レーシングライダーの石塚健選手が、トライアンフ新型「Street Triple 765 RS」に試乗。そのインプレッションです。
Moto2マシンのベースとなるエンジンを搭載
こんにちは。レーシングライダーの石塚健です。
今回は袖ヶ浦レースフォレストウェイで、2023年モデルの「Street Triple 765 RS」に試乗してきましたので、そのインプレッションをしていきたいと思います。

初代Street Tripleは、ミドルクラスのロードスターとして2007年に登場し、2017年には排気量を765ccに拡大した新世代となって、上級バージョンのRSを追加。電子制御などが年々改良され、パフォーマンスを向上させてきました。
そして2023年モデルの新型Street Tripleはエンジンを一新し、更にパワフルな走りと洗練されたデザイン、先進的なテクノロジーが搭載された、最新・最強シリーズとして再び生まれ変わりました。

開発コンセプトは、「公道走行可能なMoto2マシン」。
そのコンセプトどおりトライアンフは、2019年よりロードレース世界選手権シリーズ(MotoGP)のMoto2クラスに、公式エンジンサプライヤーとしてStreet Triple 765ベースのエンジンを供給しています。
そんなMoto2マシンがベースともいえる新型Street Triple 765 RSは、従来のStreet Tripleに比べて12mmワイドなハンドルバーやジオメトリーの見直しにより、扱いやすさと俊敏性を向上。ブレーキは新たにブレンボ製スタイルマキャリパーが採用され、制動力が強化されています。

電子制御は、新たなスロットルマップにより進化した5段階のライディングモードが搭載され、シチュエーションにあったモードをセレクトし走行することができます。
スタイリングも一新。タンク、ラジエーターカウル、ヘッドライト、リアボディ等、多くの外装パーツが新しくなり、よりシャープでアグレッシブなデザインへと生まれ変わりました。
Moto2マシンが感じられる迫力あるサウンドと走り
まずはバイクに跨がり足付きを見ていきます。
Street Triple RSのシート高は836mm。身長165cmの僕が跨ると少しかかとが浮いてしまいますが、安定感が高いので倒れる不安を感じることはありませんでした。
更に、快適性が高められた新たなオプション装備、ローシートを装着すれば、シート高を28mmも低くすることができるので、足つきに不安がある人は変更すると安心です。さらに、リアサスペンションリンケージを入れれば10mmのローダウンも可能となり、ローシートとの合計で38mmシート高を下げることができます。

それでは、実際に走行していきます。
アクセルを捻って1番に思ったことは、サウンドが本当に最高。スムーズに流れるエンジンサウンドが迫力満点で、まさにMoto2マシンに乗っているかのような高揚感を味わえます。
速度を落としたコーナリングからの立ち上がりも、トラクションを使った旋回性が抜群。サスペンションがストロークしてリヤタイヤが潰れ、車体がグリグリと旋回していく感覚を味わえました。
加速感もとても力強く、特に中速域でのトルクは興奮するレベルです。

スロットル操作もシビアではなく、扱いやすさは抜群。低速域からアクセルをドンと開けてしまっても、強烈に反応するわけではなく、マイルドに反応してくれるので、リスクが低く安心感を得ながら走行することができます。
さらに、サーキット走行に対応したクイックシフター「Triumphシフトアシスト」が標準装備されており、クラッチレスのシフトアップ&ダウンが可能。とても便利で、快適で気持ちよく走ることができます。そのため、バイク初心者からベテランライダー、そして公道からサーキットまで、幅広い走りを楽しませてくれるはず。

ちなみに、新型STREET TRIPLE 765にはMoto2 EDITIONといった、よりMoto2マシンに近いモデルも限定でラインナップされています。
次回はMoto2エディションにも乗って、比較してみたい!なんてことを思いつつ、とても有意義で楽しい試乗となりました。
今回試乗した新型Street Triple 765 RSの価格(消費税込)は、149万5000円。クラス最高のピュアネイキットの魅力を是非、公道やサーキットで体感してください。