しておきたいポイントといえるかもしれません。

車体重量が増すことで制動距離が長くなるだけでなく、取り回しも悪くなるので、Uターンをする場合はいつも以上に注意する必要がある
車体重量が増すことで制動距離が長くなるだけでなく、取り回しも悪くなるので、Uターンをする場合はいつも以上に注意する必要がある

 4つ目は、車体重量が増すことに配慮する必要がある点です。車体重量が増すことで制動距離が長くなるだけでなく、取り回しも悪くなるので、Uターンをする場合にはいつも以上に注意する必要があります。

 また、固い地面でない場所で駐輪する場合、サイドスタンドが地面にめり込んでいき立ちゴケしてしまう可能性もあるので、駐車スペースにも気を遣いたいところです。もし車体を倒してしまった場合、重くてパニアケースを外さないと起こせない場合もあります。

 5つ目は、風によってあおられやすくなることです。パニアケースを取り付けることで、車体前方から受ける風の影響が増すとともに、横から来る風が車体を抜けづらくなります。

 加えて、大型自動二輪に比べて車体重量が軽い原付二種の場合、特に風によってあおられて進行方向が変わってしまう場合があるので、こちらも合わせて注意したいところです。

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 パニアケースを取り付けることで積載量を増やすことが可能ですが、法律上及び自身の安全運転のために、装着する際はさまざまな点に注意したいところです。パニアケース購入前、装着時、走行時でのそれぞれの注意点を頭に入れ、安全で気持ちよい走行を心がけましょう。