MotoGP第4戦スペインGPが、2023年4月28日から30日にかけてヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行なわれました。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(#30/ホンダ)は決勝レースを9位でゴールし、今季初めてシングルフィニッシュを果たしています。
今季初のシングルフィニッシュ、内容としては不完全燃焼に終わる
2023年シーズンのMotoGP第4戦スペインGPの舞台となるヘレス・サーキットは、スペイン南西部のアンダルシア地方に位置しており、毎年多くの観客を集めます。MotoGPのなかでも代表的なグランプリなのです。

中上貴晶選手(#30/ホンダ)はこのヘレス・サーキットを得意としており、2020年、2021年には表彰台まであと一歩の4位というポジションでゴールしています。苦戦が続いているホンダ勢にあって中上選手も例外ではなく、だからこそ自信のあるヘレスで「リセットして良い週末にしたい」と、レースウイークを迎えました。
初日は総合9番手で、今季2度目となるQ2へのダイレクト進出を決めました。予選では11番手、スプリントレースでは転倒リタイアとなりました。「不可解な転倒」と中上選手はレース後に語っていました。良いフィーリングで走れていたにもかかわらず、転倒したと言うのです。
「集団で数周走っていて、プラス路面温度の高さでタイヤの温度が上がってしまって、結果的にフロントタイヤの限界を超えてしまったみたいでした。ライディングで転倒というよりも、コンディションの変化でフロントタイヤが悲鳴を上げての転倒です」

日曜日の決勝レースでも苦戦は続きました。レースは1周目に赤旗中断となり、再開されたレースでは9位でゴール。得意なサーキットで上位を狙っていただけに、不完全燃焼のレースとなりました。中上選手がレース後に語ったところによれば、レース直後、リアのグリップが非常に悪かったのだそうです。
「感じたことのないグリップ不足、リアの不安定さでした。立ち上がりも、エッジグリップもかなり悪かったですね。ですから非常に厳しかったし、その中でなんとか転倒や前のライダーのトラブルもあって9位になれました」

暑さによってバイクが熱を持ってしまうという現象が起き、グリップ不足にもつながっていました。それが、決勝レースで中上選手を苦しめた要因のひとつでした。
「寒いときのバイクはまあまあ動きが良いんですが、暑くなると同じセッティングでも、全く違うバイクになるんです。バイクがすごく熱くなってしまうので、そこで動きが変わってしまう。リアのグリップが極端に落ちてしまうんです。リアのグリップが無い、つまり曲がらない。フロントもすごく繊細になって、一気に切れ込んでしまう。転倒につながってしまう。去年からかなりそういう傾向がありますね」

それでも「開幕戦からの3戦に比べたら、少しレースらしいレースができた」と語ります。中上選手の9位は、ホンダライダーの中で最上位でした。今季、いかに苦しい状況なのかが窺えます。
「得意なヘレスだったので、ウイークを通しても上の順位にいましたけど、5位、6位になれていれば、なお良かったかなと思います。ちょっと残念でしたね」
次戦の第5戦フランスGPは5月12日から14日にかけて、ル・マン-ブガッティ・サーキットで行われます。